やはり怪しい!インクレチン関連薬(GLP-1、DPP-4阻害薬)

3日前のTwitterにこんなつぶやきを載せた。

RT @Office_j インクレチン関連薬(DPP-4)による膵炎、膵臓癌リスク増加の可能性に関する論説を、BMJ誌が掲載。リスクは確認されていないとしながらも、これらのリスクに関し「治療開始前に、患者と正直に話し合う必要がある」

昨日付の医師のための専門情報サイト MTPro によれば、米国糖尿病学会(ADA)が、インクレチン関連薬(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬)を販売、開発するすべての企業に対し患者データの提出を求める声明を発表したそうだ。

同日,BMJと英国のテレビ局が共同して行った、同薬の膵炎・膵前がん病変に関する情報提供が不十分ではないかとの告発報道を受けての対応と見られる。同学会では第三者委員会を設立し、患者データに基づく同薬の膵臓への影響を明らかにしていく意向を示した。

やはり怪しいのか。欧州医薬品庁(EMA)もFDAも動いているようだ。

江部康二医師も3月25日のブログでこう書いている。

比較的新しい薬なので、DPP-4阻害剤登場した頃の本ブログ記事(2010年09月10日 (金) )で、『10年・20年・30年使ってどうなるかというのは誰にもわかりませんので、私達医師にも処方する責任がありますが、ここらは患者さんも自己判断・自己責任で、ということになります。私自身は、今ある高血糖をコントロールすることを優先したいと思っていますので、糖質制限食がゆるくて血糖コントロールがいまいちの糖尿人には、DPP-4阻害剤のことを説明して、使用する方向で相談しています。』と述べています。

今回の論文(JAMA Intern Med 2012年2月25日オンライン版)は、RCT研究論文ではないので、膵炎リスクが確定的に増加というよりは、懸念がある程度の位置付けです。ともあれ、膵炎リスクのある糖尿人には使わないほうが無難なので、念のため処方している患者さんの見直しをしようと思います。

私は主治医からこの薬を勧められたが、「自己判断・自己責任」で処方を断っている。関連するブログ内の記事はこちらです。

製薬会社のコマーシャルをそのまま信じるととんでもないことになりかねない。都合の悪いデータは出さない。ときには(たびたびかも知れないが)データの捏造もする。今日本で問題になっているバルサルタンの論文捏造疑惑は「日本の臨床試験の信頼性を失いかねない」と関連学会は言うが、そう思うのならさっさと調査をして真相を明らかにすれば良い。噂ではこの事件に関連して、東大教授も含む更に多くの論文捏造があると指摘されているが、関係した研究者・医師は眠れない夜を過ごしているのではなかろうか。

デタラメ健康科学---代替療法・製薬産業・メディアのウソ
「製薬業界の騙しの手口」をもっと知りたければ『ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実』か『デタラメ健康科学—代替療法・製薬産業・メディアのウソ』を読んでみよう。特に『デタラメ健康科学』は軽妙な語り口で、込み入った話でも飽きさせない。怪しげなデトックスから始まって、ホメオパシー、ブラセボ効果のすごさ、栄養評論家の都合の良い話、抗酸化物質に対する幻想、ビタミン・サプリメント業界の呆れた手口、それらをよいしょするメディアの罪。私も今回の件で読み直した。

がんに効く「魔法の水」とか、フコイダンやホメオパシー(その他もろもろ)に興味がある方にはぜひ勧めたい。代替療法業者がどのようにしてだますか、なぜ我々がだまされやすいかがよく分かる。念を押しておくが、私は代替療法をすべて「効かない」と決めつけているのではない。「効くか効かないか証明されていない」ものを、さも効果があるかのように受け取る、私たちの思考の落とし穴に注意をと言っているだけだ。

否定的な話題だけでは気が滅入るから、『デタラメ健康科学』の次の一節を紹介しよう。

かりに末期がん患者が回復するという驚くべき事例が本当に一件あったとしても、その扱いは慎重にする必要がある。というのも、まったくもって偶然に、奇跡が起きることはときどきあるからだ。ただし、ときどきではあってもしょっちゅうではない。

オーストラリアのがん研究者チームが、末期がん患者2337人を対象に長期の追跡調査を行なった。彼らは平均して5ヶ月後に亡くなったが、約1パーセントは5年後もまだ生きていた。

驚くべき出来事はときとして起きるということである。理由らしき理由が見つからなくても、予想に反して人が助かることは実際にある。(P.57~58)

再度念を押しておくが「末期のがん患者」を対象とした話だ。末期とは『新・私が決める尊厳死 「不治かつ末期」の具体的提案』によれば、「がんの縮小を目指す治療の効果がなくなり、ケアが中心になった時期より死に至までの期間」としている。

末期のがん患者でも、100人に1人は「何もしなくても、奇跡的に治癒する」のであれば、ガンの患者学研究所が『私たちには300人以上の「治ったさん」がいる』は、仮に全員が末期がんからの生還者であったとしても、はたして多いのか少ないのかと考えてみるのが、代替療法にだまされないための第一歩ではないだろうか。


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