心の平安はがんの進行を抑え、QOLを改善する

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表現豊かに書くことで、がんの症状が抑えられる

『表現型の書き込みは、腎細胞がん患者の症状および身体機能を改善する』との題のASCOニュースがあります。

ASCOのニュース「Expressive Writing Improves Symptoms and Physical Function in Patients With Renal Cell Carcinoma

ステージ1から4の腎細胞がん患者277人を無作為に割り当てて、自分の心の奥にある本心と真摯に向き合って、表現豊かな執筆をした患者は、生活の質(QOL)が改善し、がんの症状も改善したとの報告です。

表情豊かに書くことで、腎細胞がん患者の身体症状が改善されることが、ランダム化比較試験で示されたものです。

無力感ががんに与える影響

喜怒哀楽を抑制している人は、自由に発散させることができる人に比べてがんになりやすいという研究はこれまでもたくさんあります。

シュレベールの『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』第5章「心の力」では、無力感ががんに与える影響として、マリーの例が紹介されています。

マリーの父親は、マリーが子どものころ家を出て、それ以後マリーには何の関心も示さなかった。成人になったマリーが結婚した若い夫には愛人ができ、結婚生活は破綻した。55歳になったマリーにできた20歳年下の愛人は、自分の子どもが欲しいと、去って行った。こうして無力感にさいなまれたマリーの腫瘍マーカーは高くなった。

重要な愛情関係の喪失は乳がんの罹患率を2倍に高めるし、苦痛を伴う別れや離婚は、伴侶の死よりもがんと直接的な相関関係がある。だから、がんと闘うためには、こうした無力感とも闘う必要があるのです。

無力感はトラウマとなり、心理的な傷は、体内の生理にも全面的な影響を及ぼします。心に深い傷を負ったとき、ストレス反応メカニズムが始動し、炎症反応、免疫力の低下が起こるのです。

しかし、脳にも心理的な傷に対する自然治癒のメカニズムが備わっています。そのメカニズムが効率よく始動するように援助することができるのです。

マリーの主治医は、彼女に生きる力を呼び戻す方法を見つけました。主治医は彼女の恋愛体験と悲惨な結末を小説として書くように勧めたのです。書き進めるに連れ、マリーから自殺願望はなくなりました。出版後、マリーの腫瘍マーカーは完全に正常値に戻っていました。

マリーも、自分の本心と真摯に向き合い、書くことによって無力感から抜け出すことができたのです。

書くことによって免疫システムが活発になる

オークランド大学医学部のキース・ペトリー博士は、人生でもっとも大変だったできごとについて、続けて4日間書くだけで、免疫システムが肝炎ワクチンに反応して抗体を作り出す能力を強めることを明らかにしています。

今回のASCOのニュースで紹介された試験では、心の平安が病気の進行に影響することを、ランダム化比較試験として科学的に明らかにしたことに意義があります。

心の平安を得る方法は、書くことだけではありません。趣味に打ちこむ、瞑想をするなど、自分の生命力とのつながりを復活されることなら、どのようなことでも良いのです。「心の力」ではがんを治すことはできないかもしれません。(何ごとにも例外があり、ライト氏の例ように一晩で癌が消える人も希にはいます)しかし、がんの進行を抑え、転移を予防することは誰にでも可能です。

無力感とともにやってくる「死への恐怖」も心の平安を損ない、免疫システムを混乱させます。ですから自分なりの「死」に対する考え方を持っておくことも大切です。

「心の平静さを保つことがいかに重要か、”病も気から”が科学的に証明される時代となった」と言えるでしょう。


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