NK細胞の大きな可能性
少し前の記事ですが、「NK細胞の大きな可能性」がNetIBニュースに載っていました。
最近勝俣医師がTwitterでしきりに、リンパ球バンクのANK免疫細胞療法を批判しているのですが、
ヨミドクターコラム更新しました。この記事を載せてくださった読売新聞さんに感謝します。読売新聞さん、これからもどうぞよろしくお願いいたします。https://t.co/udwyJamYWO
? 勝俣範之 (@Katsumata_Nori) 2017年4月10日
新聞社も減紙で経営が大変なんだね。との私の感想。ま、その広告とそれへの批判の当否は措いといて。
免疫細胞療法の中でもリンパ球バンクのものは一番費用が高いです。NK細胞の培養に手間と時間をかけているかららしいのですが、今回の記事によれば韓国の企業が数万倍の細胞を培養でき、しかも費用は格段に安くてすむ方法を発見したということのようです。
今まで免疫治療があっても、臨床データが不足し、標準治療としての地位は確保していなかった。しかし、免疫チェックポイント阻害剤が登場することによって再び免疫治療の可能性に全世界が注目している。
今まで免疫治療は活性が弱くなった免疫細胞を体外に取り出して活性を高めた後、体内に戻す治療が一般的であった。それもどちらかというと、攻撃力が高いといわれたT細胞が中心であった。ところが、がんに対する攻撃にはNK細胞が主役で、NK細胞が一番効果的であるという研究があって話題になっている。その会社は韓国のコスダックに上場している(株)ATGENである。
NK細胞は数億年の人類歴史の中で進化した細胞で、他の指示がなくても、自分で正常細胞とがん細胞を区別して攻撃できる細胞である。ただ、今までは、NK細胞だけを分離して培養する技術がとても難しく、殺傷能力もそれほど大きくなかったので、それほど注目をうけなかった。しかし、同社では、細胞培養に有利なえさを見つけ、細胞を数千倍から数万倍に培養することに成功した。それだけでなく、今までより10倍ほど殺傷能力を高めることにも成功した。増殖を増やすために、培地として高価なものを使う場合が多い中で、同社では、廉価な栄養素をみつけ、価格メリットも実現している。
同社の朴相佑(バク・サンウ)社長は、日本と韓国、米国で臨床試験を同時に進め、免疫治療剤を開発したいと言う抱負を明らかにした。同社で開発したNK細胞の場合には今まであまり効果のなかった固形がんにも効果があるし、免疫抑制作用を解除できる特徴も持っているという。
免疫チェックポイント阻害剤が大きな話題になったが、いざ適用してみたら適用対象が20%前後に過ぎない、副作用があるなどの問題も指摘されている。直接的で、一番仕組みの簡単なNK細胞だけに、その弱点を克服できたとしたら最も効果的な治療剤になる可能性は高い。同社では、がんの発症と密接な関係があるといわれているNK細胞の活性値を計るキットも開発して、全世界に発売している。
本当ならがん患者にとっては期待したい話しですが、さていつ頃実用化できるのだろうか。