サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

切除不能膵癌-HIFUで4年半生存した例

膵臓がんで手術ができない場合、治療法は抗がん剤か放射線になります。

HIFU(高密度焦点式超音波療法)とは?

しかし腫瘍の状態によっては、その他の治療法が適用できることもあります。局所進行膵癌の場合はHIFU(高密度焦点式超音波療法)に効果が期待できます。

HIFUの装置では、球面体に約250個の超音波発信素子が並んでいます。そこから発信された超音波をがん細胞に集中させて、約60℃の熱でがん細胞を焼いて死滅させます。

  ハイフには加熱作用だけでなく、非熱的作用もあるのが特徴です。それは超音波の振動によって、がん細胞の壁がこすれて壊れる作用です。特に血流が少なく低酸素濃度の膵臓がんでは、抗がん剤の投与後にハイフをやるとがん細胞に抗がん剤が浸透しやすくなり、効果が高まります。

 膵臓がんの適応は、手術できないステージIVaかIVbになるので、ハイフの治療を希望する患者の多くは化学療法を行っている。膵臓の近くには神経細胞が集まる神経叢(そう)があり、がんが浸潤すると胃腸の動きが悪くなる。その部分にハイフを照射すると、食欲が戻り体力がつくので化学療法が長く続けられる効果もある。

 最も有効なのは痛みを取り除く効果です。除痛効果は放射線治療よりも即効性があり、70~80%の患者さんはやってすぐに痛みが消えます。繰り返しできるので、3~6カ月の間隔で痛みが現れたら受ける患者さんもいます。放射線治療後の患者さんにも行うことができます。

 

前立腺がんには保険適用となっていますが、膵臓がんには未承認です。しかし、東京医科大学病院では倫理審査委員会の承認のもと、病院の費用を用い、適応のある患者さんに対して臨床試験として行われています。

東京医科大学病院の論文

その東京医科大学病院から、HIFUで膵臓がんを治療した1症例が報告されています。

『高密度焦点式超音波療法(HIFU)で長期生存した切除不能膵臓癌の症例』

結論

最小限の侵襲性で長期間にわたって繰り返し実行できるHIFU療法は、局所的に進行した膵臓がんの有効な治療法の1つと期待されています。HIFU療法は、熱作用(熱エネルギー;焦点領域のみが80〜100度に増加)と非熱作用(主にキャビテーション)に依存します。これは超音波の生物学的作用です。焦点領域外の組織には影響しません。HIFU療法は凝固壊死、変性/アポトーシス、細胞破壊、組織線維症を引き起こし、治療効果があります。HIFU療法は、腫瘍崩壊による薬物浸透と癌特異的免疫の増強をもたらすことが示唆されています。抗腫瘍効果が得られることが期待されており、再治療/追加療法の可能性、生存時間の延長、神経をブロックすることによる疼痛緩和効果など、多くの潜在的な利点が期待されています。

HIFU治療のできる病院は、東京医科大学病院以外でも増えてきているようです。 

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