「医師の闘病から読み解く がんを生きる新常識2」
BSスーパープレミアム「医師の闘病から読み解く がんを生きる新常識2」の放送をみました。
がんになった6人の医師たちのがんと闘う極意。患者力、早期発見、笑いは魔法の薬、夢と希望。これがテーマでした。
一流の患者力を身につける
上野直人さん。MDアンダーソンがんセンターの医師です。『一流患者と三流患者 医者から最高の医療を引き出す心得』という本を出されています。私も読みましたが「患者力」の大切さを書かれています。
しかし、御本人が血液がんの一種、骨髄異形成症候群になったとたんに、がんになっても焦らない、エビデンスが大事、最先端の治療法に飛びつかない、と本に書いていた御本人が、インターネットで怪しげな治療法を検索しまくるようになります。
骨髄移植を受ければ7割は治るが3割は亡くなります。死への恐怖に、他の治療法を検索しまくるのです。
上野医師でもこうなるのですから、がん患者が怪しげな治療法に目を奪われるのは避けられないのでしょう。でも、そこから引き返すには何が大切か。それが「患者力」だと述べています。
- 告知を焦らず冷静に受け止める
- 自分の意見を言う
- きちんと質問できる
- エビデンスのない情報には慎重に
医療を最高に引き出すには患者が積極的に取り組む姿勢が大切です。⇒患者力
しかし、患者力を付けるためにも、少なくともがんの基礎的な知識は必須です。医者だって基本的な知識から説明させられたら、煩わしくなります。
夢と目標で乗り越える
大腸がんを発症し、再発と転移を繰り返した口腔外科医の山本悦秀さん。ステージⅣです。目標はホノルルマラソンでフルマラソンを完走することと、都内で歯科医を開業すること。死の恐怖を乗り越えて、フルマラソンも達成してがんも完治している。
やはり運動は効果があるのですね。もちろん治るという目標を持つこと。ポジティブ思考が良い方向に向かうのです。
笑いは魔法の薬
4回のがんを乗り越えた坂下さんは、笑いという魔法の薬があるという。笑うことで免疫力が上がることはエビデンスもあるのですね。
がんを忘れるから治る。ゲストの黒澤年男さんはそう言います。
長くがんと共存している患者、治った患者には共通点があるのです。
ネオアンチゲン
中村祐輔先生らが推進しているネオアンチゲンによるがん免疫療法も取りあげられていました。
患者のがん細胞に特異的な目印を攻撃しやすくするワクチンを投与して、免疫細胞を活性化させ、がんを死滅させようという治療法です。
ここで取りあげられていたのが、膵臓がんの症例も多い「福岡がん総合クリニック」でした。10月には、ここの主催で中村祐輔先生が講演を行っています。
このクリニックの映像にかぶせて「現在治療が認められているのは、国の安全基準を満たした医療機関です」とマレーションが流れていましたが、これはどういうことかというと、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に、細胞を培養する施設が満たすべき基準が定められているのです。
この法律には「特定細胞加工物製造事業者に関する事項」があり、施設の構造設備基準、製造管理・品質管理などの基準、認定再生医療等委員会の設置などが定められています。
つまり、安全に対する基準であり、国がこの免疫療法の効果を認めているわけではないのです。 まだまだ研究段階の治療法です。
免疫細胞療法の一部のクリニックでは「国が認めた治療法」と虚偽の宣伝を行っている例があり、一部のこの番組を紹介した記事でもそうした誤解がありますが、番組アナウンサーの言葉通り、「安全基準」を満たしているだけであり、治療効果を国として認めたわけではないので注意が必要です。
巷の免疫細胞クリニックのほとんどがこの法律の基準をクリアしているから、営業しているのです。
ネオアンチゲン治療で福岡のクリニックの画像が流れて、「国が認めた」と説明していたように思います。
国が認めたのなら、効果があるということですか。なぜ標準治療で使えないのですかね。