テリーさんへの手紙


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テリーさん。手術の成功と退院、おめでとうございます。今は少しは食事もとれるようになってきた頃でしょうか。

そしてこれから術後補助化学療法としての抗がん剤治療が始まりますね。でも同時に「がんサバイバー(生還者)」への第一歩を踏み出すのだという決意をお持ちだと思います。

テリーさんは、私と同様に大腸がんをやり、その後に膵臓がんになったのでしたね。私とはちょうど一年遅れの後輩ということになりましょうか。一年先の先輩として、私のこの一年間で学んだこと、気づかされたことを書いておくことは、テリーさんにとって大いに参考になると同時に、膵臓がんの患者の皆さんにも参考になるのではないか、また私にとっても今の状況を整理しておくことも悪くはないと思いました。

がんはどういう病気か

がんは怖い病気だという世間一般の考えがあります。その中でも膵臓がんは「がんの王様」と言われています。しかし、がん細胞が正常な細胞を攻撃することは全くないのです。癌細胞は勝手に増殖して血液やリンパ腺を通して体中に転移して、新しい場所でまた増殖します。がん細胞のある臓器の機能を失わせることによって死に至るのです。乳がんの場合などでは、相当大きくなっても転移さえしなければ命まで奪うことはありません。

また、がん細胞は本質的に非常にもろくて弱くて不安定な細胞です。混乱した誤がんはなぜ生じるか (ブルーバックス)った情報を持ったために、本来死ぬべきタイミングを逃して増え続ける細胞なのです。ですから白血球の攻撃を受けると必ず負けてしまいます。

どうして癌になるのか、そのメカニズムを現在の科学は見いだせないでいます。遺伝子説・環境因子説・老化説などが言われています。「がんはなぜ生じるか」によれば、更に体細胞突然変異説・フリーラジカル発がん説・がん幹細胞説など多彩です。

しかし、1974年のサイモントンがんセンターにおける研究をはじめとして、がんとストレスとの深い関係が明らかになっています。それらの研究は心と身体の密接な繋がりを実証してきましたが、そのメカニズムまでは明らかにできませんでした。しかし新しい学問領域である精神神経免疫学によって徐々にそのメカニズムが分かりつつあります。

「がん治癒への道」から引用すれば、

さまざまな感情はさまざまな化学物質(情報分子)に転換されることで、身体の免疫機能やほかの治癒系に影響を与えている、という事実が明らかになってきています。キャンディース・パートは、この分野でもっとも画期的な発見をした研究者の一人です。彼女は、国立精神衛生研究所の脳生物化学部門の主任をしていましたが、脳内モルヒネ様物質の受容体(レセプター)を世界で初めて発見し、共同研究した人です。これは感情の伝達機構に関わる化学伝達物質の受容体ですが、1973年に発見されて以来、すでに五〇種類以上もの神経ペプチド(伝達物質)が確認されています。・・・・・・・・・・・・・・・科学者たちは最近のテクノロジーのおかげで、実験室において特定の神経繊維が特定の白血球細胞群の表面にまで達していることを確認しています。この発見は、脳が発したメッセージを白血球群が神経から直接受け取っている、ということをはっきり証明しています。・・・そして今日、脳からのメッセージがどのように免疫系に影響を与えるかというプロセスが、実験室において具体的に観察できるようになったのです。

こうして、がんは心のありようと深く関わりがあることもわかってきています。自然治癒力や免疫機構についても少しづつ明らかになってきています。

膵臓がんは怖い病気か?

8月2日のこのブログでASCO 2008の報告を紹介しましたが、手術可能な場合で、術後補助化学療法としてジェムザールを投与しても、膵臓がんの5年生存率は17.2%というがっかりするような数字でした。

2007年12月1日までに、303例の再発(85.6%)と293例の死亡(82.8%)が観察された。G群はDFSの中央値を有意に延長した(G群 13.4ヵ月、O群 6.9ヵ月、p<0.001)。

しかしこの数字は、西洋医学の限界であり、現在の西洋医学にだけ頼っていればこうなりますよ、というだけだと私は受け止めています。なぜなら、手術もしないで膵臓がんが完全に自然治癒(自然緩解)した人がたくさんいるからです。ブログのおすすめサイトに記載している「思索の散歩道」の加藤一郎さん、あるいは「やぶいぬ応援団」のサイトにもたくさんの自然治癒例が紹介されています。多くのがん患者が生還者(がんサバイバー)となって治癒しているのです。これらの方に共通していることは、『心のありようが、がんの治癒には決定的に重要である』という点です。

また、多くの医者が共通して「データやエビデンスはないが、がんになっても屈託なく、明るく生きている患者ほど治りが早い」ということを言っています。私たちはこうした「がんサバイバー」から多くのことを学ばなければなりません。

がんと闘う武器は何か

多くの「がんサバイバー」を見てきた医者も同じことを言っています。日本にお

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けるホリスティック医療の第一人者である帯津良一医師(現在はホメオパシーに傾倒するなど、おかしくなってしまっているが)は、「がんになったとき真っ先に読む本」のなかで、「病気に対して無関心というか無頓着で、意に介さずという雰囲気」の人は治りが早く、「逆に、(知識をたくさん)知っていて闘志だけ燃やして空回りしてしまう」のは良くないようだと書いています。

帯津医師はこの著作の中で「病を克服する家」ということで説明しています。いろいろの治療方法を探し回り、東洋医学やサプリメントなどの代替医療にも手を出し、かけずり回っているような対処方法は良くないのです。

  • まず、心の有り様を見直すこと。サイモントン療法などが有効です。これががん治療の土台にならなければなりません。
  • 瞑想 マインドフルネス瞑想法などが有効です。
  • 食事-食事については多くの方が『玄米菜食』に勝るものはないといいます。これに関して私が大変参考になったのは東上百合子さんの「自然療法が身体を変える」などのいくつかの著作です。
  • 運動 運動することによって、NK細胞が活発に働くようになります。
  • 医学はこれらの土台の上にあるべきです。

「がん」は不思議な病気だといいます。同じがんで同じ症状の患者であっても、Aさんにはこの抗がん剤や治療法がこうkがあり、Bさんには別の治療法が効果があるというようなことが始終あるようです。それ以上に人間の身体そのものが不思議で計り知れない構造を持っているのです。人間の科学知識は、自分の身体すらほとんど知っていないというのが本当のようです。

膵臓がんの5年生存率20%の中に入りたい、これが患者の偽らざる心境であり目標でしょう。無病生存期間がどれくらい延びたかなんぞはどうでも良いことで、「自分が5年以上生きられるにはどうするか」が最大の関心事です。それには限界のある西洋医学だけに頼るのではなく、あらゆる方法を真剣に試してみるべきです。この先にこそ大いなる希望があります。

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死について考える

「多くの友人から惜しまれるような死を迎えたい」のであれば、多くの友人を作り、彼らから信頼されるような「生き方をしなさい」。家族から「ありがとう、ご苦労様でした」と言われるような死を迎えたいのであれば、「家族を大切にし、平和な家庭を作るように生きなさい」。「笑って死を迎えたい」のであれば「笑って暮らしなさい」ということです。

如何に死ぬかということは、如何に生きるかということです。

がんの治療において、特に私たちのように非常に厳しい状況におかれたがん患者は、「健全な死生観」を持つことが大切だと多くの識者が言っています。死を恐れるその恐怖感が免疫力を下げ、治るはずのがんも治らなくしてしまいます。ですから、敢えて「死について考え、健全な死生観を持とう」と書くのです。静けさに帰る

サイモントン療法のCDにはメディテーションの一部に「死に対するイメージを変える」を収録して、そのことを強調しています。

このブログでもよく紹介してきた、老子-タオの翻訳者加島祥造氏と帯津良一医師の対談集『静けさに帰る』が昨年出版されています。帯津医師が、

「死についてどのようにお考えですか」と質問すると、
「変化だよ!」
間、髪を入れずとはこのことです。よほど確信がなければこうはいきません。
タオの流れの中の一つの変化だと言うのです。

がんのホリスティック医療の第一人者と伊那谷の老子といわれる加島祥造さんががんについて大いに語っている、がんと心の問題、がんと死の問題について。我が意を強くしましたね。

道元や良寛、吉田兼好の死生観などをこのブログでは紹介してきました。このようにして自分なりの死への健全な考え方を整理しておくことは、がんの完全治癒を目指すためにも必要なことだと考えているからです。

私は信仰を持たない無神論者ですが、テリーさんが何か信仰をお持ちなら、その信仰の教えるところに従った死生観を見直してみればよいでしょう。多くの宗教が「死とは何か、人はどのように死を迎えるべきか」を説いているはずです。(中には現世利益だけを追求しているような宗教もありますが・・・)

どうして癌になったのか

がんの原因なんかはよく分かっていないと書いたのですが、その意味ではなく、私なりテリーさんなりが、「わたしがなぜ癌になったのか」ということです。完全主義者で100点満点の仕事をしないと気が済まない。頼まれたらいやと言えない。他人より能率が高い仕事をすると誇らしく思う。障害が高ければ高いほどやる気が出る。そのような人生を歩んできたのではないでしょうか。しかし、そんな生活を長く続けていると壊れてしまうので、身体の方が自己防衛的に病気を作る。「少し休みなさいよ」というわけです。

風邪くらいひいたってちょっと休んではすぐに元のペースに戻る。そんな繰り返しのあげくに、身体の方が、「こいつはいくら言っても分かってくれない」ということで、大腸がんを作ってしまう。私の場合は直腸がんでした。

どちらも比較的治りやすいがんですから、手術した当座は神妙に生活も改めて自制していたのでしょうが、がんは5年経てば完全治癒だという医学界の取り決めを信じて、自分のがんも治ったのだと錯覚をしてしまう。がんは治ったには違いがないが、その原因である生活習慣はまったく直ってはいない。

こうして、塀があれば塀を乗り越え、溝があればそれを跳び越えるようにして生きてきたのではないでしょうか。そうして気がついたら目の前に高圧電流が流れる有刺鉄線がある。これが膵臓がんです。ここから先には行っては駄目ですよ。最後のチャンスです。引き返しなさい、というわけです。

がんはメッセンジャー

ですから、がんは「天からの親切な手紙」だと東上百合子氏はおっしゃります。サイトントンは「がんは思いやりのあるメッセンジャー」だと言っています。

テリーさんも私もここから引き返さなければならないのです。引き返してどの道を進むのか。もうお分かりでしょう。自分自身の本来の姿にもどります。理想の自分なんぞは追いかけないことです。これまでの生活を根本から変えないと、がんは治りません。癌細胞は切り取ることはできても、その原因が取り除かれていないのですから、「再発・転移」するのは当たり前のことです。

ずいぶサイモントン療法――治癒に導くがんのイメージ療法(DO BOOKS)んと長い手紙になってしまいました。テリーさん、大丈夫ですよ。膵臓がんだって末期のその他のがんだって自然治癒することがたくさんあるのだし、今はその方法・使うことのできる武器も手に入れました。もちろん100%勝てるという保証はありません。しかし、老子の言うように「勝とうと思わなければ負けることはない」のです。がんとは共存できればよいのです。大きくなりさえしなければ悪さをすることはないのですから。無くなってくれるに越したことはないですが、それを目標に頑張ると自分の身体が持ちません。

勝とうとしなければ勝っている、がんとはそのようなものらしいのです。心の持ちようが大きく関係しています。

食欲が出てきましたら、早い段階で玄米菜食にすることがよいと思います。また心の有り様を変えるために、たとえば『サイモントン療法』を読んでみてはいかがでしょうか。付属のCDに収録されているメディテーションはやってみると気持ちがよいですよ。

もちろんこれは私の考えであり、これがテリーさんにあっているという保証は何もありません。がんは何でもありですが、すべて自己責任です。

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テリーさんへの手紙” に対して1件のコメントがあります。

  1. テリー より:

    キノシタ様
    大変に貴重な経験、情報を盛り込んで頂いた手紙ありがとうございます。これまでの集大成の長文に改めて敬服いたしました。5月に膵臓癌ではと診断されて以来、検査入院・手術、術後の入院生活中、携帯でいろいろな情報を集めていく中で出会ったキノシタさんのサイトを自分のその時々の状況に照らし合わせて参考にしてまいりました。勇気付けられたり、やっぱりそうなんだという不安感から寝られない日も続きました。体重もあっという間に10キロ以上減りました。
    おっしゃられるように癌は不思議な病気です。横行結腸癌から二年半!変えなくちゃと思っていた生活もいつの間にか元に戻っていました。ある人から同じ事を言われました。チョッと間違えれば死に至っていた病気から二度も生還できたのだから、これをメッセージだと思ってこれからの人生を見つめなおすべきだと!
    キノシタさん、まだまだ退院して自分を見つめなおしている最中です。お盆休み中に何かをつかめたらと思っています。焦らず、のんびりと、自分らしく、頑張らないでやっていこうと思っています。新たな癌サバイバーとして・・・。

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