サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

膵臓がんの長期生存例ってどれだけあるの?

第4回ZoomWeb交流会は、28名の参加でした。3時間を超えて、熱心にいろいろな話題が飛び交いました。

古くからの方、3日前に膵臓がんを告知されたという方もいて、治療法や副作用への話題が尽きません。

今回は新しい試みとして、参加者全員を「共同ホスト」に設定し、自由に小部屋(ブレークアウトセッション)を移動してもらおうという魂胆でしたが、直前になってスマホでは参加者は移動ができないことが判明して、大慌て。ま、なんとか工夫をして乗り切りました。

そんなこんなのドタバタで、Zoomの画面キャプチャを取り忘れたので、しかたないから私の参加している画像だけでも(要らないか?)

なかで「膵臓がんのステージ4でも5年10年と長期生存している方は、全国にどれくらいいるのだろう」と話題になりました。

@inomakさんからは、次のようなTwitterをアップしてみたとの話が出て、凄いねと。

34年前ですから、膵臓がんに使える抗がん剤はなかった時代です。ジェムザールが使えるようになったのが15年くらい前のことですから。

https://twitter.com/inomak/status/1289676900512567297

それで、膵臓がんの奇跡的治癒の例を改めて紹介してほしいとの要望もありました。

すべてではないですが、私の知っている範囲で紹介してみます。

なによりもまず、『膵臓がん患者と家族の集い』にもずっと参加してくれたミノさんでしょう。

ステージ4aでたしかもう6、7年になるはず。

池田実さんのストーリーがん患者100万人のための生活情報メディア『MillionsLIFE』に、『すい臓がんカフェ』にもたびたび参加されている池田実さん(みのさん)のストーリーとインタビューが載っています。ステージ4aのサバイバーです。長文ですが、膵臓がん患者として、読み応えがあり、気づきと共感のできる記事です。【ストーリー】池田実さん すい臓がん ステージ4 サバイバーこのストーリーの目次 【ストーリー】池田実さん すい臓がん ステージ4 サバイバー 第1話「IT業界を経て会社設立へ」 第2話「胃腸の不快感」 第3話...
ステージ4aで5年生存を果たしたみのさん - 残る桜も 散る桜

ステージⅢの膵臓がん症例ですが、

Google Scholarで「膵臓がん」をキーワードにして検索していたら、気になる論文を見つけました。秋田大学学術情報リポジトリに掲載されている「膵臓がん術後長期生存者のサバイバー体験の検証とケアの一考察 ―健康生成論的視点から―」です。こちらに論文をPDFでリンクを貼っておきます。⇒「 膵臓がん長期生存者の体験 」1990年頃に、浸潤性膵管癌のステージⅢで、膵頭十二指腸切除術兼術中放射線照射を受け、その後(論文作成時点で)19年間生存しているA氏。発症したのは50歳代でした。この当時で術中放射線照射をするとは、進んだ病院...
膵臓がんで19年、長期生存者の特徴 - 残る桜も 散る桜

また、がんの自然退縮との観点から見れば、

自然退縮は結構ある治らないがんを宿した患者なら、誰しも「自分のがんだけは奇跡的に治って欲しい」と願うものです。そして、がんの「自然治癒」「自然寛解」「自然退縮」という現象が少なからずあるのですから、「運が良ければ自分も」と思うのも当然です。一時の現象ですが、ムラキテルミ氏が肝臓がんで余命3ヵ月を宣告され、石原メソッドや茹で小豆で完治したと話題になりました。これなども稀な自然寛解の例であって、石原メソッドが効いたのかどうかは疑問です。なぜなら、彼女に続く寛解例が出ていないようなのです(私が知らな...
がんの自然退縮ってどれくらいあるの? - 残る桜も 散る桜

も参考になろう。自然退縮や奇跡的治癒例は結構あると思う。

これは中川俊二博士の研究が有名だが、

奇跡的治癒例を世界に先駆けて研究したの池見酉次郎氏や中川俊二氏は、その症例のほとんどの患者に「実存的転換」というべき変化があったと報告しています。「実存的転換」の意味は中川俊二さんの言葉を借りると、『今までの生活を心機一転し、新しい対象を発見し、満足感を見出し、生活を是正するとともに残された生涯の一日一日を前向きに行動しようとするあり方』です。

日本の心身医学の創始者である九州大学の故池見酉次郎教授は、中川博士とともにがんの自然退縮例を研究しました。

池見教授は、74人のがんの自然退縮がみられた患者さんで、精神生活や生活環境を詳しく分析できた31人をまとめています。31人中23人(74パーセント)に人生観や生き方の大きな変化があったとされています。その23人の中7人はかねてから人間的な成長度の高い人や真に宗教的な生き方をしてきた人たちであり、がんの告知がきっかけになり、永遠の命へのめざめが起きたそうです。5人は信仰をもっていた人たちの中で、がんを宣告されることによって信仰の対象としていた教祖や神仏に自分のすべてをまかせきるという全託の心境になったとされています。5人は家族からのサポートや周囲の人の温かい思いやりに包まれて主体的な生きがいのある生活へ転換が起きた人であり、6人は生きがいのある仕事に打ち込んでいった人だそうです。このように、約4分の3の人では、生きがいや生き方に大きな変化があったときに、がんの自然退縮があったというのです。

 

その中川博士が膵癌の自然退縮例を報告した雑誌の一部があります。

また、このブログでも紹介した水田賢一さんの例もあります。

ステージ4bの膵臓がんから、3度の手術を経て奇跡的に生還した水田賢一さんという方がいます。元兵庫県川西市の副市長でした。2016年に膵臓がんの病期分類が変更されて、現在はステージ4はひとつですが、2016年以前はステージ4aと4bに分かれていました。つまりステージ4bというのは、病期分類では一番悪い状態です。水田さんは膵臓がんのステージ4bから、どのようにして奇跡的に生還したのか。その手記が「市民のためのがん治療の会」に掲載されました。これらの経験から私は皆さんに伝えたいことがあります。 1つには医療者の方々へ...
水田賢一さんの手記:膵癌ステージ4bからの生還 - 残る桜も 散る桜

がんの自然治癒の古典的著作である『癌が消えた―驚くべき自己治癒力』では、膵臓がんが奇跡的に消えた例も紹介されていて、

マイケル・ラフは『癌が消えた』で次のように言っています。

「たぶん寛解は、同じ死に絶えるメッセージを癌細胞が受け取っているのでしょう。癌は、DNAを溶かし、クロマチンを凝縮させ、細胞を徐々に喪失させる遺伝子を活発化するような化学的メッセージに正常な細胞と同じくらい、弱いのです。」
ラフは、感情が腫瘍の死に大きな役割を果たすことは可能だ、と考えている。「それほど強烈なものである必要はないと考えています。癌は大きな異常ではありますけれど、一定期間にわたる微妙な変質の結果です。治癒もまた微妙な変化で、シーソーが再び降りてきたようなものです。たぶん感情の分子がシーソーを押したのでしょう。」

彼は身体の防御の仕組みを、カオス説で説明する。<略> 心理的力は小さく弱いため、癌による「併合」に影響を与えることはできないという従来の見方と違って、心-体のつながりはミクロの世界で、そこは勝利は強い方へ行くだけではなく、頭のいい方へ行くという世界、情報が力である世界だ。脳には感情と結びついている分子のレセプターが多くある。この分子は最終的に病気に対する前線となる。免疫細胞は体中を回る間に脳と交信して、報告をし、指示をもらい、別の体の現場へ公式声明をもって急行し、傷を治す処置をする。驚異的回復が示しているのは、ある一定状況のもとでは、癌は突破できない砦というよりは、情報の突風の前に震えるもろいトランプの家のようなものであるということだ。

と書いています。

膵臓がんのステージ4でもまったく希望がないわけではない。

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