楽天は、光免疫療法で星野仙一氏の仇討ちを
星野仙一さんは膵臓がんだったようですね。告知から1年と6ヵ月ですから、ステージ4なら標準的な経過でしょうか。残念です。
楽天の三木谷会長は、父親の三木谷良一神戸大学名誉教授を末期の膵臓がんで亡くしています。それに続いて、今回の星野氏です。さぞかし無念に違いありません。
楽天が本格的にがん事業に参入し、「光免疫療法」の商業化を進めている米ベンチャー企業、アスピリアン・セラピューティクス(カリフォルニア州)に2割超出資して持ち分法適用会社とする。電子商取引(EC)会員の健康データと組み合わせた医療サービスを検討し、新たな収益源に育てる予定だという。
そうした事情もあり、光免疫療法に力入れをしているのでしょう。米国での臨床試験はこちらに登録されています。
- ClinicalTrials.gov 「Study of RM-1929 and Photoimmunotherapy in Patients
With Recurrent Head and Neck Cancer」再発頭頸部癌患者におけるRM-1929および光免疫療法の臨床試験
と、頭頸部がんを先に承認させるのは致し方ないとして、その次にはぜひとも膵臓がんを優先的に臨床試験を実施し、お父上と星野氏の仇討ちをして欲しいものです。
PubMedをチェックしていますが、光免疫療法(NIR-PIT)に関する論文は、2ヵ月に一本ほどの勢いで発表されていますね。最近ではこんな論文が出ていました。
腫瘍光免疫療法の分子イメージング:光増感腫瘍壊死と血行力学的変化の証拠。
NIR-PITが細胞膜損傷を介して急速な細胞死(アポトーシス)をもたらし、急速な細胞拡張の後に細胞膜破裂が起こるという証拠と共に、確認した。
光免疫療法による細胞死は、通常の細胞死とは違い、「免疫原性細胞死(免疫を誘導する細胞死)」という死に方です。がん細胞が破裂すると、近くの樹状細胞に「がん細胞が死んだ」というシグナルが届き、樹状細胞が活性化してT細胞にがん細胞を攻撃するように指令を出します。そして、がん細胞が免疫から逃れるのに利用している制御性T細胞が2割まで減少し、がん細胞の敵であるNK細胞の9割が目ざめて活発になります。こうした免疫細胞の働きによって、原発がんだけではなく、遠隔転移したがんも消失することが確認できたと、小林久隆氏は述べています。
早期に遠隔転移する膵臓がんにとって、強力な武器になるに違いありません。
膵臓がん患者は期待しています。