ガンの患者学研究所 (4)

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【日 時】2019年6月22日(土) 13:10~16:30(開場・受付:12:50ごろ)
【場 所】JR京浜東北根岸線 大森駅東口から徒歩4分 Luz大森4階 入新井集会室
【参加資格】膵臓がん患者とその家族、遺族
【参 加 費】1,000円(会場使用料及び資料代、講師謝礼)
【定 員】 90名
【内 容】
●講演:がんと心の関係~サイモントン療法による癒やし~
川畑のぶこ氏(NPO法人 サイモントン療法協会)によるサイモントン療法とマインドフルネスの講演およびエクササイズ
●患者さんどうしの情報交換~フリートーキング

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川竹氏の『ガン・治る法則12カ条』には部分的に見れば賛同できるものも少なくありません。例えば「どんなときにも希望はある」。たとえ末期であっても希望を持つことは大切です。治った患者と会って勇気をもらうこともその後の治療に役立つことでしょう。「余命宣告はあてにならない」などはあたりまえすぎて、反対のしようがありません。「心こそ治す力」だというのも、プラシーボ効果を挙げるまでもなく、心が身体に(癌にも)影響することはあるはずですから、言葉通りの意味であるのなら賛同できます。

しかし、「がんは生活習慣病であると国立がんセンターも認めている」のは確かですが、ストレスや欧米型の食事ががんの大きな原因だとして、「原因がなくなれば、ガンという結果は必ずなくなる」と言うのは論理的に飛躍しすぎでしょう。原因を取ったからといって、それだけで結果がなくなるはずはありません。「できちゃった」からといって、その夜の行動をなくすれば「できちゃった婚」をしなくてすむわけにはまいりますまい。タイムマシンで過去に行って原因を取り除けば別でしょうが。

がんの原因も①心の持ち方の乱れ②食事の乱れ③ライフスタイルの乱れの3つに整理できるとしています。がん情報サービスに載せられている「新・がんを防ぐための12カ条」や「日本人のためのがん予防法」でも食事や運動、生活習慣、ライフスタイルの改善が重要だとしていますから間違いとは言えません。これらは予防法ですが、既にがんになった患者にもこの方法に準拠するようにと書かれています。しかし、人間は複雑系ですから、原因と結果が一対一には対応しません。多くの要因が複雑に関連して系全体が決まるのですから、これが原因だと言い難いのです。他にも遺伝的要因も、環境中の汚染物質による影響、レントゲン検診による放射線の影響もあるはずです。

川竹氏は「5年生存率の向上はまやかし」だと主張します。CTやMRI等の検査機器の精度が良くなったので小さいがんまで見つけられるようになった。だから「5年生存率が良くなったように見えるだけで、ガンによる死亡者数は増えています。三大療法ではガンは治らない」というのです。川竹氏が言うように「リードタイム・バイアス」や「レングス・バイアス」は存在していますから、5年生存率にバイアスがあるという、その主張は正しいと思います。生存率を見るときには注意が必要です。しかし、そこから「だから現代医療はちっとも進歩していない」と断定するのは性急すぎです。

がん統計が充実している大阪府の調査では、5年生存率の向上はリードタイム・バイアスと医療の進歩の両面があると分析しています。更に言えば、がんの病期をひとくくりにして生存率を批判するのではなく、病期ごとに比較するべきでしょう。生存率にそのようなバイアスがあるのなら、別の指標、例えば死亡者数の経年変化を調査することもできます。がんによる死亡者数が増加しているのは人口の高齢化が進んでいることも大きく影響しています。しかし、年齢構成を調整した年齢調整後の相対死亡率でみれば、膵臓がんのように死亡率の増えているがんもあれば減少しているがんもありますが、がん全体では死亡率は減少傾向にあります。主要国と比較しても日本はむしろ死亡率が低い方です。世界の例を見ない高齢化社会を迎えた日本では、他の病気で死ななくなったからがんになる人が増えたのであり、それにもかかわらず、年齢調整後のがんによる死亡率は近年減少傾向にあるのです。

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抗がん剤についても、船瀬俊介氏の主張をそのまま口移しにして、がんが半分に縮小した状態が4週間続けば有効だとして認可されている、副作用で殺されている、だから抗がん剤は使わない方がよいと主張します。確かに指摘の通りの点はあります。現在は延命効果がなければ認可されないように変わってきていますが、縮小効果だけで認可されていたのは事実でしょう。しかし一方で、抗がん剤が効いてがんが縮小し、おかげで手術ができるようになった患者もいます。縮小効果が無意味だとは断定できません。

川竹氏は食事は厳格な玄米菜食に徹するべきだと主張します。肉はもちろん魚もダメ、卵も牛乳もヨーグルト等の乳製品もすべてダメだというのです。その根拠は、治ったさんの80%以上が玄米菜食をしていた、アメリカの「ガンになってからの食事療法」が菜食主義者の食事を推奨しているから、というものです。私も基本的に玄米菜食主義です。しかし、がんになってからの食生活の効果についての研究は、世界的にも始まったばかりです。はっきりとわかっていることは、とても少ないのが現状です。玄米の効果はあると思いますが、青い魚に多く含まれるオメガ3不飽和脂肪酸の有効性も多くの臨床試験で明らかになりつつあります。肉も魚もダメというのは、これも短絡した思考でしょう。

9万人の日本人を対象にした体重変化と死亡率との関係を調査した多目的コホート研究があります。この研究の追跡調査中に、6,494人の死亡(うち、がん死亡2,888人、循環器疾患死亡1,011人)が確認されました。20歳からの体重変化により3群に分類し、性年齢階級別の死因別死亡率を比べました(図)。どの年齢階級でみても、5 kg以上体重減少の群において総死亡率は高くなっていました。また、5 kg以上体重増加の群においては死亡率の上昇は認めませんでした。体重減少はがんによる死亡率を増加させるのです。多くの医者が、経験からも痩せているがん患者は予後が悪いと言いますが、統計的にも明らかだということです。

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極端な菜食主義で体重が減少した場合は、がんで死ぬ確率が高くなるのです。現にマクロビオティックの大家久志道夫氏の奥さんは子宮頸がんで死亡しているし、久志氏本人も直腸がんに罹っています。奥さんは余命3ヶ月と言われ、それにもかかわらず8年生きたのはマクロビオティックのおかげだと言いますが、マクロビオティックでがんになったとも言えるのではないか。少なくともがんの予防効果はなかったと言えます。

エビデンス主義―統計数値から常識のウソを見抜く (角川SSC新書)

人間の体には脂肪分もコレステロールも必要です。和田秀樹著『エビデンス主義―統計数値から常識のウソを見抜く (角川SSC新書)』には次のように書かれています。

エビデンスの中には、コレステロール値が低いほど「ガンになりやすい」とか「うつ病になりやすい」という傾向が認められているものもあるのだ。次ページに示した2つの図は、それを表わしているものである。これを見れば分かる通り、コレステロール値が低い場合にガンになりやすく、うつ病が治りにくいという傾向が見られるのである。

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うつ病の図は省略しましたが、完全なる食事療法でコレステロールを下げることががんになりやすくするのです。だとすると川竹氏は悪い冗談を言っているのでしょうか。

がんが正常臓器に浸潤していくためには臓器の表面を覆っている基底膜を突破しなくてはなりません。基底膜を超えてもその先にある結合組織の間質中を進んでいかなければなりません。さらには筋膜・胸膜・腹膜・血管壁などのたくさんのバリアーを超えていかなければならないのです。これらが「がんに対する抵抗力」となるのですが、種々の膜の主要な構成成分はコレステロールなのです。がん患者が食事療法で痩せるのは非常に危険です。

「治る法則12カ条」からいくつか見てきましたが、他の”法則”も同じようなもの。生活習慣だとか心の有り様だとかの否定しがたいことや真実の一部分を取り上げて、それに自らの体験を織り交ぜ、条件の異なる現象にも拡大して一般化し「これが正しい」とする手法です。川竹氏の思考法は科学的に問題がありすぎるようです。似非医療法に特徴的な「白黒を付けたがる二分法」の思考です。ここには身体もがんも複雑系であり、原因と結果が一対一に対応しないという複雑系思考はありません。安保徹氏や船瀬俊介氏らとコラボレーションしているから、こうしたトンデモ思考法になるのか、あるいは同じトンデモ思考論者だから寄り集まっているのでしょうか。

そして行き着くところは、現代医療(三大療法)の否定です。「ごく初期の手術までは否定しません」とは言うのですが、治ったさんの体験談も現代医療を拒否してがんを克服したという類の体験談が重要そうに取り上げられているのをみれば、本音は三大療法の否定にあるのでしょう。似非療法の別の特徴に「新造語」の乱発があります。川竹氏もその例に漏れないようで、「自助療法」や「健康貢献度」を造語しています。自助療法とは「患者が自分でできる治療法や健康法のすべて」だそうですが、それがどうして大事かというと「健康貢献度が高い」から。

三大療法は、医者の言うがままに手術台に上がって、ベッドに寝ているだけだから貢献度は小さい。代替療法も、漢方薬を処方されてただ飲んでいるだけではダメで、逆に風邪を引いても自分で直せば貢献度は100%であるというのです。治療に対して積極的に学んだり考えることは大切なことに違いないし、気の持ちようがプラシーボ効果を引き出すこともあるのですから、こうした考え方も確かにできるでしょう。しかし、ここでも「白黒を付けたがる二分法」が顔を出します。三大療法は貢献度が低いからダメとうのもそれです。患者も主体的に治療法を選び、新しい治療法を模索してセカンドオピニオンを受けたり、インフォームド・コンセントで医者と経堂で治療法を決定するのです。川竹氏の目には、患者はすべて無能で受け身の人間に写るようです。川竹氏の論に従えば、ガン患研の言うがままに玄米菜食をやるのは「健康貢献度」が低いということになるのではないでしょうか。

こんなガンの患者学研究所にあなたの命を預けますか?

川竹氏は、ウェラー・ザン・ウェル学会をつくって医学部の教科書をつくるという無謀な計画の前に、川竹式療法で治った人、治らなかった人のデータを出すべきです。2300人のいのちの田圃の会会員がいれば、相当信頼性のあるデータが集まるはずです。(次回へ続く


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