日本人の家族性膵がんの遺伝子を特定

大阪大学 大学院医学系研究科の谷内田真一 教授(前 国立がん研究センター研究所ユニット長)らのグループは、日本における家族性膵臓がんの関連遺伝子を明らかにしたと発表しました。

図:日本人の膵臓がんの5%から10%は家族歴を有しています。 本研究では家族性膵臓がん患者の約16%に既知の原因遺伝子のバリアントを認めました。その他に新規の候補となる関連遺伝子も特定しました。

  • 膵臓がん患者の5~10%は家族性膵がんと言われている
  • 次世代シークエンサーの全エクソーム解析によって、関連遺伝子はATM、BRCA2、BRCA1、CHEK2やPALB2などを特定
  • 関連候補遺伝子(FAT4、FAT1、SMAD4など)も同定
  • BRCA1/2の病原性のある生殖細胞系バリアントをもつ膵臓がんには、遺伝性乳がん卵巣がん症候群と同様にPARP阻害剤(Olaparib(日本では膵がんに未承認))やプラチナ製剤が有効
  • 家族性膵がん患者の16%に、これらの遺伝子変異がある。
  • 若年発症(40歳以下)の膵臓がん患者8人の全エクソーム解析を行ったところ、MSH2、POLE、TP53やFAT4遺伝子に、病原性がある、あるいはおそらく病原性と推定される、生殖細胞系バリアントを認めました。
家族性膵臓がん:親子または兄弟姉妹に2人以上の膵臓がん患者がいる家系の方に発症する膵臓がん
膵臓がんの家族歴のある膵臓がん患者とその担当医師は、特定の遺伝子に病原性がある生殖細胞系バリアントがみつかる可能性を、十分に理解した上で「がん遺伝子パネル検査」を行うことが重要

「2人以上の膵臓がん患者がいる家系」と一般に言われていますが、この研究でも「谷内田教授らは疫学調査において、日本人1,197人の膵臓がん患者の家族歴を調査し、88人(7.3%)で第一度近親(父母、兄弟姉妹、子供)に1人以上の膵臓がん患者がいることを報告してきました」とされているように、父母、兄弟に一人でも膵臓がん患者がいれば、定期的に検査をするなどの積極的な対応をすべきでしょう。

私も兄弟や子供には、膵臓がんに特段に気をつけるように言っています。

日本膵臓学会は家族性膵がん登録制度(http://jfpcr.com)を開始しています。

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