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変わる病院、変わらない医者

国立がん研究センターが変わろうとしている。今年の4月に独立行政法人化したのを機会に、初代理事長に就任した嘉山孝正氏は、「今後は難治や再発がん患者を受け入れ、がん難民を出さない」と6月10日に開催した記者会見の席上で明言した。前院長の土屋了介医師が種をまき、嘉山氏が大きく育てようとしている。研究所長には中村祐輔氏が就任している。「患者必携サポートセンター」も開設して患者の相談にも積極的に応じようとしている。ホームページも大きく変わった。情報公開にも力を入れる。既に、同センターのウェブサイトを介して、中央病院、東病院の各診療所の治療成績をすべて公開した。治験に関する情報もより詳細な内容に更新されている。

これまで多くの患者が“国立がんセンター”というブランドに引きつけられ、同センターで治療を受けることを希望していた。しかし今後は、同センターでは再発や難治また合併症を持つがん患者が、早期がん患者よりも優先されることになる。病院の治療成績優先ではなく、”がん難民”・困っている患者を優先するという方針だ。土屋医師は以前に「がんセンターの治療成績は悪くて良いのです。難治がん患者を受けいれれば当然成績は悪くなるのだから」と言ったことがある。がん研究センターの公開された治療成績だけを見て病院を判断してはいけないということだ。

一方で、十年一日のごとく変わらない医者もいる。「週間がん もっといい日」のWshot00157_2
ウェブにある書籍の紹介記事が載った。このウェブは怪しげなサプリメントや代替療法を載せるかと思えば、結構有益でまっとうな記事を載せることもある。玉石混淆を絵に描いたようなウェブだが、今回は「石」のほうだろう。『がんを治す新漢方療法』吉林省通化長白山薬物研究所所長・北京振国中世医結合腫瘍病院院長、王振国氏の著作に帯津良一氏が推薦文を書いている。例の「天仙丸、天仙液」という抗がん漢方の宣伝本である。

天仙丸は、王振国氏が苦節35年、研究を始めて10年目にやっと第一弾の天仙丸が世に出たというから、すでに25年の歴史があるわけだ。日本でも1995年に『ガンに克つ中国一号天仙液の驚異』という本が王振国著で出版されている。25年も研究を重ねていればさぞかしすばらしい成果があるに違いないと誰しも思う。天仙液のオフィシャルウェブを見ると、天仙液は世界各国の大学病院・研究機関で臨床試験が実施され、抗がん作用が実証されているそうだ。しかし公開されたPDFファイルを詳細に見ると、すべての臨床試験がヒトのがん細胞を使った試験管内での試験、あるいはマウスでの試験である。ヒトに対しての臨床試験はひとつもない。もちろん腫瘍毎の生存率のデータなどは見あたらない。

25年も研究・臨床試験をやってきたというのに、ヒトに対するデータがないとは、いったいこれはどうしたことなのか?

梅澤先生がブログで天仙液を飲んでいる患者について書かれているが、天仙液が効いたと思われる患者さんは1人も見たことはないと断言している。ただし、「天仙液の点滴注射」を中国で打った後は検査データが改善した、とも付け加えている。中国ではがんになると家を売って天仙液を買うのだという。高価である。20cc入りのアンプル一本が約2,200円で、60本セット価格が133,000円。これが1クール約1ヶ月分である。

帯津良一氏は以前からこの天仙液を勧め、販売に協力しているが、今回もまた新しい本の出版に際して手を貸そうということらしい。帯津氏の著書を見ていくと、高用量ビタミンC療法に手を出したかと思うと、ガストン・ネサンのソマチッドを推奨してみたり、手当たり次第という気がする。そしてしばらくして「いや~、あれは効果がないことが分かったから止めた」と著書で堂々とのたまうのである。帯津三敬病院の患者はモルモットなのか? いや、モルモット以下の扱いだ。モルモットなら少なくともデータ作成に役立ったということもある。彼の患者は治療効果を判断するためのデータにすら寄与していない。帯津氏が何らかの治療法についてきちんとしたデータを出したことはない。

念のために書いておくが、私は天仙液に効果がないとは言っていない。ヒトに効果があるのならマウスや試験管でのデータでなく、人間のデータを出しなさい、と言っているのである。漢方薬だって効果があれば標準医療に取り入れられる。「癌霊1号」という漢方薬が白血病に効くということがわかり、日本でも2004年10月に保険承認を取得した。商品名は「トリセノックス」という。(NATRONの日記より)

だから、本当に効果があるのなら、高額な食品としてではなく、すべてのがん患者が使えるようにすべきだろう。ましてや、がん患者のことを深く思っている帯津氏である。そのように勧めるべきではないか。

ホメオパシーに関しても帯津三敬病院は引き続き投薬するのだと公言している。「金」になることならなんでも取り入れるし、金づるは決して手放さないという決意は、帯津氏も寅子先生と同様である。

著作を次々と、普通の人間ならあり得ないほど出版したり、マスコミへの露出度が高い学者・医者などは、一般論としていえばだが、こんな人物は「要注意」だ。


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