久留米大学ペプチドワクチン受付再開
久留米大学のがんペプチドワクチン療法の受付が再会し、これまでは進行癌だけを対象としていたのが、ステージの幅を広げて初期癌から進行癌まで受け付け可能となったようです。(11月2日より)
これまで進行がんに限って受付をしておりましたが、当臨床試験における診療体制が充実して参りました為、11月2日より、受け入れ可能なステージの幅を広げて(早期がんから進行がんまで)受付を開始致します。
現在受付可能ながん種は「肺がん、乳がん、大腸がん,胃がん、すい臓がん、肝臓がん、胆のうや胆道のがん、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がん、尿路のがん、子宮がん、卵巣がん、脳腫瘍、肉腫」です。
また、リンパ球のがん、甲状腺がん、皮膚がん、胸腺がんなどにつきましてもペプチドワクチン外来受診のご相談をお受けいたします。
相談ご希望の方は下記相談窓口までお電話下さい。
電話相談窓口 平日13:00より14:00 電話番号0942-31-7975
血液検査の数値が下記の基準を満たしている必要があります。
7.申込時の血液検査結果と、当院初診時の血液検査で基準値を満たしていること
前立腺がん 腎臓がん 尿路上皮がん |
肺がん 乳がん 子宮頚がん 卵巣がん 肉腫 |
肝臓がん 膵臓がん 胆道がん 大腸がん 胃がん 悪性脳腫瘍 |
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血色素数 | 8.0 g/dL以上 | ||
白血球数 | 2,500 /mm3以上 | ||
リンパ球数 | 1,200 /mm3以上 | ||
血小板数 | 80,000 /mm3以上 | 50,000 /mm3以上 | |
クレアチニン | 施設上限値の2.5倍以下 | 施設上限値の2倍以下 | 2.0 mg /dL以下 |
総ビリルビン | 施設上限値の2倍以下 (ただし体質性黄疸では2.5倍以下) |
2.5 mg/ dL以下 |
8.HLAがA2、A24、A26、A3、A11、A31、A33のいずれかであること(当院初診時に採血します)
大阪大学、久留米大学あるいは中村祐輔教授らの進めているがんペプチドワクチン療法について言えることですが、樹状細胞にがんペプチドを認識させ、樹状細胞がT細胞を「教育」してCTL(キラーT細胞、細胞障害性T細胞)を誘導するという過程を経る必要があるのです。ですからがんペプチドワクチン療法は「樹状細胞療法」の一種といってもよいわけです。
WT1ワクチンに対する否定的な見解も紹介しておきます。「がん治療と免疫」にリンパ球バンクの藤井さんが書かれています。
ちなみに、久留米大学で、テーラーメードながんワクチン療法の治験参加受付が始まりました。
こちらは、同じペプチド抗原であっても、個人個人のHLAタイプが、ある決まった性質の人でないと、うまくCTLを誘導できない、としています。
最初から、治療を受付ない人もいるのです、と、きっちりとHP上で説明しておられます。 これは、かなり前進ですね。
ただ、治療対象になる人は、限られてしまいます。また、正常細胞を攻撃しない保証はないこと、更に、免疫抑制を打破する仕掛けがないことにかわりはありません。2004年の報告では、「CTLを誘導できた患者さんと、誘導できなかった患者さんの間に、全く生存期間の差がない」つまり、全然、効果がありませんでした、と、書かれています。厳密にいうと、CTLは何の関係もなかった、ということです。
但し、Ig-G抗体を誘導できた患者さんと、誘導できなかった患者さんとでは、顕著に生存期間の差が見られます。
結論として、WT1ペプチドにより、Ig-G抗体を誘導できた場合は、延命効果がある、としています。 途中でデータが切れていますから、延命された方がその後どうなったかは読み取れませんが、Ig-G抗体が誘導されなかった患者さんは、ほぼ短期間で亡くなっておられます、、、、CTL誘導物語は空振りに終わっていますが、一応の「延命効果」はある、と見えますね。「治る」というレベルではありませんが。但し、この手のデータは、解釈が難しいのです。Ig-G抗体を誘導する位、免疫力が残っていた患者さんは長生きして、Ig-G抗体を作る力が残っていなかった患者さんはもう、余命が尽きてしまった、ということかもしれないのです。相関関係がある、ということ イコール 因果関係とは限らないのです。また、2007年の報告では、CTLを誘導できた患者さんは殆どいらっしゃらなかった(ゼロではありません)となっています。この惨憺たる結果は、ワクチン実施前に、サイトカイン療法をやりすぎたから?とか、書いてありますが、何の関係があるんでしょうね??