サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

リムパーザ(オラパリブ)が膵癌にも拡大適用される

FOLFIRINOX治療後の維持療法として

第3相試験(POLO試験)の結果を受けて承認申請をしていたリムパーザ(一般名:オラパリブ)が、膵癌に適用拡大されることが承認されました。

アストラゼネカ社のプレスリリース

アストラゼネカ株式会社のプレスリリース(2020年12月28日 16時03分)アストラゼネカとMSDのリムパーザ、進行卵巣がん、前立腺がん、膵がんの治療薬として日本における適応拡大を同時取得
アストラゼネカとMSDのリムパーザ、進行卵巣がん、前立腺がん、膵がんの治療薬とし... - プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

2020年12月25日付で、「相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む初回化学療法後の維持療法」、「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」および「BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法(FOLFIRINOXに含まれるオキサリプラチン)後の維持療法」の3つの適応症を対象に、厚生労働省より承認を取得いたしました。

転移性膵がんは、いずれも大きなアンメット・メディカルニーズを伴うがんです。患者さんにとって、治療の選択肢は非常に限られてきました。リムパーザは、前立腺がんおよび膵がんに対して承認された日本初のPARP阻害剤であり、分子標的薬が新たに承認されることで、個別化医療の新たな時代をさらに前進させ、日本におけるこれらのがんの治療法が大きく変わっていくことが期待されます。

POLO試験ではOSは改善せず

POLO試験の結果概要は下図のとおりです。

無増悪生存期間(PFS)は、プラセボ群3.8カ月に対してオラパリブ群は7.4カ月、ハザード比0.53と、高い有効性を示したが、OS(全生存期間)では有効性が示せなかった。

プラセボと比較して、無憎悪生存期間が約2倍になるという結果でした。

バイオマーカー、遺伝子検査を受けて、自分のがんにBRCA遺伝子変異がないかどうか、調べておくことが重要です。

今後の課題

切除不能膵癌の二次治療として、オニバイドが6年ぶりに承認され、膵臓がんの予後改善に期待されます。コロナ禍のなか、第58回日本癌治療学会がハイブリッドで10月に開催されました。その中から膵臓がんに関する今後の治療法についてまとめてみました。ハイブリッド方式の開催となった第58回日本癌治療学会学術集会の臓器別シンポジウム「膵癌治療の現状と今後」の中から、膵癌に対する化学療法、ゲノム医療の動向、さらに切除可能境界膵癌の術前治療について紹介する。化学療法1次療法の使い分け副作用の強いFOLFIRINOXを克服しよう...
癌治療学会:膵がん治療の概観 - 残る桜も 散る桜

こちらの記事で紹介した「第58回日本癌治療学会学術集会」の関連情報を再掲しておきます。

PARP阻害剤(オラパリブ)
モバイルバージョンを終了