ノーベル賞候補? それがなんだって言うのよ
「ノーベル賞候補? それがなんだって言うのよ。大騒ぎするんじゃない!」
中村祐輔先生がブログでぶちまけているのは、一言で言えばこういうことでしょう。
- 本日、クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞を受賞しました。論文の引用回数という客観的な指標から選考が始まり、医学の進歩に貢献したことが評価される賞です。
- この賞の受賞が、いつのまにか、今年のノーベル賞候補という報道に変わってしまっているのは驚きだ。
- 世間が一気にノーベル賞候補と大騒ぎするような成果ではないと自分では思っている
- この騒ぎは異様に思う。「中村先生の業績を教えてくださいと」とストレートに言ってくるメディア関係者さえいる。この程度の取材力でよく報道に携わっているのかと言いたい。
- こんな人たちの相手に、少し、くたびれてきた。
- 賞をいただいた喜びという感情はあまり湧かない。もちろん、一部のメディアが騒いでいるような賞が欲しいという感情も全く存在しない。
生まれた時は裸だし、死んでしまえば骨が残るだけだ。死にゆく瞬間に、自分が世の中の役に立ったと思えれば、それでいい。
これが中村先生の本心なのでしょう。
「ノーベル賞に一番近い研究者」などという一部マスコミが好んで用いる形容詞は、先生からすれば迷惑だし、イベントの箔付けとして利用しないでほしいということです。
中村祐輔先生はズバッと言う性格ですから、嫌われることも多いのだと思います。
以前に中村先生がオンコセラピー・サイエンスの株式を売買して儲けているかのような記事を朝日新聞が掲載したことがありますが、オンコセラピー・サイエンスが株式を公開したときにだけ市場に株を出す必要があったので売買しています。しかし、2億円の利益のほとんどを「あしなが教育基金」に寄付しています。
名誉にも金にも執着しない、そのようなタイプの方です。
海外に11年もいたため、将来もらえる年金額は少ないだろうとは予想していたが、金額を聞いてびっくりした。「結果は唖然・呆然・愕然だ。なんと月額138,702円だった。これでは生活できない」とぼやいていました。
ネオアンチゲン療法を巷のがん免疫細胞クリニックと連携して進めている点には、私は批判的な意見を持っていますが、先生に言わせれば「臨床試験をやる数十億円の金はない。次善の策だ」ということなのでしょう。
今月始めにがん研有明病院に行ったら、ロビーにこのような展示看板がありました。
「現場で、患者に役立つ研究を」という思いが伝わってきます。