がん細胞を眠らせる

がん細胞を無理やり眠らせる薬剤が開発されました。がんとの共存が可能になるかもしれません。
米国マウントサイナイ医科大学(ISMMS)の研究で、活発に増殖する危険ながん細胞を強制的に休眠状態にする薬剤が発見されました。
元は時間が経過すると増殖をしたり利用したりすることがあります。このようにしてできた二次腫瘍は、治療薬に対して耐性を身に付けることが多いのです。
二次腫瘍ができる原因としてがんの「休眠能力」があります。
がん細胞は、激しく分裂をしている時に治療薬がよく効きます。逆にがん細胞は、治療薬に接すると分裂を押さえて「休眠状態」に入っていきます。こうして薬から逃れようとするのです。
研究チームはがん細胞を永久に休眠状態にしておけば患者は死ぬことはないだろうと考えました。
がん細胞の休眠と深く関わる NR2F1 を活性化させる薬剤を探したのです。
その結果、ChemBridge社から調達された「C26」と名付けられた小分子(C28H30N4OS)が、がん細胞の休眠を引き起こすNR2F1タンパク質を活性化させることが判明しました。
実験結果は「C26」が、がん細胞を強制的に「眠らせたままにする」ことで腫瘍を縮小させ、「手術できないがん」の手術を可能にし、危険な転移を完全に封じていることを示します。