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がん患者と老子ー電車で老子に会った話

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加島祥造と老子

N『老子』 2013年5月 (100分 de 名著)HK Eテレ5月の「100分 de 名著」は「老子」です。テキストも買って、どのような老子論が展開されるのかと放映を楽しみにしている。第1回は明日放映です。

手術後に、ICUで許された1日にたった一杯の水を飲めることが嬉しく、ベッドで足を伸ばして上向きにゆったりとできることが嬉しく、窓ガラスに、台風による雨滴が流れる様に見とれていたものだ。

老子の漢文は難解ですが、幸い加島祥造の現代語訳を知ることができ、加島訳の老子は私の胸にすとんと落ちました。このブログでも何度も紹介してきました。

老子はニヒリズム(虚無主義)だと言われるが、老子の虚無主義は絶望ではなく、自由であり希望です。この世も人生も”本質的に”無意味だと言うことであり、宇宙レベルで見て、私や人類の存在には根源的な意味がないということだ。だから逆に、自分の人生は自分で勝手に意味を見出せば良いし、たとえ癌であっても、こう生きようと自由に決めて良い。本来は意味のない”無”であるはずの”この私”が”存在している”という”奇跡”が、希望なのだ。大いなる”タオ”に生かされている私という希望なのです。

電車で老子に会った話

寺田寅彦が「電車で老子に会った話」に書いているが、老子には「無限」の概念がある。「大方無隅・・・」を「無限に大きな四角には角がない、無限に大きい容器は何者をも包蔵しない、無限に大きい音は声がない、無限に大きな象には形態がない」と訳している。「無限の遠方は復帰である」などはアインシュタインの「真っ直ぐに進んだ光は帰ってくる」閉じた宇宙を連想させる。

「故至数車無車 ゆえに車を数えることをいたせば車なし」を「部分の総和は全体ではない」と訳すことで、老子の中に複雑系や自己組織化の思想すら読み取ることができる。

「無欲、足るを知る」を説いた老子だが、仏陀もキリストも根本的には同じことを言っている。欲望を捨てないかぎり幸福にはなれないと。マルクスにおいても「資本論」において資本主義を頭から否定しているわけではない。むしろ歴史的にも必然的な制度であり、「蓄積欲」を利用して経済発展を遂げるというシステムにより人類は長く悩んできた飢えからも解放されたと説いている。しかし、その欲望から解放されない限り人間の幸福は訪れないとも説いている。

15万人の福島県民が故郷を追われているにもかかわらず、原発を再稼働させて、更に輸出までしようという「経済至上主義、新自由主義」は、人間の欲の果てしなさを表している。


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