サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

ノーベル物理学賞:ペンローズ氏の心と量子の関係

ノーベル物理学賞に、ブラックホールに関する研究で大きな貢献をしたイギリスのオックスフォード大学のロジャー・ペンローズ氏ら3人の研究者が選ばれましたね。

ペンローズ氏は、アインシュタインの一般相対性理論によって、ブラックホールの形成を証明したことが評価されました。

量子と宇宙と心の関係

このブログの記事にもペンローズ氏は何度か登場しています。私の関心事は、彼の量子と宇宙と心の関係を熱心に研究した点です。

そうした著作として、『心は量子で語れるか―21世紀物理の進むべき道をさぐる』や『ペンローズの“量子脳”理論―心と意識の科学的基礎をもとめて 』『皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則』などがあります。

脳の働きはニューロンとその間の信号伝達(ニューラルネットワーク)という生理学的現象によって説明できるとするのが定説ですが、彼は量子力学の立場で説明しようという。だから、多くの批判を招くことにもなったのです。

心は量子で語れるか―21世紀物理の進むべき道をさぐる (ブルーバックス)

ロジャー・ペンローズ
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どれも難解な本ですが、彼の刺激を受けて、でもないか。私も「心と癌と量子力学の関係」なるものを何回かに分けて書きなぐっています。

がんが心の有り様で治るとしたら、その根拠はどこにあるのか。量子力学で説明が可能なのか。そういった関心です。

『化学装置としての脳と心―リセプターと精神変容物質』(リチャード・M・レスタック著 半田智久訳 新曜社)は、精神変容物質が脳に作用する機構を解説したものであり、植物を使った精神変容の歴史から、精神疾患に対する薬剤の開発・発見の歴史を垣間見せてくれる。少量で精神世界を変容させてしまう薬物と、その受け手である脳内リセプターの話であるが、最終章では、量子力学を考慮したリセプターと情報伝達物質の結合が述べられている。リセプターと情報伝達物質は、鍵と鍵穴に例えられて結合が説明されることが多い。ところが、...
心と癌と量子力学の関係(1) - 残る桜も 散る桜
朝日新聞の木曜日の夕刊に『日々是修行』というコラムがある。花園大学教授の佐々木閑氏のコラムですが、これをいつも楽しみにしています。2008年4月17日の『「合理的」に考えるとは』のタイトルのコラムでは、量子力学における「多世界解釈」という言葉が出てきてびっくりした。この人は仏教学者のはずだが、どうして量子力学に詳しいのだろう。調べてみたら「京都大学工学部工業化学科を卒業後、同大学大学院文学研究科博士課程に入学、退学後、カリフォルニア大学バークレー校に留学、京都大学文学部哲学科仏教学専攻卒業」となって...
心と癌と量子力学の関係(2) - 残る桜も 散る桜
沫雪(あわゆき)の中にたちたる三千大千世界(みちあふち)またその中に沫雪ぞ降る良寛にこんな歌があります。三千大千世界を「みちあふち」と読ませていますが、三千大千世界とは、仏教における宇宙論を表わす言葉です。我々の住むこの世界は須弥山(しゅみせん)を中心として周囲に4つの大陸があり、その周りに九山八海があるとされています。この世界が千個集まったものを小千世界といい、小千世界が千個集まって中千世界、さらにこれが千個集まって大千世界となります。大千世界には小・中・大の三つの世界が含まれているので、こ...
心と癌と量子力学の関係(3) - 残る桜も 散る桜
私たちの常識では、「離れた場所にある別々の物体は、別のものである」と考えます。カラスと鳩が右と左の空に浮かんでいれば、別の鳥です。カラスが鳩を襲うためには、空を横切って鳩に近づかなければなりません。空間は物体と物体を切り離して区別する役割を持っていると考えるのです。これは私たちの地球だけではなく宇宙全体についても言えることであり、物理学者はこの性質を「宇宙の局所性」と呼んでいます。しかし、量子力学から理論的には予測されていたことですが、ある場所で行なったことが、遠く離れた別の場所での出来事と...
心と癌と量子力学の関係(4) - 残る桜も 散る桜
複雑系としてのがんいくつかのブログで「がんは複雑系」というテーマが語られています。粘る希なガン患者さんの「複雑系」では、私に言わせれば、「宇宙全体、天候現象、経済現象、人間社会、政治、ひとつひとつの生命体、あるいは精神的な現象などは、みな複雑系である」とあるが、単に、これは現在の人間の認識・判断・処理能力と「比して」複雑すぎるということを述べているにすぎない。SeaMountさんの「SeaMountの雑記と書庫」では「ガンと複雑系」として、 ガン治療については、現在の主流の西洋医学的なものについての批判はいろ...
心と癌と量子力学の関係(5) - 残る桜も 散る桜
前回、「いま切実にがんの治癒を願っている患者は、がんを複雑系と考える立場をどのように自分の治癒へとつなげばよいのでしょうか」と書いて宿題にしてありました。私の答えは次のようになります。がんの成長を抑制するための方法をすべて文字通りに実践しない限り自分の身を守れない、というわけではない。人間の体は、それ自体、各機能が他の機能と相互作用を起こすような、均整のとれた巨大システムである。その機能のうちたったひとつにでも変化があると、必ず全体に影響が及ぶ。だからこそ、食事療法、運動、精神面の訓練、もし...
心と癌と量子力学の関係(6) - 残る桜も 散る桜

11年前の記事だが、今読んでも面白い(とよく目だろうがそう思う)。

仏教とペンローズの理論

佐々木閑氏には『科学するブッダ  犀の角たち』という著作があって、これも抜群におもしろい。この本は仏教書です。しかし、直接に仏教のことに触れているのは、後ろの3分の1程度です。物理学、進化論、数学、更にベンローズの『皇帝の新しい心』に触れてから、やっと仏教論が始まるという、なんともおもしろい構成です。

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