新型コロナウイルスは空気感染が主因である

最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明

8月28日、研究者や医師38名が、新型コロナウイルスは「空気感染が主因」となったとする最新の知見に基づいて、科学的で効果的な対策を取るべきとの緊急声明を行った。

 国内の大学教員や医師、研究者ら38人が27日、新型コロナウイルス対策に有効なマスクの着用や換気装置の使用など、政府に適切な感染症対策を求める緊急声明を発表した。
 声明では「人流があっても実効性のある対策を取れば、必ずしも感染は広がらない」と指摘。最新の知見では空気感染が主因と考えられるとして、ウイルスの吸入・排出を抑える不織布マスク着用の制度化や、ウイルス粒子濃度を下げる空気清浄機などの活用を提案した。

河北新報

ウレタンマスクの使用禁止などの、より強力な啓蒙を求めている。

声明の要旨

  • 政府や一部医学関係者から「策が尽きた」との声が聞こえている.早期発見と隔離,ワクチン,緊急事態宣言等で用いられてきた対策以外に有効な施策がないとの意見には同意できない
  • 人流は,たとえあったとしても,人と人の交わりの場において実効性のある対策がとられれば,必ずしも感染は広がらない
  • 空気感染が主たる経路であると考えられるようになっている現在,最新の知見を踏まえれば,対策が尽きてしまったと言うほどのことはなされていない.
  • すきまの少ない不織布マスクは感染者からのウイルス排出を抑えると同時に,非感染者がエアロゾルとしてウイルスを吸入する確率を小さくでき,相乗効果がある
  • ポリウレタン製のマスクや布製のマスクは,直接下気道に吸い込まれ肺炎のリスクを高める粒子径5μm以下のエアロゾルの吸入阻止に無力である.
  • 窓開けやドア開けが有用な換気方法だが,1時間に2回程度の短時間の窓やドアの開閉では必ずしも十分な換気は確保されない.

以上のことから、

  1. ウイルス対応マスク装着についての市民への速やかな周知と必要な制度的措置をとる
  2. 熱交換換気装置や空気清浄機,フィルター等の正しい選択と有効な活用についての行政の理解と市民一般への十分な周知
  3. 効果の科学的証明には時間を要するため,最新の知見から有効と予想できる対策は,中立的組織による効果の検証を平行しつつ,公平性や安全性に配慮して実施する

ことを提言している。

若者がウレタンマスクを不織布マスクに替えるだけで、相当数の陽性者が減少するのではなかろうか。

空気感染が主因となっても厚生労働省の認識は周回遅れ

新型コロナウイルスの空気感染の可能性を多くの研究者は1年余りにわたって論じてきたが、世界保健機関(WHO)や米疾病対策センター(CDC)などの保健当局もそうした可能性を受け入れ始めている。

しかし、我が国の厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症は、主に飛沫感染や接触感染によって感染する」との認識であり、世界の趨勢から遅れている。

世界のコンセンサスから外れた認識を持っているからピント外れの対策しか出てこないのである。

(2021年8月版)
新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識 より

飛沫感染、エアロゾル感染、空気感染の違い

ウイルス感染に関する用語の定義が統一されていない部分があり、人によって混同されている場合もあるが、「空気感染」「エアロゾル感染(マイクロ飛沫感染)」「飛沫感染」は大雑把に入って下の図のように分けることができる。

エアロゾル感染と飛沫感染は、5マイクロメートルを境として説明がされている。

空気感染は別の言い方で飛沫核感染といいます。飛沫核とは、飛沫の水分が蒸発した小さな粒子のことで、これを吸いこむことで感染するのが飛沫核感染、つまり空気感染ということになります。

飛沫は水分を含んでいるためそれなりの重さがあり、体内から放出された後、すぐに地面に落ちてしまいますが、飛沫核は水分が無いぶん軽いため、長い時間たっても空気中に浮遊し、しかも遠くまで飛んでいくことができます。従って、患者から十分な距離をとっていても感染してしまうのです。

間違った認識からは間違った対策しか出てこない

政府のコロナ対策分科会も、それにマスコミもが人流が減らない限りはコロナの感染者数は減らない論調であるが、これには全く科学的な根拠がない。「東洋経済誌」に載った上昌広氏の投稿によれば、東京都の新規感染者数とターミナル駅の人流減少率のあいだには相関関係はない。(下図)

データに基づいて議論をし、対策を立てるというパンデミックにおいて必須の科学的方法が全く考慮されていない。

未だに PCR 検査抑制論の呪縛から逃れることができず、都内の400万人の若者に対して、わずか300人の PCR 検査を抽選で実施するなどという馬鹿げた施策を行っている。

コロナ感染の主体は、いまや濃厚接触者からの飛沫感染ではなく、空気感染であることが明らかとなっている。両者の予防に必要な対応は異なる。クラスターさえ見つけていれば、制御ができるという発想は科学的に間違っているし、世界のコンセンサスからずれている。

感染の多くがエアロゾルを介した空気感染であり、エアロゾルは、最低で3時間程度、感染性を維持しながら空中を浮遊し、長距離を移動する。検疫のための宿泊施設で、お互いに面識がない人の間で感染が拡大したり、バスや航空機の中で遠く席が離れた人が感染したりするのは空気感染が原因だ。空気感染に対してはオリンピックの「バブル方式」なんぞは無力である。

7月6日には、世界32カ国の科学者239人が、「 世界保健機関(WHO)や各国はコロナが空気感染で拡大することを認識すべき 」 との論考を、アメリカの『臨床感染症学誌』に発表した。空気感染がコロナ感染拡大の大きな要因であることは、いまや医学界のコンセンサスである。

しかし厚生労働省も対策会議のメンバーもいまだにクラスター探しにしか関心がない。しかも、保険所の能力をオーバーしたのでクラスターの追跡もできなくなって投げ出しかかっている。

空気感染を防ぐには換気をするしかない

おりしも、8月27日付の「サイエンス」誌に「Airborne transmission of respiratory viruses(呼吸器ウイルスの空気伝搬)」とう論文が掲載された。

いくつかの呼吸器病原体は、小さな呼吸エアロゾルを介して広がることが知られており、空気の流れの中で浮遊して移動し、感染者から短距離および長距離でそれらを吸入する人々に感染します。

空中伝播がSARS-CoV-2を含むいくつかの呼吸器病原体の主要な伝播形態である可能性があり、空中経路からの感染の根底にあるメカニズムをさらに理解することで、緩和策をよりよく知ることができると示唆している。

空中伝播は、主にウイルスを含んだエアロゾルの生成と輸送プロセスの理解が不十分であり、逸話的観察の誤った帰属が原因で、呼吸器ウイルス性疾患の伝播に寄与するための過小評価されてきた経路でした。SARS-CoV-2の空中拡散が優勢であるという疫学的証拠は、時間の経過とともに増加し、特に強くなっています。

呼吸器ウイルスの空中伝播に関与する段階。

ウイルスを含んだエアロゾル(<100 I1 / 4m)は、最初に呼気活動を通じて感染した個人によって生成され、それを通してそれらは吐き出され、環境に輸送されます。それらが感染性のままであるという条件で、それらは新たな感染を開始するために潜在的な宿主によって吸入される可能性があります。飛沫(> 100 I1 / 4m)とは対照的に、エアロゾルは空気中に何時間も残り、それらを吐き出す感染者から1〜2 mを超えて移動し、短距離と長距離の両方で新たな感染を引き起こします。

図3エアロゾルはどのくらい空気中に残ることができますか?

静止空気中のさまざまなサイズのエアロゾルの滞留時間は、球状粒子のストークスの法則から推定できます(116)。たとえば、100、5、または1μmのエアロゾルが1.5 mの高さから地面(または表面)に落下するのに必要な時間は、それぞれ5秒、33分、または12.2時間です。

図5気道内の部位へのサイズ依存のエアロゾル沈着メカニズム。

A)人間の気道のさまざまな領域における主な沈着メカニズムと対応する気流レジーム。大きなエアロゾルは慣性衝突の結果として鼻咽頭領域に沈着する傾向がありますが、小さなエアロゾルは重力沈降とブラウン拡散に基づいて気管気管支および肺胞領域に沈着する傾向があります。気管気管支および肺胞領域の拡大図は、沈着メカニズムを示しています。(B)ICRP肺沈着モデルに基づくエアロゾル直径の関数としての気道の異なる領域でのエアロゾルの沈着効率が示されています(116)。大きなエアロゾルの大部分は鼻咽頭領域に沈着します。肺胞領域に到達して沈着できるのは、十分に小さいエアロゾルだけです。


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