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『がん 生と死のなぞに挑む』書籍になりました。

がん 生と死の謎に挑む (文春文庫)

がん 生と死の謎に挑む (文春文庫)

立花 隆, NHKスペシャル取材班
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ちょうど一年前のブログで、NHKで放映された「立花隆の『思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む』」に関して書いています。NHKスペシャルとして放映されたあと、番組ではカットされた内容も盛り込んだより詳細な特集がBS1で3本に集約されて放映されました。普段は滅多にテレビを見ない私ですが、幸いこの番組はすべて録画してDVDに残してあります。

この番組の放映の裏話や内容を補足して、書籍として出版されました。この本には最初のNHKスペシャル番組もDVDとして付録になっています。番組を見逃した方にはうれしい企画です。残念なのはBS1で放映された3本の番組は収録されていませんが、いずれNHKアーカイブスで見られるようになるでしょう。

NHKスペシャルは、

BS1の3本は、

NHKで制作されたがんに関する番組は、これまでに数百本に及ぶが、がんの本質論に真っ向から取り組んだ番組はこれが最初である、と巻頭に書かれています。

この番組の制作の意図を、立花氏は次のように書いています。

本書は、2009年11月23日にNHKから放送されたNHKスペシャル「立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む」と一体になった本である。この本が読者として想定しているのは、あの番組をすでに見たという人である。

あの番組はとてつもない情報量を持っている。あの番組は、がんという病気の本質に真正面から取り組んだ、本邦初の本格的がん番組である。たくさんのがん番組が作られてきたが、そのすべてが、がんについての各論でしかなかった。しかし、あの番組は。がんの総論である。

がんとはそもそもいかなる病気なのかというがん本質論に真っ向から取り組んだ番組は、驚くべきことにこれまでただの一本もなかった。

過去のNHKの番組を片っ端から見ていくことで分かったことは、これまでの番組は、患者に気をつかうあまり、客観的な現実をありのままに伝えようとするよりも、患者の耳に入りやすいように加工した甘い情報を伝えがちだったことです。希望がもてない現実を前にしても、あたかも希望がまだまだたくさんあるかのような表現をしがちでした。

しかし、僕たちが作ろうとしていた番組は、そのような番組とは対極にある番組でした。

内容から気になる部分を抜き出してみます。

このあたりは近藤誠氏の意見と同じです。私もまた、ほとんど同じ考えを持っています。

外側の輪が遺伝子の配列を表わし、異常のある部分が線で結ばれている。下の図は同じ乳がんでも患者毎に遺伝子の異常箇所が違うことを表わしている。

世界中のあらゆる有機物質の抗がん作用を調査しているナチュラル・プロダクト・レポジトリーが番組で紹介されていましたが、この研究所が実は「フォート・デトリック」という世界最大の生物・化学兵器専門の基地内にあるという秘密も明かされています。
5-FU(フルオロウラシル)という抗がん剤があります。ゼローダ(カペシタビン)、TS-1も肝臓や体内で代謝されて5-FUに変換されることで効果を期待されている抗がん剤ですが、欧米ではまったく使用されていないという抗がん剤です。日本のRNA研究の第一人者である自然科学研究機構の前機構長志村令郎氏は、アメリカ留学中に研究資料としてずっと5-FUを使っていたそうですが、『5-FUが抗がん剤として使われていると聞くと、ビックリして、唇をぶるぶる震わせて、「あれはとんでもない毒です。全身のRNAがズタズタにされるのですから、あれほどひどい毒はない。僕だったら、がんになっても絶対に飲みません」といった話も紹介されています。

昨年のブログでは、立場氏がサプリメントを大量に服用していることに関して批判めいたことを書きましたが、それに関しても「あの場面本当は、”こんな場面使うな”といいつつ撮ったものだから無視してくださって結構です。僕が本当に、理屈も分かった上で飲んでいるのはビオラクチスくらいのものです」と釈明しています。患者の自然治癒力、免疫とくに炎症との関係も無視しているとも批判したのですが、本ではそれについても一定の理解を示しているようです。

年末年始に、DVDを鑑賞しながら「がんとはそもそも何者であるか」を今一度考えてみることも、今後の治療戦略を再考する上で有益だと思います。

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