丸山ワクチンは今・・・ 効くのか効かないのか

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丸山ワクチンって?

「丸山ワクチン」については、最近のがん患者ではご存じない方も多いようですが、一時はブームになりました。

丸山ワクチンは、日本医科大学皮膚科教授だった丸山千里博士が開発したがん免疫療法剤です。今免疫療法が話題ですが、丸山ワクチンも一種の免疫療法剤です。1944年、丸山博士によって皮膚結核の治療のために開発され、その後、肺結核、ハンセン病の治療にも用いられた。
1976年11月に、ゼリア新薬工業から厚生省に「抗悪性腫瘍剤」としての承認申請を行うが、1981年8月に厚生省が不承認とした。ただし、「引き続き研究継続をする」とし、異例の有償治験薬として患者に供給することを認め、現在に至る。
支持者たちは末期のがん患者に効果があると主張しているが、薬効の証明の目処は立っていない。

この最後の部分は、現在では少し違います。子宮頸がんでの臨床試験が新たに進んでいるのです。

テレビで丸山ワクチンの特集が放送されると、日本医科大病院の電話が一晩中鳴りっぱなしになるほどの反響でした。ワクチンの希望者は1日700人以上にも達し、病院の廊下が患者やその家族で埋まったのです。

私も当時の過熱ぶりをうっすらと記憶しています。

丸山ワクチンを巡る経過

同時期に承認されたクレスチン、ピシバニールに比べて、丸山ワクチンの承認過程が「不公平」だとの批判もあります。詳細はWikipediaの「丸山ワクチン」の項に譲るとして、クレスチンはこの3月で製造中止になります。

丸山ワクチンと同時期にスピード申請されたこの二つの新薬は、8年後には効果が見直されて、単独使用での有効性は否定されたのです。

薬として承認はしないが、「有償治験薬」としては認める。なんともおかしげな行政の対応に、製薬企業と調査会の委員との間に、何らかの金銭関係はなかったのかとの疑念を持ちます。現在でも臨床試験に関する数数の疑惑が報道されていますが、当時はさらに癒着する温床があったのかもしれません。

第094回国会社会労働委員会において、村山達雄厚生大臣は丸山ワクチンに縮小効果が見られなかったので延命効果判定を導入したと答弁しています。

現在抗がん剤は延命効果が亡ければ承認されませんが、当時は腫瘍縮小効果だけでも承認されたのでした。丸山ワクチンが、延命効果で薬効を決めるきっかけを作ったとも言えます。

見直される丸山ワクチン

昨日9日に放映された、日本テレビ「ザ!世界仰天ニュース 国が認めない丸山ワクチンの謎」では、丸山ワクチンの歴史が要領よくまとめられていました。

  • 回復の見込みはないと宣告された急性リンパ性白血病の少年が丸山ワクチンで1年後には退院するまでに回復した
  • 山形の加納医師による5年にわたる丸山ワクチン単独投与の臨床データがまとめられ、根治困難とされる進行癌5年以上の患者生存率が47.4%という結果が出た。
  • 末期ガン患者の32例で抗ガン剤のみの治療の1年生存率が1.5%、
    2年生存率はゼロだったのに対し、丸山ワクチンを併用した方は1年生存率が28.1%、
    2年生存率は9.4%と明確な差が出た。
  • 東北大学の比較臨床結果では、ガンを小さくしたりする制ガン効果は否定したが、
    やはり延命効果は認めるものだった。
今でも健康保険で使える丸山ワクチン

アンサー20という薬剤がありますが、これは丸山ワクチンを10倍に濃縮した薬剤です。健康保険では、「放射線治療時の白血球の減少」に対してだけ、その使用が認められています。陽子線治療施設で使われている例もあるようです。もちろん健康保険が適用できます。1アンプルの薬価が3000円ほどですから、患者負担は1000円ほどです。全額自費で賄ったとしても週1回なら月に12000円ほどですね。

放射線治療を行っている患者は、主治医に相談してもよろしいでしょう。

丸山ワクチンの新しい臨床試験

1992年、子宮頚がんIII期の患者を対象に調べたところ、丸山ワクチンの濃度を40μgの最大にした注射液が、腫瘍縮小率に優れていた。そこで40μg液を使った場合の患者の生存率を二重盲検法で調べることになり、濃度を極めて薄くした丸山ワクチンB液(濃度0.2μg)を使った。その結果は、5年生存率において、丸山ワクチン40μg液は41.5%でプラセボ代わりの0.2μg液(B液)を使った患者は58.2%。その差が逆転した。

次におこなった250人程度を対象としたB液での臨床試験を実施した。放射線療法+丸山ワクチンB液と、放射線療法+プラセボの二重盲検試験である。これで5年生存率を調べたところ、前者が75.7%、後者が65.8%という数字が出た。

ただし、臨床試験の期間において医療機関に放射線化学療法が導入されて患者の予後が予想以上に良くなったこと、病期II期の患者数が想定していたよりも多かったことなどから、統計学的には有意差を認めるに至らなかった。対象者のなかのⅢ期の患者だけの分析では有意だったが、数が少なく、信頼性がないとされた。

この試験に関わった埼玉医科大学の藤原恵一医師らは、2013年6月のASCO(米国臨床腫瘍学会)においてこれらの試験データを公表し、もう一度この結果を検証するため現在臨床試験を行っている。

その臨床試験のデータはこちらに登録されています。
Randomized Study of Z-100 Plus Radiation Therapy to Treat Cervical Cancer

「Z-100」が低濃度の丸山ワクチンの一般名称です。ステージⅢBの子宮頸がんにおけるアジア共同治験で、ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験が第3相試験までいっています。その結果次第では丸山ワクチンの見直しがされるかもしれません。

不幸な経過を辿った丸山ワクチンですが、ここに来て見直しの機運があるようです。

丸山ワクチンはどこで受けられるのか

「有償試験薬」という性格上、日本医科大学付属病院ワクチン療法研究施設でワクチンを購入し、地元の医院で投与してもらう流れになります。

詳しくは「丸山ワクチン・オフィシャルサイト」に記載されています。

<以下オフィシャルサイトより抜粋>

●丸山ワクチンの治療を受けるまでの流れ
(1)治験を医師に依頼する
(2)必要書類の用意
(3)ワクチン療法研究施設へ

(1)治験を医師に依頼する
第一に、丸山ワクチンによる「治験」を引き受けていただけるよう、医師にご相談ください。その医師が治験担当医師となります。患者さんの病状を最もよく把握している主治医にお願いするのがよいでしょう。
ただし、週3回注射に通わなければなりませんので、ご近所にかかりつけの医師(ホームドクター)がいればその医師に相談する方が便利な場合もあります。診療施設の指定はありませんので、主治医のほかに週3回の通院が可能な病院・診療所でご相談ください。

(2)必要書類の用意
治験担当医師が決まりましたら、治験承諾書(丸山ワクチンによる治験を 引き受けるという治験担当医師の承諾書)とSSM治験登録書(現在までの治療経過をまとめた書類)への記入をお願いしてください。これらの書類は当研究施設に用意してあります。下記の「関係書類一覧」からダウンロードできますので、ご利用ください。

お急ぎのときは、とりあえず、書式は問いませんので、担当医師に「紹介状の形式で『丸山ワクチンの治験を引き受けること』と現在までの治療経過(概略でも可)とを書いてください」とご依頼ください。その書類で代用できます。
この場合は、再診時に当方所定の書類をご提出(郵送可)いただきます。
関連書類一覧→

(3)ワクチン療法研究施設へ
必要書類が入手できましたら、初回は、治験担当医師に代わってご家族か身内の方にワクチン療法研究施設へ来院していただきます(予約の必要はありません)。
診療はありませんので、患者さんご本人がいらっしゃる必要はありません。


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