膵臓がんとビタミンD

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昨年のMedエッジに『「暴れる膵臓がん」ビタミンDの刺激で治める』という記事がありました。

元になった論文は、2014年9月25日号の有力科学誌セル誌に掲載された「ビタミンD受容体により膵臓の間質細胞がリプログラムされると膵臓炎を押さえ、がん治療を増強する(Vitamin D receptor-mediated stromal reprogramming suppress pancreatitis and enhances pancreatic cancer therapy)」とのタイトルの論文です。

  • ビタミンD受容体は間質の細胞で発現している。炎症に関係していると考えられている。
  • ビタミンD受容体は膵臓星状細胞の活性化を押さえると分かった。炎症も抑える働きがあると分かった。
  • がんで起こる膵臓の炎症のほか、無用な組織が増えてくる線維化も強く押さえられる。
  • 膵臓がんを既存の抗がん剤の一つゲムシタビンで治療しながら、ビタミンD受容体を刺激すると生存期間が約50%伸ばすことも成功した。

膵臓星状細胞の活性化で、炎症を引き起こし、周囲の間質を刺激する。結果として炎症が悪化し、がんが進行する。これをビタミンD受容体の刺激で抑えられる。がん細胞が炎症反応を利用して増殖することは『がんに効く生活』でも詳しく書かれているとおりです。マウス実験レベルの研究ですが、非常に興味深いですね。早急にヒトでの臨床試験が望まれます。

次にWikipediaの「ビタミンD」から抜き出して紹介します。ビタミンDとは、ビタミンD2とD3の総称です。

  • ビタミンDの分子的特質は、癌の防止に関して癌の増殖の主たる細胞メカニズムに幅広い範囲で潜在的に関わっていると考えられている。
  • これらの効果は、癌細胞でのビタミンD受容体を媒介している可能性がある。
  • 女性におけるビタミンD受容体遺伝子の変異は、乳癌のリスクを増加させている。
  • 悪性黒色腫細胞や白血病細胞にビタミンD受容体が存在し、活性型ビタミンDが腫瘍細胞の増殖を抑制する。
  • 13カ国の400万人以上の癌患者のデータを用いた2006年の研究では、日照の少ない国での特定の癌のリスクの顕著な増加が示され、その他の関連研究でもビタミンD濃度と癌の間の相関関係が示されている。
  • 毎日 1,000IU(25μg)のビタミンDの追加摂取はヒトの大腸癌のリスクを50%減少させ、乳癌と卵巣癌のリスクを30%減少させると示唆している。
  • 2つの長期健康調査による12万人以上の調査対象者でビタミンDの米国摂取基準(400 IU/日)の摂取により、膵臓癌のリスクを43%減少させたとする。
  • カナダ癌学会(全国規模の有志による組織)は、成人は1日1,000IU(政府の発表した必要量の5倍)を摂取すべきと2007年に勧告している。
  • アメリカ国立癌研究所は、ビタミンDの摂取が大腸癌及びその他の癌の予防効果について限定されているか証拠が不十分なので、大腸癌及びその他の癌の予防のためにビタミンDサプリメントの摂取を勧奨はしないとした。
  • ヒトにおいては、午前10時から午後3時の日光で、少なくとも週に2回、5分から30分の間、日焼け止めクリームなしで、顔、手足、背中への日光浴で、十分な量のビタミンDが体内で生合成される。
  • ビタミンDは免疫システムにも影響を及ぼしているし、ビタミンD受容体は、単核白血球、活性化T細胞及びB細胞を含むいくつかの白血球で作用している。
  • ビタミンDの長期にわたる安全摂取量はわかっていないが、健康な成人においては250μg (10,000IU)/日までは安全とされている。
  • ビタミンD受容体結合体は、ナチュラルキラー細胞の活動とマクロファージの食作用を活発化させることが示されている。
  • 最近の疫学的な証拠は血管機能を最適化するためにビタミンD濃度が狭い範囲に限定されていることを示唆している。ビタミンDの自然の恒常性よりも高い濃度あるいは低い濃度は死亡率を増加させる。

今話題のビタミンDですが、肯定的な研究が増えて飽きている反面、摂りすぎに注意を喚起する内容の研究もあります。

ヒトの臨床試験の結果を待つ時間はないし、10,000IU/日までは副作用の心配はないとのことだから、私は術後からすぐにビタミンDのサプリメント1000IU/日を摂取しています。一人の症例では効果があったのかどうかは分かりません。他にメラトニンや緑茶も摂っていますし。仮に数年後の副作用があったとしても、膵臓がんの余命を考えれば無視できるリスクかと思っています。(ビタミンDサプリメントを勧める意図はありません。念のため)


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