がん自由診療クリニックの衰退

樹状細胞療法のテラの倒産が報じられました。

樹状細胞療法を行っていたがん患者にとっては、今後の対応が心配でしょうね。

テラについてはこのブログでも数回取り上げ、経営が危ないのは分かっていました。県立和歌山医大と共同で膵臓がんの臨床試験を行うなど、期待していた面もあるのですが、残念です。

この4月には、新型コロナの新薬を巡って騙されたのではないかと東京新聞が報じました。

新型コロナの新薬製造からは撤退し、株価も低迷。

2020年9月には既に、

テラが4日に発表した2020年1~6月期の連結決算は、最終損益が7億7700万円の赤字(前年同期は3億4900万円の赤字)となった。売上高は前年同期比71.3%減の3500万円、経常損益は8億1400万円の赤字(前年同期は3億3400万円の赤字)、営業損益は7億9400万円の赤字(前年同期は3億2300万円の赤字)だった。

利益面については、細胞医療事業において症例数が減少したこと、医薬品事業において膵臓がんに対する再生医療等製品としての樹状細胞ワクチンの承認取得を目指した開発活動を推進したことにより、最終損益は赤字、営業損益は赤字、経常損益は赤字となった。細胞医療事業において症例数が減少したことにより、売上高は減少となった。

と言われていたのです。

テラのことはさておき、他にも撤退したがん自由診療クリニックがあります。

がん研有明病院の連携医療施設を謳い、コータック診療も手掛けていた東京放射線クリニックは昨年末に業務を中止しているようです。

湘南メディカルクリニック新宿院が2020年5月末で閉院し、AGA(男性脱毛症)治療の専門クリニックに変身です。

院長の阿部吉伸医師は『アクセル+ブレーキ療法』を提唱し、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬とリンパ球療法などを併用して治療してきた方です。

治療費は1クール300~400万円で、全体の治療費はこれにがんのステージを掛ければ大まかな金額となるそうなので、ステージ4なら1600万円ほどの治療費です。

科学的根拠のない「血液クレンジング」も関わってきました。

芸能人や文化人が宣伝し、ドロドロになった血液を体外に取り出して、オゾンを注入して体内に戻すことでサラサラな血液になる。疲労回復や免疫機能の向上効果があり、がん治療にもなるかもしれない、と宣伝されて「血液クレンジング」、かつて、この宣伝に一役買っていたのが幻冬舎の見城徹社長です。

この見城氏が、音楽プロジューサーで作詞家の秋元康氏と一緒に、二週間に一回通ったというのが、「がんのアクセル+ブレーキ療法」を提唱している「湘南メディカルクリニック新宿院」だそうで、ここで「NKT細胞療法」と「血液クレンジング」を受けて「リフレッシュ」していると書いていました。

閉鎖されたので、このお二人は今はどうしているのでしょうね。

千葉ポートメディカルクリニック院長の今村貴樹氏が運営する「がん患者のあきらめない診察室」も2020年8月以来更新が止まり、多くのページがリンク切れになっています。

クリニックは開いておりがんの自由診療も看板には掲げていますが、アレルギーや皮膚科に軸足を移しているようです。

がん自由診療クリニック衰退の原因は?

一言で言えば、がん患者から見放されたってことでしょう。オプジーボなどのエビデンスのある免疫チェックポイント阻害剤などが健康保険で使えるようになりました。

まともなエビデンスのない自由診療の治療法は、比較されてしまうと勝ち目がありません。

しかし、もっと大きな理由は、長年新自由主義経済いう政策を取ってきて、その結果韓国にも追い越されるような平均賃金の下落。

つまり中流階層と言われる部分の経済状況が極端に悪化している。金を持ったがん患者が少なくなっていることです。

たとえ膵臓がんで余命が数ヶ月と言われても、数百万円あるいは1千万円以上をポンと出せるようながん患者がそうそういるわけではありません。

子供の教育資金にまで手を出して自由診療クリニックの免疫細胞療法を受けて後悔をしてきた方を何人も見ています。

これらの自由診療クリニックは、アベノミクスの犠牲者だという見方もできるかもしれませんね。

巷のクリニックは、いわば「零細な個人商店」です。昨今の経済悪化を受けて生き残りに必死なのでしょう。

金に困ると更に悪質になるのではないかと気がかりです。


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