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なぜ弘前大学はハイパーサーミアに注目しているのか

令和3年5月、弘前大学医学部附属病院放射線治療科において、ハイパーサーミア(がん温熱療法)がはじまりました。

ハイパーサーミアは、弘前大学大学院医学研究科放射線腫瘍学講座の青木昌彦教授の肝煎りで導入が実現しました。導入されたのは、山本ビニター株式会社の最新機種『サーモトロン-RF8 GR Edition』です。

ハイパーサーミア療法とは、がんの塊が42.5度以上の熱に弱いという性質を利用してがんを治療する方法のこと。体外から、がん細胞が潜む部位にラジオで使われる周波数帯の電波を流してがんの塊を加温し、死滅させる。

中央が青木昌彦教授

がん患者の多い東北地方の中でもひときわ目立つのが青森県です。都道府県別の75歳未満年齢調整死亡率はダントツになっています。

また青森県は日本一の短命県であり、平均寿命は全国最下位。死因の第1位は癌で全体の3割に上ります。しかも四十代、五十代といった若い世代の患者が多い。

「青森県は胃、大腸、肺と共に肝胆膵がんが多い。このような体の奥底に出来る腹部臓器のがんは低酸素に強く放射線抵抗性がある。しかも抗がん剤も効きにくい。ハイパーサーミアを併用することで改善がみられることを期待しています」と語る青木教授。

「私がこの治療法に出会ったのは25年ほど前のことです。当時は放射線科はがん患者さんの最後の砦ということで進行した患者さんばかりで、放射線単独では治療できないような巨大で抵抗性のある腫瘍ばかりでした。ところがハイパーサーミアと療法を併用すると驚くほど病状が改善する患者さんが何人もいたわけです。そのとき、この治療法は集学的治療に加えるべき治療法だと実感しました。」

ハイパーサーミア、5つの利点

  1. がん細胞だけを選択的に攻撃できること。
    がんの周りにある血管は、急ごしらえのもろい新生血管であるため、血管が拡張できない。そのため熱がこもってしまい、がん細胞は正常細胞よりも早く熱の影響を受けて壊れてしまう。
  2. 放射線や抗がん剤と併用することで、それぞれの治療効果を高めることが期待できること。
    放射線治療によりダメージを受けたがん細胞はなんとか修復しようとする。しかし、ハイパーサーミアを併用すれば加温でその修復が阻害される。抗がん剤はハイパーサーミアを併用することで、がん細胞を覆う細胞膜の透過性が高まり、抗がん剤の取り込み量が増える。規定量の抗がん剤を服用できない患者さんは少量投与で長期間の症状維持が可能になる。
  3. 免疫力もアップする。
    ハイパーサーミアを併用すると、体温が上昇しリンパ球が活性化する。NK細胞、細胞傷害性T細胞などが増えてがん細胞への攻撃性が強まり、抗がん薬の効果を補強する。
  4. 目や脳、血液以外すべてのがん種に適応でき、費用は公的保険の対象なので安い。
  5. 患者が治療器に約40~50分間横たわるだけで済むと手軽である。

ハイパーサーミアの著効例

肺と肝臓に転移のある70代の乳がんの患者の例では、副作用がきつく、3週間連続投与の抗がん剤治療ができずに3週間に1度、量も半分しか投与できなくなった。しかし、ハイパーサーミアの併用で抗がん剤の増感作用が上がり、症状を維持した状態で数年間続けている。

頭頚部にリンパ節転移があり、水も飲めない下咽頭がん患者がハイパーサーミアを併用しながらオプジーボを使ったところ、腫瘍が消失した例も報告されている。

腹膜播種で余命宣告された女性がハイパーサーミア療法を受けることで3年以上生きながらえたケースもある。

膵臓がんの患者さんでも、ハイパーサーミアを併用することで、長期の治療を続けている方が多くいます。

昨年、千葉県がんセンターに同じメーカーのハイパーサーミア機器が導入されましたね。


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