丸山ワクチンを使って食道がんを克服
丸山茂雄氏は、ワクチンを開発した丸山千里博士の長男で、CBS ソニーに入社後、エピック・ソニーレーベルを立ち上げられました。その後プレイステイションビジネスの、ソニー・コンピューターエンターテイメントを設立し、会長を歴任された方です。
2007年に食道がんが見つかりましたが、すでにステージⅣa という段階になっていました。リンパ節にも転移していました。手術はできないので、治療は放射線化学療法を選び、病院での治療と並行して丸山ワクチンを使用します。
「父が開発したワクチンを使わずに死んだら、あの世で父に顔向けができないとも考えました。それで告知の初期から丸山ワクチンを使い始めたのです。これを打ってがんが100%治るということまでは考えていなかった。ただ丸山ワクチンを注射すれば体内の免疫を活性化してくれる、つまり「全身療法」としての効果が高まり、がんの増大を防いでくれるだろうという期待感はあった」と述べています。
丸山茂雄氏の場合も、医師の指導は受けましたが、ワクチンは自己注射です。医者の指導があり金銭を取らない自己注射であれば、医事法には違反しないはずです。
放射線化学療法開始しながら、せっせと丸山ワクチンの注射をやったところ、食道にあった6センチの腫瘍が全く消えてなくなっていました。組織検査でも、食道の周辺にがんの組織は見当たりません。右頸部のリンパ節と胃の右横のリンパ節の方は、腫瘍は消えてはいないが明らかに縮小していました。
その後は放射線と抗がん剤も続けたのですが、副作用が強く出てくるようになり、5クール目で断ります。その後は丸山ワクチンだけで経過を観察しています。そして胃の横のリンパ節の腫瘍も綺麗に消えてしまいます。
膵臓がんと同じ程度に予後が悪いと言われる食道がんで、しかもステージⅣaの末期がん患者が、11年以上も元気に生き延びています。
彼はこのように言います。
患者が、体内のがんをゼロにすることを目標に置いた医者と一緒に突き進むと、おおむねうまくいかない。患者が副作用に蝕まれてよろよろになっていても「頑張りましょう」と尻を叩かれ、命の灯火は一層乏しいものになっていく。
どんな物事に対してであれ、頑張りすぎは悲劇を生む。がんが体の中に残っていても、そこそこ適当に折り合いをつけて、元気な時間を過ごせるようにしたい。この方が死ぬまで楽しく生きられる。
頑張りすぎてボロボロになって死を迎えるのと、がんと適当に折り合って気分良く死を迎えることができるのと、どちらが良いか私には自明の理であるように思われる。その点親父贔屓ではないが、丸山ワクチンはがんとの折り合いを望む患者に最適の治療法である。
もちろん、丸山ワクチンが効いたのかどうかはわかりません。しかし、化学放射線療法と丸山ワクチンの併用で効果があったのだと確信していると言います。
2007年に告知とは、私が膵癌を告知されたと同じ年です。手術のできない食道がんで11年も生存しているのはすばらしいですね。