膵臓がんの最期に丸山ワクチンにたどり着いて・・・

「丸山ワクチンの個別相談に応じます」という案内を出しておいたのですが、何人かの方からのご相談がありました。

それぞれが非常に難しいケースで、対応するのもいくつものハードルがあり、困難を極めましたが、その中の一つのケースが、昨日やっと解決しました。

解決するについては「丸山ワクチン患者・家族の会」の丸山さんの多大なご援助をいただくことができました。

きっかけはPanCafeへの投稿

きっかけはPanCafeに投稿された、ある女性からの呟きでした。

短く一言、「泣いて、苦しんでいます。」と書かれていました。

何があったのかと、PanCafeメンバーの仲間が励ましの投稿をする中で、「丸山ワクチンって何?」という彼女からの投稿が投げかけられたのです。

患者は彼女の夫で65歳、2年前に膵臓がんを告知され、膵頭部を切除しました。その後仕事にも復帰して順調に回復していたのですが、1年半後に膵臓に新たな腫瘍が見つかり、膵臓を全摘しました。

そして昨年の夏になって、新たに肝臓に10ヶ所、リンパ節にも2ヶ所の転移が見つかりました。主治医からは、もう長くはないと言われたので、夫は治療を拒否して自宅で介護を受けています。

体重はどんどん減少して寝たきり状態なので、夫は苦しまずに死にたいと言っています。日に日に衰弱していく夫の姿を見ると、彼女はいてもたってもいられません。

たとえ治らなくても良い、治ることは諦めたにしても、夫婦水入らずの時間を少しでも長く続けることはできないのか。それに役立つものはないのか。抗がん剤治療を拒否している夫に、何か希望を与えることのできる代わりの治療法はないのか、と考えていた彼女に”丸山ワクチン”という言葉が響いたのです。

「丸山ワクチン」という言葉は、彼女にとっては初めて聞く言葉でした。これまで治療法についての情報など、ほとんど集めてこなかったようです。

私から丸山ワクチンに関する情報を提供し、そこから彼女の奮闘が始まります。

何度も諦めかけた

大学病院の主治医は、まだ若い医者でした。その主治医に「丸山ワクチンをやってみたい」と告げると、「うちではそんな治療法はできない。どうしてもというのなら転院してほしい」と冷たくあしらわれます。

そこで、「丸山ワクチン患者と家族の会」に連絡を取り、一緒に具体的なサポートを始めたのです。

大学病院で一日おきの丸山ワクチンを打つのは無理だから、近くのクリニックを探しなさい。そのクリニックの先生に治験承諾書にサインをしてもらえばいいですよ、とアドバイスをしました。

ところが、2ヶ所のクリニックに当たったのですが、どちらのクリニックでも、「今の主治医の承諾がなければワクチンを打つことはできません」と断られてしまいます。

諦めかけた彼女に詳しく話を聞くと、大学病院の主治医からは、緩和ケアへの移行勧められていたというので、だったら丸山ワクチンを継続しても受け入れてくれる緩和ケア病棟、あるいは在宅看護をするのであればその先生に治験承諾書書いてもらえばいいでしょう、今の主治医を説得する必要はないでしょ、とアドバイスをしました。

義理の息子さんたちからは、遺産相続の話や葬儀の段取りの話しを強制されています。まだ患者は生きているのにです。そうしたいざこざも、彼女の苦悩を倍増させます。

何度も何度も、「もう諦めます」と言っていた彼女でしたが、私と丸山さんが「まだ諦めるのは早い。次はこの手で行きましょう。遺産相続の話なんか無視して放っておきなさい」と、新たな戦略を考えて彼女に伝え、励まし続けました。

3ヶ所目のクリニックで、ここは夫の膵臓がんを最初に見つけてくれた内科医院でしたが、そこの先生が引き受けてくれることになりました。喜びにあふれる彼女の電話の声が耳に残っています。

この間約10日間、私も色々と悩み考えましたが、急転直下で解決し、今はやれやれといった気分です。

「丸山ワクチン患者・家族の会」の丸山様のサポートはすばらしかったです。何度も長い電話で丁寧に説明し、導いてくれました。感謝の言葉もありません。

しかし、もう一つ問題がありました。働けない夫の代わりに外で働いて生活費を稼いでいる彼女です。寝たきりの夫と二人暮らしで、義理の子供達は遠くに住んでいます。介護の必要な寝たきりの夫を残して、東京までワクチンを取りに行くことが難しいと言います。

乗りかかった船ですから、私が代理人として、日本医科大学にワクチンを受け取りに行くことにしました。

がん患者には情報が大事

この例を考えると、いつもの教訓があります。

一つには、がん患者、特に膵臓がん患者にとっては、役に立つ情報に、いかに素早くアクセスできるかが、治療法を左右して、余命に影響することがあるということです。

副作用が辛くて抗がん剤治療をする前に、減薬を考えるとか、必要な疼痛管理をすることが大事なのですが、彼女の夫の場合にはそうした情報も持っておらず、ただ単に治療を拒否しただけでした。

大切な時期に、貴重な時間を無駄に過ごしてしまった気がします。

また、インフォームドコンセントとは、医者と患者が相談の上で治療法を決めるということなのですが、最後の決定権は患者側にあるのです。患者の価値観や人生観を詳しく医者に話し、自分に合った治療法を選ぶ権利は患者にあります。

今回の例では、主治医が若い医者だったので、丸山ワクチンについても良くは知らなかったようで、他の怪しげな代替療法と同じように受け取っていたようです。

確かに丸山ワクチンは標準治療ではありませんが、有償治験薬という特別扱いの治療法です。治験に参加したいという患者に対して、それならば他の病院に行けというのは全く理不尽の話です。

確かに効果があるかどうかはわかりません。しかしそれを言うならば、たくさんある臨床試験だって効果があるかどうかわからないから、それを確かめるために臨床試験はやるのであって、丸山ワクチンでも同じです。

患者組織とのつながりも予後を左右する

もう一つの教訓は、患者や家族の情報を集める力と行動力です。情報はインターネットで探すことができますが、最後は自分の足で、相手と面談して、自分の考えを正しく伝え、熱意で相手を説得することが大切です。

もう一つ大切なことは、『膵臓がん患者と家族の集い』のような患者組織や、PanCafeのような SNS を通じて繋がっている仲間からの励ましと援助、アドバイスは患者や家族のこころの支えになることです。

多くの膵臓がん患者と家族は孤独です。同じ病気で戦っている仲間と繋がっている感覚、安心感、心の余裕は、実際に体験した者でなければ、なかなか実感することはできませんが、治療過程の分岐点では、大きな力を発揮することがあります。

がんの王様と言われる膵臓がんですから予後は厳しいです。だからこそ、孤独にならずに仲間と支え合いながら、充実した患者生活を送りたいものです。


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