ちょっと無理をすると、がんでも長生きできる

「がんはちょっと大きな、飛び火するイボです」と押川勝太郎先生は言います。
がん患者はがんで死ぬわけではない
がんそのものが悪さをするわけではないのですが、際限なく増殖することによって周囲の臓器を圧迫したりすることによって患者を死に至らしめます。
もちろん悪液質とか栄養障害も起きますが、がん患者の主な死因は栄養障害による免疫力の低下とそれに伴う合併症です。要するに「餓死」するのです。
また筋肉量が減って体力がなくなることによって、転倒や骨折も起こりやすくなります。お腹のがんの治療をしているのに足腰が弱って転倒骨折し、がん治療も継続できなくなる例が非常に多いのです。
固形がんが抗がん剤治療によって治ることはありません。もちろん例外もありますが、基本的には抗がん剤治療は延命治療です。
つまりがんの総量を増やさないための治療です。
ここを誤解しているがん患者さんが多いのですね。
体力をつけ、筋肉量を減らさないために運動を
治らないがんであるからには、いかにがんの総量を増やさないようにして体力を維持するか。
そのためには運動が必要なのです。
抗がん剤治療の副作用が辛い、だから安静にしている。それはよくわかりますが、がん治療では安静は禁物です。
ほんの少し無理をする程度に運動する。運動といっても例えばスクワットをするとか、近所を散歩するとか、エスカレーターを使わないで階段を上るとか、そうしたほんの少しの心がけで筋肉量を維持することができます。
また運動することによってNK細胞が活発になり免疫力が向上します。これらによってがんが再発するリスクを抑えることもできるのです。
がん患者は、ともかく歩け、歩け
これが私の提案しているスローガンです
押川勝太郎先生と佐藤典宏先生の動画を紹介しておきます。
阿蘇山からの中継録画で風切り音が混ざっていますが、要点は聞き取れます。
佐藤先生の動画は、10回のシリーズで構成されています。紹介するのはその8回目です。
今は手術後も早期離床が原則です。
私の膵臓がん手術の例で言えば、三日後には看護師に支えられて廊下を少しだけ歩きました。その後は自力で病院の廊下を周回するようになり、無理をしすぎて点滴棒を担いだ状態で階段の上り下りをしていたら看護師に見つかりこっぴどく叱られました。
こんな無茶な無理はすべきではありませんが、ほんの少しの無理をすることをお勧めします。
手術後は、退院して翌日にはもう出社していました。バイクで10分ほどの距離なのですが、バイクの振動がお腹に響いてつらかったことを覚えています。
術後抗がん剤の始まる3ヶ月目頃からは、片道2.5キロの距離を毎日歩いて往復通勤をするようにしていました。これが私にとっての運動でしたね。
がんは、安静にしていれば治る病気ではないのです。