腹膜播種でもあきらめない!

転移したがんは治療が困難だといわれています。既に体全体にがん細胞が散らばっており、その一部が大きくなって画像では見えていても、見えないがん細胞がたくさんあるから、局所的に手術などをしても治癒は望めないし、延命効果も限られているという考えです。

腹膜播種も「腹膜転移」と言われるように、転移の一種です。しかしまだ打つ手はあります。

腹腔内抗がん剤投与

胃がんでは先進医療として行われている治療法であるが、これをすい臓がんに応用した臨床研究が、東大付属病院で進んでいる。腹膜播種が生じたすい臓がん末期の患者に、S-1、パクリタキセルと併用して腹腔内に直接抗がん剤を注入する治療法である。

30名ほど治療をした結果、約6割で腹水が減ったり消失した。中にはがんが完全に見えなくなった患者もいる。

その結果、手術ができるようになる患者もいるのです。

この臨床研究に参加したMYUさんが、その経過や結果をブログに書いています。病院の不手際で数数のトラブルに巻き込まれ、結果は芳しくなかったようですが、検討する際の参考になるでしょう。

東大付属病院以外でもいくつかの臨床試験が計画されています。こうした場合は、『臨床試験ポータルサイト』で検索してみましょう。

今日現在の「腹膜播種」で検索した結果です。49件ほどあります。

臨床試験に参加するための条件は厳しいですから、内容をよく調べて、なにはともあれ電話をして確認することです。ネットで調べてあきらめてはいけません。足と耳を使いましょう。

名古屋大学消化器外科の例

2年前のアエラの記事ですが、

藤井医師は、関西医科大学との共同臨床研究として、胃がんや卵巣がんで成果を出している治療法を応用している。

「おなかにリザーバーという差し入れ口を設け、そこから腹腔内に直接、抗がん剤のパクリタキセルを投与します」(藤井医師)

多くの薬が血管や粘膜を通して薬剤を浸透させるのに対し、がんに向かってダイレクトに薬を付けるということになる。

藤井医師と共同研究チームは、膵がんで腹膜播種になっている33人に実施。8人が不可能だった手術を受けられるようになった。この内容は、世界的に権威のある医学雑誌「Annals of Surgery」に掲載された。

「ただし、腹膜播種は小さいのでCTでも見つからないことが多い。なので私は、進行膵がんであれば審査腹腔鏡もおこないます」(同)

審査腹腔鏡は、CTなどの画像診断では検出できない腹膜転移を診断できる。腹膜播種が見つからなければ、抗がん剤や放射線で手術可能に持っていく。治療方針が大きく変わるので必須の検査だという。

「膵がんで手術不可能だと言われても、決してあきらめないでほしい。『治療が難しい』と言われても、ぜひセカンドオピニオンを受けてください」(同)

審査腹腔鏡は小さな腹膜播種でも見つけられるので、治療法の選択と治療結果の判定に役立ちます。

この審査腹腔鏡を使って腹水内にがん細胞がないことが確認でき、手術に持ち込めたのがワタクシさんです。

このように紹介すると、コメントやメールで問い合わせる方がいますが、迷惑ですから止めましょう。少なくともブログの記事をすべて読んで、自分なりに調べることです。短いコメントやメールで尋ねられても、相手の病状や年齢などの状況がわからずに返答に苦慮します。中には自分の名前も名乗らない猛者もいます。

腹膜内にがん細胞があったら

腹膜内にがん細胞が見つかっても、あきらめるにはまだ早いです。

術中腹腔内温熱化学療法( HIPEC)

腹膜播種は重大な疾患ですが、その臨床経過を見ると腹腔内以外への進展が意外に少ないことが経験上分かっています。つまり、腹膜播種は局所の病気とも言えます。

腹膜播種を伴う悪性疾患に対する通常の治療法(抗がん剤治療や姑息的手術)の生存率は非常に悪いことが知られていますが、適切な症例を選択したうえで播種病変を切除する腹膜切除術と温熱化学療法を行うと比較的良好な成績が得られることが報告されてきており、欧米では腹膜播種患者の治療法の選択肢の一つとして確立されています。

これは、術中腹腔内温熱化学療法( HIPEC)と言われる治療法です。

滋賀医科大学のサイトでは、このように紹介されています。

腹腔内のガンを臓器と共に切除した後、腹腔内に残存しているガン細胞(目に見えないことが多い)を、抗癌剤と温熱作用により、殺傷することを目的とします。
滋賀医科大学消化器外科では、ガンの種類により、複数の抗がん剤を組み合わせ、腹腔内に入れた温かい生理食塩水を42℃から43℃に加温して、均一な濃度、均一な温度になるように十分にかき回して、腹腔内をかくはんします。
腹腔内にいれた抗がん剤は極めて高い濃度でガン細胞を攻撃します。温熱の作用で、抗がん剤の効果が高まります。さらに、温熱作用により、抗がん剤は腹膜にもぐったガン細胞まで届きやすくなり、腹腔内のあらゆる場所に潜んだガン細胞を殺傷することが可能になります。

他に有名なのは、草津総合病院 腹膜播種センターや、岸和田徳州会病院 腹膜播種センターがあります。どちらも、腹膜播種の治療で有名な米村豊医師が外来担当の責任医師です。

「”腹膜播種センター” 審査腹腔鏡」など、キーワードを工夫して検索してみましょう。結構たくさんの病院が検索結果に出てきます。住まいの近くで見つかるかもしれません。”腹膜播種センター”とダブルクオテーションで囲めば絞り込めます。

「”腹膜播種センター” 東京」で検索すると、このような記事が見つかりました。

「腹膜偽粘液腫」という病気は、100万人に1人の確率で発症する、難治性疾患です。
この病気の治療方法は、腹膜切除術で、腹膜に付いた腫瘍を切除することでしか、治せません。腹膜切除術を心得た、スーパードクターがいるということです。

腹膜播種が対象ではなくても、腹膜切除術に長けた医師もいるということですね。

ネットの検索上手になる

ネット検索で狙った情報を得るには、複合キーワードを上手に使うことです。インターネットの情報は玉石混淆ですが、自分の目当ての情報を得るには検索上手になることです。

多くの患者さんが、検索が下手で損をしているように思います。

複合キーワード、ドメイン検索、フレーズ検索、NOT検索などを駆使すれば、欲しい情報を確実に得ることができます。


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