食事と運動でがん患者の生存率は伸びる
がん予防の食事は、がんができてしまった患者には効果がない、という医者もいますが、それは間違っています。
彼らが大好きなエビデンス(科学的な証拠)を使って反論してみます。
がんの術後抗がん剤治療と、食事と運動の影響を調べた研究
大腸がん(結腸がんの3期)で手術を受けた患者さんを対象に、術後補助化学療法の効果を調べた臨床試験である(06年)。「5-FU(一般名フルオロウラシル)+ロイコボリン(ホリナートカルシウム)」群と、「5-FU+ロイコボリン+イリノテカン(商品名カンプト/トポテシン)」群を比較している。
その結果、イリノテカンを加えても生存期間は延びず、副作用が増加することが明らかになった。この3剤併用療法は進行再発大腸がんの治療では有効だが、術後治療には適していなかったのだ。そしてこの臨床試験が興味深いのは、食事や運動の影響についても調べている点だ。
食事に関しては、補助化学療法中と6カ月後の食事内容について質問に答えてもらい、その影響を調べている。野菜、果物、鶏肉、魚などの「理想食」と、牛肉、脂肪、精製穀類、デザートなどの「欧米食」を、どのくらい摂取しているかが、生存期間にどう影響するかを調べた。
結論は、欧米食を多くとるほど生存期間が短くなるというものだった。欧米食を食べる程度で4段階に分けると、最も欧米食が少ない群に比べ、最も欧米食の多い群は、再発のリスクが3.25倍に増加していた。
運動に関しては、1週間に3MET時間(軽いウォーキングなら1時間)以下の運動しかしない人に比べ、18MET時間(同6時間)以上運動する人は、再発のリスクが45~49パーセント低下していた。
抗がん剤は、期待するほど大きな効果を発揮しないかもしれません。一方、適切な栄養や運動は、ときに抗がん剤治療に匹敵するほど大きな影響を示ことがあります。がんの患者さんは、そのことをぜひ知っておいてほしいと思いますね。
1週間に6時間のウォーキングを継続することは少し難しいかもしれないが、室内でもスクワットや腕立て伏せを加えればそれほど困難なことではない。
がん患者は代替医療に「魔法の弾丸」を求めようとするが、近代医学に対しても「魔法の弾丸」を求めようとしているかのようだ。
この図を見ると、野菜と果物をたくさん摂って、適当な運動をすることの重要さがよく分かる。食事と運動は抗がん剤の効果をしのぐこともあるのだ。
がん予防効果のある食事は、がん治療にも有効
また、“がんを防ぐ食事” と“がん療養中の患者さんの食事” を分けて考えることもない。がんの増殖メカニズムは一緒なのだから、がんを防ぐ食事は、既にがん細胞を持った患者にも有効なはずである。
がんのサバイバー(がん治療経験者)を対象にした研究は、あまりありませんが、がん予防に関するエビデンスは非常に多いのです。有効に活用すれば良い。
がん予防のエビデンスは、がん患者の治療法にも採用してよいのである。緑茶のEDCGにがん予防効果があるのなら、がん患者は治療効果を期待しても良いのだから、私は毎日飲んでいる。
ともすれば一つの食材に「魔法の弾丸」を期待して取り入れようとするが、そんなものがあればとっくに治療に採用されている。
食事と運動の目的は「がんを作らない、育てない」体内環境をつくることにある。現在医学でがん治療をするのは、あくまでも補助手段であって、抗がん剤で小さくなったがん細胞を寛解にまで持っていくのは、患者の体内環境、免疫の働きである。
がん治療の目的でサプリメントを摂ることはムダである。サプリメントは食事で不足しがちな栄養素を補充するためには利用しても良いだろう。
私はマルチビタミンを摂っているのは、がん患者はビタミンが不足しがちであることと、日本人には圧倒的に不足しているビタミンDの補給が目的である。ビタミンDの抗がん作用については過去に何度も書いている。
サプリメントの膵臓がんに関しての情報を探すのであれば、『「健康食品」の安全性・有効性情報』に次のようなキーワードでサイト内を検索すれば良い。
膵臓がんでは、
- 緑茶(カテキン)
- 魚油(EPA、DHA)
- シイタケ
ーアガリクスよりよほどましー - メラトニン
- ビタミンD:多くても少なすぎてもリスクが高くなる。これについては「米国統合医療ノート」を参照してください。
- ウコン(クルクミン)
に少し期待が持てる。