局所進行膵癌で手術ができない場合には、粒子線(陽子線、重粒子線)治療が保険適用になりました。
しかしこの2ヶ月を見ていますと、膵臓癌患者さんで適用になる例は比較的少ないような気がします。
局所進行膵癌は、がんが膵臓の表面を越えて周りの重要血管と血管周囲に浸潤しているが、遠隔転移はしていない状態です。
手術はできず、抗がん剤で延命治療しかないのですが、成績はよくありません。
5年生存率は、ステージ2で2割、ステージ3だと6%程度です。
そこで重粒子線治療を選択すると、多施設共同研究J-CROSでは、2年局所制御率(2年間照射部位に再発がない割合)が62%、1年局所制御率が82%でした。
全症例の2年生存率は46%です。その一方で、副作用は少ないことが報告されています。
4月から局所進行膵癌の粒子線治療が保険適用に1月8日付の記事でも紹介しましたが、この4月から膵臓癌に対する粒子線治療(陽子線治療と重粒子線治療)が保険適用となります。これまでは先進医療として粒子線治療を受けることもできましたが、患者の自己負担金が300万円ほど必要でした。そのために治療を諦めざるを得なかった膵臓がん患者さんも多いのではないでしょうか。保険適用となることで粒子線治療を考えてみようかという患者さんも多いのではないでしょうか。その際に参考となる情報をここにまとめてみました。保険適用となる膵... 膵臓がんの重粒子線治療 - 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録 |
ただ、実施できる施設が少ないのがデメリットです。
陽子線と重粒子線の両方があるのは、兵庫県立粒子線医療センターだけですし、四国には一つもありません。
そうしたことを考えると、エックス線でも最新の定位放射線はピンポイント照射の精度が上がって、広く普及して来ていますから、粒子線治療とほぼ同等の成績があると言われています。
本来なら、膵臓がんには重粒子線が最適なのですが、地理的に難しい場合はサイバーナイフ、IMRTなどの定位放射線治療も選択肢としてよろしいのではないかと思います。