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雨上がりに咲く向日葵のように

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25日に山下弘子さんが亡くなりました。19歳で肝臓がんが見つかり、余命半年を告知され、それでも希望を見失わずに「雨上がりに咲く向日葵のように」生きてこられました。

昨年に、彼女のブログが引っ越されてからチェックを怠っていたのですが、ニュースで知りました。

今を生きる
今までありがとうございました。 - 今を生きる
http://www.yamashitahiroko.com/2018/03/30/%e4%bb%8a%e3%81%be%e3%81%a7%e3%81%82%e3%82%8a%e3%81%8c%e3%81%a8%e3%81%86%e3%81%94%e3%81%96%e3%81%84%e3%81%be%e3%81%97%e3%81%9f%e3%80%82/
夫の前田朋己です。 ひろに多くの激励や祈りをありがとうございました。 3月25日 午前6時42分 彼女は、病院 … "今までありがとうございました。" の続きを読む
雨上がりに咲く向日葵のように ~「余命半年」宣告の先を生きるということ

雨上がりに咲く向日葵のように ~「余命半年」宣告の先を生きるということ

山下 弘子
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彼女の闘病記にはこのように書かれていました。

私はまったく絶望していません。むしろ、毎日、幸せを感じながら過ごしているのです。

「人はいつ死ぬかわからない」

「与えられた時間は有限である」

私はがんにそう学んだことで、がむしゃらに生きるのが正解だと思い、そう生きてきました。

しかし、その結果、生き急ぐ毎日を送るだけになってしまいました。

迷い悩みながら、「社会のために」「誰かに貢献したい」と、積極的に講演を引き受けるなどの活動でがんばってきたのですが、それも限界になり、「自分のために」やっているのだと考えを変えることで、日々の行動が楽しくなっていきます。

周囲の愛を感じることで、生きていける。生きていることで、周囲の皆を喜ばせることができる。そう考えれば生きていることが楽しく、今は幸せである。こうした心境に達しているのですね。

アフラックのCMにも登場して話題になりました。

再発・転移してたくさんの治験にチャレンジし、最後は受けられる臨床試験もなくなりました。保険適用外のエビデンス(科学的な証拠)のない治療法も試しました。そうした彼女の行動に対して、一部の腫瘍内科医からは心ない非難の言葉もありました。

彼女の富士山登山に付き合った医師の中山祐次郎氏が、日経メディカルに「19歳で癌 山下弘子の旅立ち、癌治療のEBMとNBM」として書いています。

私は癌の専門家として、普段はエビデンスを核としたEBM(Evidence based medicine)による医療を行っています。が、実は癌治療に欠かせないのはNBM(Narrative based medicine)です。EBMとNBMは、車の両輪のようにどちらもがうまく動いて初めて治療をすることができるのです。特に癌治療の場合、それは顕著です。

保険適応外と聞くと我々医療者は「え、大丈夫?」と思ってしまいます。が、担当していた先生方はみな素晴らしい先生方でしたし、結果的に弘子さんの予後をかなり延長してくれました。感謝しかありません。国内の医師から、その先生方を攻撃するような発言があるたびに彼女は悩んでいました。「ねえ、なんであんなこと言うの?」と。その度に私も返答に困りました。

標準治療が終わってしまった後の患者さんに対して、我々癌の専門家は無力です。いえ、正確にいえば「標準治療が全て無効になってしまったが、もっと積極的治療をしたい」患者さんには無力、ですね。彼女はまさにここに当てはまりました。そういう人がどこに行けばいいのか。おそらくほとんどの場合、自由診療の癌治療を行っているところへ行っているでしょう。その中には、インチキで超高額なところもあります。この人たちのきちんとした受け皿がないのは、非常に大きな問題だと思っています。「エビデンスがあるのは緩和ですから、緩和へ行きましょう」では、納得いただけないでしょう。

NBM(Narrative based medicine)は、「物語と対話による医療」と訳されるように、患者が語る病気になった理由や経緯、病気についていまどのように考えているかなどの「物語」から、病気の背景や人間関係を理解し、患者の抱えている問題に対して全人的(身体的、精神・心理的、社会的)にアプローチしていこうとする臨床手法です。

余命半年の宣告から6年あまり、結婚式も挙げて、輝いて駆け抜けるように生き抜いた彼女の「物語」に対して、「エビデンスがあるのは緩和医療だけです」は、新しいパターナリズム(父権的干渉主義)であり、うつろに響くだけです。パターナリズムへの反省として生まれてきたEBMが、また新しいパターナリズムを育てている、そんな気がします。


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