がんの自由診療は悪なのか?

9月23日(土)に放映された『スーパープレミアム「医師の闘病から読み解く がんを生きる新常識」』、3時間の番組なので、やっと録画を視聴することができました。

がんを宿した医者が多数出演していましたが、みなさん、自分ががんになった時の衝撃を語っていました。主治医に対して「しょせん、人ごとなんだ」という感想を漏らす女医もいました。

医師の7割は標準治療以外を認める

意外だったのは、標準治療以外の自由診療を認めるか認めないかという質問に、7人の医者のうち5人が条件付きで認める(△)と答えたことでした。

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左端の門田守人、国立がん研究センター理事・日本医学会会長は、当然「認めない」です。

△を書いた方も温度差があり、ご自身がまだ保険診療として認められていない腫瘍脊椎骨全摘術を受けられ、その後の再発で重粒子線治療を受けた女医さん、ご自身の胃がんに対して、術前化学放射線療法を受けた近畿大学学長で消化器外科医の塩崎均氏は「標準治療が効かなくなった患者が、自由診療をやりたいといわれたら、やってあげたい気もある」と語っていました。

海外ではエビデンスがあるが、日本ではまだ認められていない治療法ならという条件付きの方が多かったようです。免疫細胞療法などの巷の治療法には否定的な印象でした。

それぞれの考えがあって良い

医者も自分ががんになると、なんとか治りたい一心で標準治療以外の治療法を必死で探すのですね。あたりまえですが。

医師で僧侶で末期の膵臓がんの田中雅博さんは、一切の標準治療以外の治療法は拒否されました。

大腸がんの外科医で、末期の胃がんに罹った西村元一さんは、免疫細胞療法を受け、がん封じ寺詣でもしました。

それぞれの考え方があって良いと思います。標準治療以外は一切ダメという一部の腫瘍内科医の方が例外的な存在ですね。

確かに免疫細胞療法などを標榜する巷の悪徳クリニックは問題です。しかし一方で夫を膵臓がんで亡くした石森惠美さんは、免疫細胞療法に効果はなかったのですが、後悔はしていないと言います。それは、

夫は免疫療法のクリニックに行くのを楽しみにして、帰る時はいつもニコニコしていました。こうした怪しい免疫療法を批判する医師は、『そんなお金があったら世界一周旅行でもしたらいい』とよくおっしゃるのですが、患者や家族が求めているのは、普段と変わらない日常が続くこと。免疫クリニックは医師から受付の女性まで皆、夫の日常を支えるという姿勢を見せてくれました。

からです。少なくともその間「希望」があったのです。

「手術はできません。抗がん剤は延命治療です」「もう治療法はありません。あとは緩和ですね」と言われて、田中雅博師のように泰然と死を受け入れられる患者は多くはないでしょう。

がん拠点病院が樹状細胞療法をやっているのがけしからんと一部の腫瘍内科医が呟いています。西村医師が免疫療法を受けたことでも非難していた方たちです。でも、試しにやってみて効果が感じられなければ止める。あれば続けてみる、で良いのではないでしょうか。

エビデンスのない治療法に数百万円もかかると言うが、本人が納得の上なら結構でしょう。エビデンスのない治療法は金を取らないで臨床試験でやるべきだと言っています。正論かもしれません。しかし、数億から数十億円の費用を負担できる機関がどこにあるのでしょうか。アメリカのように、広く一般に行われている代替医療は国の財源で臨床試験をやればよいので。その上で効果が実証できなければ禁止すれば良いのです。

正しい医学的知識をかれらに教えたり、かれらの身体をモノとみなして介入すれば解決する問題ではない。むしろそこで重要になるのは、医学を目の前の患者にインストールすることではなく、標準化が不可能なそれぞれの患者の人生の文脈に、医学という知をどう混ぜ合わせていくか、医療者の持つ専門知と患者の人生の間にどのような再現性のない知を立ち上げ、実践し続けていくかである。
医療者の仕事は、医学を医療に変換することである。

番組でも(塩崎さんだったか)語っていたが、「これとこれの治療法があります。来週までによく考えて決めてください」、あるいは「アブラキサンとジェムザール、TS-1、FOLFIRINOXが膵臓がんで使える抗がん剤です。どれにしますか?」と患者に放り投げるがん拠点病院の医者。

こうした似非インフォームドコンセントが、がん難民をつくり、巷の自由診療、代替医療に追いやっているのではないか。


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