医療費一ヶ月で1億6852万円

健康保険組合加入者の中で、2021年度に1カ月の医療費が1千万円以上となった患者が延べ1517人と過去最多を更新したと報じられている。

1億円以上も7人いた。いずれも筋力が徐々に衰える脊髄性筋萎縮症の点滴薬「ゾルゲンスマ」を使った患者である。

20年に公的医療保険適用となり、投与は2歳未満の患者に1回限りで、薬価は1億6707万円とされた。

金額上位100人中48人が19年に保険適用された白血病などの点滴薬「キムリア」(3264万円)を使用していた。

キムリアはがん患者も期待しているCAR-T細胞療法薬です。

CAR-T細胞療法は「キメラ抗原受容体(CAR)」を導入して、がん細胞などを攻撃するように作り替えたT細胞を用いた治療です。患者さんからT細胞を採取して、急性リンパ性白血病などが持つ「CD19」というたんぱく質を標的としたCAR-T細胞を作成し、患者さんに戻すのがキムリア®です。

難病患者や治すのが困難ながん患者にとっては、新しい治療薬がどんどん開発されることは生きる希望につながります。これまで治療法がなかった患者にとっては、かけがえのない薬剤でしょう。

一方で誰が経済的な負担をするのかという問題があります。日本では高額療養費制度がありますから、患者の負担は一定額に抑えることができますが、健康保険組合にとっては頭が痛いことでしょう。

健保連は特定の健保組合の過重負担回避へ、高額な医療費が生じた組合に交付金を出しているので、まだ良いのです。

規模の小さな地方自治体の国民健康保険であれば、このような患者が一人でただけで財政的に破綻しかねません。

政府の補助金などがあるのでしょうかね。

本当にこうした高額な薬価が認められるのかという問題もあります。アメリカの FDA が承認した薬価が、ほぼそのまま日本でも承認される仕組みがあるからです。

FDAと製薬企業の間には「回転ドア」があると言われる。『悪いがん治療』で次のように書かれている。

2001 年 から 2010 年 に 医学 的 審査 に 当たっ た 職員 は 55 人 い た。 2016 年 に この 調査 を 行っ た 時点 で、 26 人 が FDA を 辞職 し て い た。 その 26 人 の うち 15 人( 58%) の 転職 先 が、 製薬 企業 勤務 または 製薬 企業 の コンサルタント だっ た。 この 割合 は 高く、 FDA の 審査 員 を 務め た あと に 一番 よく ある 地位 が 製薬 企業 で ある こと を 示唆 し た。 回転 ドア は ぐるぐる 回っ て い た。

ヴィナイヤク・プラサード. 悪いがん治療 (p.133). 株式会社晶文社. Kindle 版.

また『悪いがん治療』の中では、キムリアの開発にはアメリカ政府の補助金が約2億ドル投入されている。一方で開発企業の当時の4年間の研究開発費の総額が3億6000万ドルであると推定している。

研究の初期の有効性の分からない時期に多額の税金が投入されている。そして見通しがついてからの企業の研究開発費の全体が3億6000万円ドルであるから、キムリアに投入された研究開発費は大目に見てもその半分程度であろう。

そして現在、笑いが止まらないほどの利益を上げている。

こうした高額な治療費を賄うために、湿布薬など市販品で代用できる薬は健康保険から外そうとしている。例えば私が使っているロキソニンテープ100mg。これがあるおかげで脊柱管狭窄症の後遺症である腰痛は進歩できるほどであり、非常に助かっている。

ところが、昨年の診療報酬改定で、それまで一処方10袋であった上限が9袋までに制限された。いずれ保険対象から外す算段だろう。

ロキソニンテープの同等品の市販品が1袋7枚入りで約1500円ですが、ロキソニンテープの薬価は24.4点だから2割負担の私は約50円で入手できます。

保険適用から外れるようになれば使用枚数を節約せざるを得ませんね。

治療費は誰が負担すべきなのか。難しい問題です。


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