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ガンの患者学研究所 (2)

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「転移はがん細胞が弱った証」という安保徹氏の論理は、ホメオパシーの「好転反応」と同じです。レメディを飲んでいて症状が悪化したとき、「それはよくなる前に一時的に悪化することがあり、好転反応です」と主張します。適切な治療を受ける機会を失ってしまう点では、安保氏の「転移はがんが弱った証」も同罪でしょう。安保氏は川竹文夫氏が理事長を務める「日本ウェラー・ザン・ウェル学会」の副理事長を務め、ガンの患者学研究所が主催する講演にもたびたび登場しています。

Wshot200193_2 NPO法人ガンの患者学研究所は、元NHKディレクターの川竹文夫氏が代表を務めています。川竹氏は1990年に44歳で腎臓がんが見つかり手術します。その後再発予防のインターフェロンを10日ほどで中止し、それ以後はNHKディレクターの立場を生かして国内外のがんからの生還者を取材して回ります。その取材の結果を3本の1時間番組として1993年に、NHK教育テレビスペシャル『人間はなぜ治るのか』にまとめて放映します。

本人が「伝説の番組」というほど、放映後の反響はすさまじかったと言います。第1回にはそうした生還者、再発した乳がん、余命一週間の肝臓がん、直径12センチの乳がん、末期の胃がん、一晩に2度も意識不明になるほどの膵臓がんからの生還者たちが実名で登場します。膵臓がんの患者は、吹雪の中、病院の庭をたった独りで歩いた、と言います。それが生還者になった理由だろうと。また、第3回は「アメリカ編 イメージの治癒力」と題して、末期の脳腫瘍をイメージ療法で克服した少年が紹介されます。がん患者が実名で堂々と自分のがん体験を語り、「私はがんと精神的にどのように闘ったのか」が番組のテーマでした。全体としてがん患者に希望と勇気を与える内容であり、大きな反響をよんだことも理解できます。まだ十分解明されているとは言えないにしても、自然治癒力、精神神経免疫学が明らかにしつつある心と免疫との深い関係については、このブログでも肯定的に紹介してきました。

問題なのは第2回目「心がガンを治した」の内容です。第1回と第3回に紹介されている病院や患者はすべて実名で登場するのですが、第2回では病院名が「東京K病院」「三重県Y外科病院」「料理教室」と匿名で紹介されています。第2回目の番組の半分近くをこのK病院の紹介に費やしていますが、K病院とは「ホリスティック京北病院」のことで、反社会的な霊感商法を行なっている統一協会系の病院でした。番組には4人の患者が涙ながらに自分の体験を話します。更に宮崎県在住の長友明美さんの体験が紹介されます。アメリカで子宮絨毛がんで余命半年と言われた彼女は、手術を拒否して帰国します。「がんは不治に病ではないと、信念と希望を持ち続けた」「がん細胞を、許せ、愛せ、団結せよ」と言い続けたと証言しています。この長友明美さんは、講談社から『神さま! 産ませて―子宮ガンと闘い双子出産の母の記録』『がん治療を医者任せにするな!!』という体験本を出している統一協会員でした。有田芳生氏の『「神の国」の崩壊―統一教会報道全記録』に詳しく書かれています。

「神の国」の崩壊―統一教会報道全記録

一般の視聴者は、長友さんの体験談に素直に感動したことだろう。しかし、まったく別のことを感じた視聴者もいた。統一教会の元信者たちである。
「長友さんが『許せ、愛せ、団結せよ』という言葉を三度も繰り返したのを聞いてピンときました。これは統一教会の文鮮明教祖の言葉なのです。文鮮明は、一九七二年のウォーターゲート事件で再選を危ぶまれたニクソン大統領を応援する広告を出しました。そのスローガンが『許せ、愛せ、団結せよ』で、統一教会の信者なら誰もが知っている言葉なのです」(元信者)実は患者の長友明美さんも、K病院医師の林田繁氏も、統一教会のもっとも重要な伝統儀式である合同結婚式に参加しているのだ。林田氏は、一九八二年にソウルで行われた六千組の合同結婚式に、長友さんは一九七五年にやはりソウルで行われた千八百組の合同結婚式に参加した。その後、二人は統一教会の内部機関紙『祝福』や『ファミリー』にも紹介されている。

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K病院は一九五一年一月に医療法人として設立され、九二年九月二十八日に小林常雄氏が新しい理事長に就任している。小林氏はペンネームを天林常雄といい、「ホリスティック・メディカル・クリニック」という病院の院長を務めていた。この「ホリスティック・メディカル・クリニック」と林田氏が院長だった「ホリスティック・天王台・クリニック」が合併して『K病院』こと京北病院となる。近く「ホリスティック京北病院」と改められるという。実は天林こと小林氏も一九七五年の合同結婚式に参加、一九七九年に一心病院の副院長に就任、五年前に辞任している。
「この一心病院というのは、文鮮明教祖が提唱したもので、命名も文鮮明教祖。病院のパソフレットに、文鮮明夫妻の写真とともに創立の経緯が記されています」(教会幹部)

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ガン患者に向かって「死にたくないのならばどれだけお金が出せるのか」と言って、多額の金を巻き上げる統一教会系の病院がある。東京・巣鴨にある京北病院(「ホリスティック・メディカル・クリニック」を吸収。天林常雄理事長)がそれである。
統一教会信者が行っている霊感商法とは、人が生きていれば直面するなんらかの不安に付け込んで、その原因が先祖の因縁にあると脅し、壷や多宝塔、一和の高麗人参濃縮液などを不当に高額で販売してきた悪徳商法である。ところが天林常雄氏が行っていることといえば、それどころか人間の根源にかかわる生死の問題を「死にたくないのなら」と脅して不当に高額な金銭に換算させる。「究極の霊感商法」であると言わねばなるまい。
『99%ガンは防げる』『親が子どもを「ガン」にする』などの著者である天林常雄氏は、これまでどのような診療を行ってきたのだろうか。

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この番組に協力した「自然治癒力を考える会」は、京北病院を紹介してもらっては困る、とNHKに申し入れていたが無視されて匿名にして放映されましたのでした。しかも視聴者からの「病院名を教えて欲しい」という問い合わせには「会」のメンバーの電話番号を教えて、その人には400本もの電話が殺到して仕事にならなかったと言います。

この番組で紹介された「体外循環式全身温熱療法」は、感染症などの弊害があり今では行なわれていません。健康保険の利く「局所温熱療法(ハイパーサーミア)」とはまったく別物で、高額な自由診療の治療法でした。しかし、番組ではこうした点を批判的に報道することはありませんでした。

このように「人間はなぜ治るのか」は問題のある番組ですが、制作したディレクターの川竹氏にとっては、その後のガンの患者学研究所活動へと進むきっかけとなった”ご自慢の”番組のようです。ガン患研のウェブでもよく語られています。番組を録画したDVDも有償で貸与していました。

自分で言うのもなんですが・・・ 伝説の番組・教育テレビスペシャル『人間はなぜ治るのか』です。」と述べて”自慢の番組”であることを誇っています。NHKの集金人からディレクターへと奇跡的に出世した川竹氏にすれば、人生の財産なのかもしれません。しかし、「放送後、何日もNHKの電話は鳴りやみませんでした。」とはつまりK病院、Y外科病院を教えて欲しいという電話なわけです。自分が取材した統一教会系の病院に、こんなに反響があったと今でも自慢げに語っているのです。ここには公共の電波に反社会的団体を取り上げて宣伝をしたやったという反省は微塵もありません。

その後1999年7月9日には、全国霊感商法対策弁護士連絡会が、『週刊読売』編集部と発行元の読売新聞社に対し、ホリスティック京北病院のがん治療を賞賛した記事を掲載したことについて、記事掲載の経緯やこの病院の問題の認識など5点についての公開質問状を送りました。これに対して読売新聞からは7月20日付で回答がされています。こうした事件もあったのですから、川竹氏が、K病院が反社会的活動を行なっている統一協会系の病院であったことを未だに知らないということはないでしょう。この番組を自慢し続けているのは、自分の活動や主張に都合がよければ反社会的組織であろうが何でもかまわないという、川竹氏の弱点を表わしているのではないでしょうか。(次回へ続く)


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ガンの患者学研究所 (2)” に対して1件のコメントがあります。

  1. naka より:

    原理運動、統一教会、勝共連合、霊感商法等はいずれも韓国の文鮮明を教祖とする団体です。善意の若者をたぶらかし、その家族を悲惨な目に遭わせ、また先祖の祟りがあるといって一般の人々から多額のお金を巻き上げた元凶であることは、マスコミ人が知らないはずがないと思います。貴方様の考え方に全く同感です。

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