ガンの患者学研究所 (5)

川竹氏は「ガン患研は事業収益を上げることに熱中しているのではないか」との疑問に、次のように答えています。

それでもなお、次のようにおっしゃる方もいます。「ガン患研は事業が多い。利益を上げることに熱心すぎないか」と。

日本のNPO法人の数は今、減ってきています。最大の理由は資金難です。会費など微々たるもの。欧米と違い日本では寄付も殆ど望めず、補助金も小額で運次第。というわけで三年もすれば活動不能。崇高な使命も志も虚しく宙にさまようのです。

だから私は、粗大ゴミを拾って事務所を始めた最初から、事業収益を上げることを自らに厳しく課してきました。

いついかなるときにも、百パーセント患者さんのために。いったん始めた活動は使命達成まで必ず継続。そのためには、経済的に完全な自立が絶対に必要なのです。

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先日ある支部長から、私宛に疑問が寄せられました。「ガン患研はなぜこんなに次々とイベントをやって組織を大きくしようとするのか。それを我々に手伝わせるのはどうも納得がいかない」というのです。

まず第一点。「なぜ次々とイベントをやって組織を大きくするのか」です。

それは、ガン患研と出会える人を一人でも増やしたいから。出会って下さる人が増えれば増えるほど、治る人も確実に増えていく。私はそう確信しているからです。

支部長さん。あなたが今、ガン患研の仲間たちと一緒にウェラー・ザン・ウェルへの道を歩んでゆけるのは、ガン患研がしゃにむに大きくなってきたからです。その幸運を、今も苦しみ続けている人たちにも、分け与えてあげてくれませんか?

ガン患研を手伝うのではありません。かつてのあなたそっくりの、まだ見ぬ後輩たちのお手伝いをしてあげてほしいのです。

確かに多くのNPO法人が財政難から解散したり、”自治体の下請け”となっている現状があります。あるいは暴力団の隠れ蓑となっている例も聞きます。川竹氏の言うことが言葉通りなら、経済的に自立することは、NPOを存続させるには大切に違いありません。

それではNPO法人「ガンの患者学研究所」の財務状況はどうなっているのか。本来なら事業報告書や定款はNPO法人自らがホームページなどで公開するべきものです。NPOキャンサーネットジャパンなどはウェブ上できちんと公開しています。ところがガン患研にはそれが見あたりません。そこで、ガン患研は横浜市の認可を受けたNPO法人ですので、横浜市市民局のHPを調べたら、ガン患研の財務状況が載っていました。

事業報告書の最新版は平成20年(2008年)です。決算期が8月31日ですから、この時期なら平成22年度のものがあっても良さそうですが、昨年度(平成21年度)の事業報告書すら未だに提出されていません。他のNPOではきちんと掲載されているので、横浜市が更新を忘れているということでもなさそうです。更に不思議なのは、事業報告書の期間が平成20年1月1日から8月31日までの8ヶ月間となっているのです。9月から12月までがなく、1年分の事業報告書になっていません。定款を見ると付則に「この法人の定款変更当初の事業年度は、第37条の規定にかかわらず平成20年1月1日から平成20年8月31日までとし、翌事業年度は平成20年9月1日から平成21年8月31日までとする。」とあるので、一応筋は通っているようです。しかし、役員の任期を規定の例外扱いするなど、なんともおかしな動きをしている様子が見て取れます。内部事情で何らかの問題があったのかもしれません。

さて、8ヶ月分の事業報告書を見ると、セミナー・講演会の事業収入が約2600万円、寄付が346万円。これが主な収入源です。会費収入はゼロです。いのちの田圃の会会員はNPO法人の正会員ではないようです。するといのちの田圃の会費はどこの収入となるのか、この報告書だけでは不明です。

ガンの患者学研究所と同じ住所番地には(株)人間出版と日本ウェラー・ザン・ウェル学会が登録されています。電話番号こそ違いますが同じ団地の一部屋です。(株)人間出版は1998年に設立され、株主は川竹氏一人(大株主)で代表者も川竹氏です。社員は5人の、要するに彼のワンマンオーナー企業です。この前年にガンの患者学研究所を設立したとされていますが、ガン患研がNPO法人になったのは2003年ですから、その5年も前に(株)人間出版が企業活動を始めています。

(株)人間出版は川竹氏の著作や「いのちの田圃」を主に販売しており、他には圧力鍋や「お手当グッズ」などもあります。この人間出版の売上が年間約2億円です。NPO法人の事業報告書はまともに提出していませんが、株式会社の決算報告書はきちんと出しているようです。税務署は怖いですからね。東京商工リサーチのデータベースを検索すると、最近のデータは2009年8月決算のものです。

売上  198,477(千円)  利益  8,981(千円)  配当なし

税引き後の利益率4.5%ですから営業利益率は10%ほどになるかもしれません。社員数5人の企業としては優良企業です。配当はなしですが、川竹氏への印税や報酬を払ったあとの利益でしょうから、業績としてはたいしたものです。裏方のはずの人間出版の売上高が、NPOガン患研の収入の7倍もあるのです。

NPOガン患研と(株)人間出版の連携した活動。ビジネスモデルとしては成功しています。NPO法人の講演会・イベント活動で「いのちの田圃」の会員を集めて支部をつくる。その会員が手弁当でイベントの運営には協力してくれるから経費は最小限でよい。NPOがおこなう「がんの啓蒙活動」としてニュースになる。マスコミが宣伝してくれるから、宣伝費はかからない。今生きているがん患者を集めただけの千百人集会は、参加費24,000円と高額でも喜んで参加してくれる。大きな宣伝効果と財政を潤す効果の一石二鳥である。看板として安保徹氏や船瀬俊介氏の顔を借りておけば、がん患者は疑うことをしない。こうした活動の結果は最終的に(株)人間出版の売上へとつながっていく。たった5人の社員であっても十分に利益を上げていくことができる、というビジネスモデルです。

先の支部長たちの疑問に「ガン患研を手伝うのではありません。かつてのあなたそっくりの、まだ見ぬ後輩たちのお手伝いをしてあげてほしいのです。」と立派な志を述べるのは、昨年と今年の「事業報告書」を自らのホームページに載せてからにしませんか。でなければこれらの疑問に答えたことにはならないでしょう。

膵臓がん患者の「治ったさん」を100人、いや10人でも集めたならば、川竹式療法を信じる気になるかもしれません。(おわり)


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ガンの患者学研究所 (5)” に対して2件のコメントがあります。

  1. 塚本浩 より:

    はじめまして、とても貴重な意見を聞かせて頂きました。
    自分は両親がガンで手術後に抗がん剤、放射線治療もせず蓮見ワクチンで約20年生きてた経験をしています。
    多分、人間個体差があるので、感染症のような同様な治療方法では無理があると思います。
    但し、ガンになられた方が「死」を意識しない「こころの持ち方」が出来ればどれだけ免疫にプラスになるでしょうか?
    いろんな方がいろんな事を言ってますが、みなさんガンが助かる病気になってほしいのは同じでしょう。
    あなたのような多くの経験や知識を持たれている方は多少食い違いがある方達とも、共有できることでは協力しあって頂ければと思います。
    頑張って下さい。
    PS. 30年前に厚生省がガンは早期発見早期手術で治る病気ですと言ってたことは当たらなかったわけですから。

  2. 塚本浩 より:

    はじめまして、とても貴重な意見を聞かせて頂きました。
    自分は両親がガンで手術後に抗がん剤、放射線治療もせず蓮見ワクチンで約20年生きてた経験をしています。
    多分、人間個体差があるので、感染症のような同様な治療方法では無理があると思います。
    但し、ガンになられた方が「死」

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