がん患者、お金との闘い

新しい抗がん剤が次々に開発され、がん患者の余命にいくらかは寄与するようになってきました。しかし、病院の窓口で支払う抗がん剤治療の高さにはびっくりします。私の場合、術後補助化学療法でジェムザールを半年間投与しましたが、一回の患者負担額が4万円以上。これが月に3回ほど続くのですから、吐き気止めなども入れると毎月15万円くらいになりました。高額療養費を請求すれば返ってくるとはいえそれは3ヶ月ほど後になります。

今は再発・転移もないから医療費は月に1万円以下ですからそれほどの負担にはなっていませんが、再発・転移した患者さんなら、例えばGEM+TS-1の投与を受けるようになれば月に20万円以上の負担額になることもあるはずです。しかし、こうしたがん患者の経済的負担の問題があまり論議されることはありません。それは一つにはがんが「生活習慣病」といわれるように、患者にも自分の生活態度が招いた病気だという負い目を感じているからではないでしょうか。その意味で「生活習慣病」という言い方には疑問を感じます。確かに生活習慣が原因の一つでしょうが、二人に一人ががんになる時代、社会生活ががんになるような生活を強いてきたという側面もあるはずです。

がん患者、お金との闘い
』は札幌テレビ放送取材班が、がん患者の経済的負担に苦しんでいる状況をレポートしたもので、これまであまり陽の当たらなかった部分に焦点を当てたよい企画だと思います。

がん患者、お金との闘い
がん患者、お金との闘い 札幌テレビ放送取材班

岩波書店  2010-01-23
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大腸がんと診断された金子明美さんの経済的苦境と、家族でそれを支え合い、奮闘する姿が印象的です。経済的負担に耐えかねて「離婚して生活補助を受ければ、医療費もかからない。家族にも迷惑がかからなくなる」とまで思い詰めた金子さんです。しかし、離婚は「子供たちにウソはつけない」と断念する。そして患者会を組織して、北海道に署名誓願をして知事にも直接訴える。国のがん対策協議会のメンバーにも選ばれて国会議員にも患者の経済的苦境を訴えるが、しかし、その声はなかなか届かない。

海外ではすでに承認されている抗がん剤が日本では未承認で使えない。いわゆる「ドラッグ・ラグ」の問題がある。個人輸入してでも使える患者はまだよい。働き盛りががんになればたちまち経済的に行き詰まる。「ドラッグ・ラグ」以前に、承認された抗がん剤でさえ経済的理由で使えないで、自ら治療を断念していく患者がたくさんいる。「新しい抗がん剤といったって、わずか数ヶ月の延命のために家族の生活を犠牲にし、子供の進学を断念する。そんな価値があるのでしょうか?」この問いは重い。医療費は誰が負担すべきなのか、海外の事情も紹介して我々に問題を突きつける本である。

私はパンキャンなどのアンケートにはいつも「がん患者に障害者手帳を」と書いている。がん患者には一律に障害者手帳を交付すれば、経済的負担がどれほど軽くなるかと思うからだ。しかし、実はがん患者が「障害年金」を受けることができるということは、あまり知られていない。本に登場する金子さんも実は知らなくて、あるソーシャルワーカーから教えてもらったそうだ。社会保険事務所の窓口の担当者ですら、その知識がない。

がんサポート情報センター 「障害年金はさまざまながんで受給できる場合がある」
障害年金を受け取るために必要な条件

金子明美さんのブログ「(旧)最期まで諦めない 癌と共に
              「(新)最期まで諦めない がんと共に
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性新生物(ガン)による障害の程度は、組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考に
して、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわ
たる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を
加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定
するとされています。
                  
                              
                        
                        
                        
                     
                     
                        
                        
                        
                     
                     
                        
                        
                     
                     
                        
                        
                        
                     
                   
                  

  障害の程度 障害の状態
国年令別表 1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
厚年令別表 3級 身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

                  悪性新生物(ガン)による障害の区分
                  ア 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)によって生じる局所の障害
                  イ 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)による全身の衰弱又は機能障害
                  ウ 悪性新生物に対する治療の結果として起こる全身衰弱又は機能障害
                  

                  


                  <一部例示>
                  

                  
                   
                     
                        
                        
                     
                     
                        
                        
                     
                     
                        
                        
                     
                     
                        
                        
                     
                   
                  

障害の程度 障害の状態
1級 著しい衰弱又は障害のため、身の回りのこともできず、常に介護を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
2級 衰弱又は障害のため身の回りのことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では、屋外への外出等がほぼ不可能となったもの、又は、歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
3級 著しい全身倦怠のため歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの、又は、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの

                  

悪性新生物そのものによるか又は悪性新生物に対する治療の結果として起こる障害の程度は各障害ごとの認定要領によるとされています。

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がん患者、お金との闘い” に対して1件のコメントがあります。

  1. みりんこ より:

    どうも、昨年12月の「ガン哲学」の回に初めてコメントさせていただいた以来です。父の膵臓癌はステージⅣaまで進行しており、セカンドオピニオンで兵庫の粒子線センターまで足を運んだりしたのですが、手術可能な状態であれば、重(陽)子線治療よりも手術の方をすすめられ、先月無事福岡の病院で切除でき、先週自宅(長崎の某離島)に戻り現在はジェムザール2回目が終わったところです。先週退院した際には身内一同ホッとしたものですが、これからまだまだ大変なことがいっぱいあるのだと思うと気が遠くなる思いですが(金銭的なことも含め。)挫けずに立ち向かっていこうと思います。引き続き、勝手に励みにさせていただきます…

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