基礎研究を充実して、免疫系の秘密に迫る

オプジーボの特許権を巡って混乱が続いていますね。先日は、オプジーボの特許の共同発明者に米国の研究者2人を加える米連邦地方裁判所の決定がだされました。これを不服とした小野薬品工業は控訴する方針だというのですが、それには本庶氏の協力が欠かせないでしょう。

しかし、本庶氏と小野薬品工業の特許の問題で係争中です。

本庶さん側は、薬の販売などで得た金額の一部を受け取るロイヤルティー(権利使用料)の引き上げを要求していると明らかにしています。小野薬品は本庶さんに支払われる金額として約26億円を法務局に供託したが、本庶さんは受け取っていないとのこと。

オプジーボの売上げは1兆円にもなっており、ロイヤリティーが26億円は、あまりにも少なすぎますね。だいたいにおいて、日本では発明者への対価の支払いが少なすぎます。

青色発光ダイオードを発明した中村修司氏と日亜化学工業の特許権裁判では、東京地裁では200億円とされた対価が、最終的には、東京高裁の和解勧告で6億円とされました。

本庶さんが対価にどうしてこだわるのか。正当に評価して欲しいとの思いとは別に、その金で若手の基礎研究者を育てたいとの思いがあるのだろうと思います。

京都大学は、昨年12月に創設した「本庶佑有志基金」に、本庶さんから1億円の寄付の申し出があったことを明らかにしています。ノーベル賞の賞金5000万円も寄付したとのことです。基金は、若手研究者の支援が目的で、寄付などで1千億円規模を集めたいとしているようです。

本庶さんは常々、このままでは若手の基礎研究者が育たない。文部省の科学研究費は少なすぎるし、すぐに応用につながる研究だけに目が向いているという趣旨の発言をしています。

オプジーボも、本庶さんの何の役に立つのかもわからない好奇心からの基礎研究が実を結んだものです。「経済効果」一辺倒の考えでは、画期的な発明など出てきましません。すぐに臨床に応用したがる傾向にも反対をしています。

昨年10月に行われた、ノーベル賞の受賞決定後の初めての講演後、次のように発言しています。

科学的根拠がない治療を「がん免疫療法」とうたい、自由診療で提供している医療機関も多い。講演後に会見した本庶さんは「(科学的に裏付けのないがん免疫療法を)お金もうけに使うのは非人道的だ。わらにもすがる思いの患者に証拠のない治療を提供するのは問題だ」と強調した。

少用量のオプジーボとがんの免疫細胞療法を組み合わせた治療を行っているクリニックもあるが、本庶さんから見れば、忸怩たる思いではないでしょうか。

こうした流れから、京都大学ががん免疫療法の研究施設設置を決定したものです。

このブログでも開設の初期から「免疫系」に焦点を当てて考えてきましたが、「免疫系」は、本当に複雑怪奇です。宇宙の神秘以上の神秘に充ちています。人類は、その秘密の一端にやっ入口を見つけた程度でしょう。「生命」や「精神(こころ)」と免疫に関係も高度に複雑系です。

世界では、この免疫系に対する新たな研究がたくさん進んでいます。免疫研究の先端を行っている日本でも、基礎研究を充実して、免疫系の秘密に迫って欲しいと願っています。


膵臓がんと闘う多くの仲間がいます。応援のクリックをお願いします。

にほんブログ村 病気ブログ 膵臓がんへ
にほんブログ村

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です