血糖値が高いと、充分ながん治療が受けられない

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がん患者は糖尿病を併発している

東京築地の国立がん研究センター中央病院でも、糖尿病を合併する患者は多いようで、入院病床600のうち、約60人は糖尿病を合併しているそうです。

糖尿病を合併する患者の3分の2は内科系の診療科を受診しており、その3分の2は膵臓がん。つまり、約2分の1が膵臓がんです。

さらに困るのは、抗がん剤には高血糖を招くものが多いことです。

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とりわけ注意を要するのは分子標的治療薬です。このタイプの薬剤は細胞増殖のシグナル伝達を阻害するものが多く、インスリン本来の働きと拮抗してしまう。

血糖値が高いと患者は不利益を被る

ある患者は、FOLFIRINOXによる治療を受けていたところ、全身状態が急激に悪化してきた。体重も減少し、全身倦怠感も強く、治療の中止が検討された。しばらく測定していなかったHbA1cを測定したところ、12%を超えていたという。

FOLFIRINOXの投与前には血糖値やHbA1cの測定は必ずやってもらおう。

薬物療法を受けているがん患者は体調不良が半ば常態化しているので、我慢して不調に耐える傾向がある。脱水、高血糖さらに脱水という悪循環が進行して、ときには昏睡状態になるほど高血糖を招くことがある。

上のFOLFIRINOX患者の例のように、糖尿病を併発していると、本来受けられる治療を受けられない不利益を被っているかもしれません。血糖値管理がなされていない患者は手術後の創部感染が起こりやすく、縫合不全のリスクも高まる。

膵臓がんでは、手術ができるかどうかが長く生きられるかどうかの分かれ目だが、手術の可否を最終的に決定するのは麻酔科医である。安全に麻酔をかけられる血糖値にならないと、麻酔医からOKは出ず、手術をすることはできません。血糖値をシビアに評価された結果、麻酔科から差し戻されるケースもあるのです。

抗がん剤の副作用を抑える制吐薬によく使われるステロイドは肝臓で糖新生を促進し、筋肉組織で糖利用を阻害するなど、インスリンと正反対の作用があり、高血糖を起こしやすい。これがさらに悪循環を招くことになる。

がん細胞が分泌産生する腫瘍壊死因子(TNF)αなどの炎症性サイトカインがインスリン抵抗性を惹起することも知られている。

血糖値管理は膵癌患者の予後を左右する

以上、見てきたようにがんと糖尿病(血糖値)には密接な関係がある。

抗がん剤は高血糖を招きやすいし、さらに膵臓がん患者は高血糖になりやすい。抗がん剤治療中、特にFOLFIRINOXを投与中の患者は、血糖値の管理にも十分注意を払うべきです。

がんの患者さんにとっても、手術前後、抗がん剤治療中の血糖コントロールは重要です。十分な治療を受けるためにも、薬物療法だけではなく、糖質制限食などによって血糖値は自己管理するようにしましょう。


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