粒子線治療は膵臓がんの標準治療となるか?


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【下段に追記しました】

著者の菱川良夫氏は、元兵庫県立粒子線医療センター院長だった人ですが、2010年4月から鹿児島県指宿に建設されたメディポリス医学研究財団がん粒子線治療研究センター長に就任されています。1月15日には、前立腺がん患者第一例目の粒子線(陽子線)治療が始まりました。滞在型の温泉や宿泊施設、ゴルフ場・テニス場も備えた総合施設です。

「がんは治る!」時代が来た
「がんは治る!」時代が来た』は、このがん粒子線治療研究センターの紹介と、粒子線とは何かを一般の方にもわかりやすく解説した本です。ブラッグピークによって放射線(光子線)よりも周辺の組織への影響がほとんどないこと、大きながんにも効く、1日1分の照射で計画的に治療が進められるなど、粒子線治療の特徴も詳しく紹介されています。また、高周波ハイパーサーミア・免疫細胞治療も同じ施設内で受けることができるそうです。

膵臓がんに関しては特別の期待を持っているようで、「従来では治せなかった膵臓がん克服への大きな可能性」と一節を設けて「従来の放射線の3割増しの照射ができるようになって、抗がん剤との併用で局所進行膵癌でも治る可能性が出てきた」と述べています。さらに、膵臓がんなどの、粒子線でなら治る可能性のあるがんに限定して保険適用をするべきではないかとも書いています。現在は先進医療で粒子線治療部分は完全に自由診療であり、300万円かかるようです。これが膵臓がんだけでも保険適用になることの恩恵は大きいです。他の治療法でも治る可能性があるがんにまで保険適用するのは、財政上の負担も考えると現実的ではないかもしれません。まずは膵臓がんのように治癒の難しいものを保険適用するという考えは現実的でしょう。

手術不能の局所進行膵がんに抗がん剤以外の治療法が保険でできるようになるなら、膵臓がん患者にとって大きな希望になるに違いありません。

切らずに治すがん粒子線治療革命―「メディポリス指宿」の挑戦
兵庫県立粒子線医療センターとは違って、指宿の施設は陽子線の施設だけであり、重粒子線はありません。著者は陽子線も重粒子線(炭素線)もほぼ同じだとは言うのですが。

同じメディポリス医学研究財団がん粒子線治療研究センターを紹介した本で『切らずに治すがん粒子線治療革命―「メディポリス指宿」の挑戦
』も出版されています。

民間施設ですから、それの宣伝本だと割り切った上で必要な情報だけを読む、そんな読み方でよい。住友生命の会長が推薦文を書いているくらいです。現状では富裕層や海外の大金持ちをターゲットにした施設であり、大多数のがん患者には無縁の存在でしょう。


「粒子線施設もう要らない」と題する北海道がんセンター長・西尾氏の講演内容(抜粋)がロハス・メディカルにアップされています。

コンピュータ技術がなかった時に考えられた粒子線治療と、今コンピュータの進歩で同じような放射線のかけ方をできるようになった。たとえば前立腺がんで言えば重粒子線で絞り込んでかけようが、放射線をコンピュータの技術で絞り込んでかけようが、成績はほとんど変わらないということになります。

骨肉腫だとか悪性黒色腫だとか、非常に効きにくいがんがあります。そういうものに関しては同じ粒子線でも炭素イオン線というのがあって、細胞をやっつける力が普通のX線の3倍くらい強い。ですから普通の放射線の効きにくいがんについては炭素イオン線なんかを使えばやっつけられる。日本で炭素線の装置は4カ所目が動き出そうとしている。そうしたら、それで全部さばけちゃうわけです。

陽子線治療も、このままいくと16カ所になります。そんなにそれが必要な患者さんはいません。ですからそういうのは十分に適応のある患者さんをそこに送ってやれば日本全国で出てくる患者さんをさばけるわけです。僕は、もう要らないって言っているんですけど、企業がつるんでですね儲けのために入り込んできている。そうすると結局むしり取られるのは患者さんなんですよ。

まだ臨床試験段階の装置、それも巨大装置に資源を使うべきではないと思いますね。医療の分野でまだ他に必要なところがある。近藤誠氏が日本におけるCTの異常に多いことを指摘していますが、粒子線も同じことになりそうです。どうして日本人はこんなに新しもの好きで、新技術にのめり込むのでしょうか。重粒子線にしても白血球数の減少という副作用が問題になっているのですから、しっかりと試験をするのが現状で取り組むべきことでしょう。基礎的なデータをいい加減にして、ともかく実用化というのは、イレッサでも同じ構図です。

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