サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

定位放射線+オプジーボ+ヤーボイ併用の第2相試験

難治性/転移性膵臓がん患者(N=84人)を、【A群】オプジーボ+定位放射線治療(SRT)を実施する群(N=41人)、【B群】オプジーボ+ヤーボイ+定位放射線治療(SRT)を実施する群(N=43人)に無作為に振り分け、の有効性・安全性を比較検証した第2相試験(CheckPAC試験)です。

PURPOSE To evaluate the clinical benefit of nivolumab with or without ipilimumab in combination with stereotactic body radiotherapy (SBRT) in patients with refractory metastatic pancreatic cancer (mPC). METHODS Between November 2016 and December 2019, patients with refractory mPC were randomly assigned 1:1 to SBRT of 15 Gy with nivolumab or nivolumab/ipilimumab stratified by performance status (ClinicalTrials.gov identifier: NCT02866383). The primary end point was the clinical benefit rate (C...
Randomized Phase II Study of Nivolumab With or Without Ipilimumab Combined Wi... - Journal of Clinical Oncology

主要評価項目として臨床的ベネフィット率(CBR:完全奏効率+部分奏効率+病勢安定)。

臨床的ベネフィット率(CBR)は:

部分奏効持続期間:

グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、【A群】の24.4%(N=10人)に対して【B群】で30.2%(N=13人)

CBR:完全奏効率+部分奏効率+病勢安定の合計が、17.1%と37.2%なので、20%程度増加している。

しかし、5ヶ月程度の奏効持続期間を得るために、オプジーボとヤーボイを加えたら、治療費・薬剤費はどれぐらいになるのだろう。

『悪いがん治療』でも述べられているが、奏効持続期間などという代理アウトカムで良好な結果が得られたとしても、真のアウトカムであるべき全生存率(OS)がどの程度伸びるのかが、本来評価すべき項目であろう。

このような併用療法が臨床的に意義があるかどうか、疑問である。

製薬企業と利益相反関係にある医師や規制機関が、臨床試験の結果を甘くして効果の少ない医薬品を承認する問題は、マーシャ・エンジェル『ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実』やベン・ゴールドエイカー『悪の製薬』などの著書でも指摘されてきました。著者のマーシャ・エンジェル氏は、ニューイングランド医学雑誌(NEJM)の前編集長。彼女が製薬会社のあくどさにやむにやまれず書いたというこの本は、当時大きな衝撃を与えたと言います。このブログでも2011年に紹介しているのですが(ビッグ・ファーマの真実)、この問題は未だに解決し...
今日の一冊(162)『悪いがん治療~誤った政策とエビデンスがどのようにがん患者を痛... - 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

このように、たいして効果のない治療法が、代理のアウトカム評価だけで、しかも莫大な医療費を費やす方向で認証されているのが、近年のがん治療の傾向です。

本当に必要なのかどうか、患者さん自身もよく吟味して発言する必要がありそうです。

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