ストレスとがんの再発
ストレスホルモンが、休眠がん細胞を目覚めさせる
がんサバイバーにとって再発は最も気がかりで避けたいことです。
ストレスががんを発生させるだけでなく、再発も起こすのではないかという説もありますが、一方で、ヒトを対象にした研究では、ストレスとがんの関係性は明確には証明されていません。
ある新しい研究から、治療後に体内に残っている休眠状態のがん細胞を、ストレスホルモンが目覚めさせているのではないかと示唆されています。
がん治療がうまくいっているように見えても、実は生き残ったがん細胞が休眠状態に入っているだけなのかもしれません。そのような休眠細胞は増殖を停止するかきわめてゆっくり増殖をしています。しかし休眠細胞は非常に少ないため、通常の検査では見つけることができません。でも増殖を始めなければ何の問題もありません。
人為的に休眠状態にしたがん細胞を、B細胞または T 細胞と混合しても増殖はしませんでした。しかし好中球と混合すると再び増殖をし始めました。がん細胞は好中球を悪役にしたてて、腫瘍の増殖と広がりを助けるように好中球を騙すことができるのです。
患者の体内に腫瘍が残っていない場合、何が好中球を変異させるのか。慢性的なストレスががんの進行に関連することを示した研究があったことから、研究者らは好中球に対するストレスの影響を検討した。その結果、アドレナリンやノルエピネフリンのようなストレスホルモンは、好中球と休眠状態のがん細胞が関与する連鎖反応を引き起こすことがわかった。
海外がん医療情報リファレンス「ストレスとがん再発の関連性」より
一種の連鎖反応です。好中球だけでもストレスホルモンだけでも休眠細胞を目覚めさせることはできませんでした。しかしそれらが連鎖的に発生すれば、休眠しているがん細胞を目覚めさせることになります。
ストレスの定義も曖昧ですし、ストレスを測定することも容易ではありません。したがって定量的な研究の結果によってエビデンスを出すのは非常に難しいと言えます。
2019年のある研究では、ストレスホルモンが腫瘍内の親腫瘍性免疫細胞数を増加させる可能性があることがわかった。それはストレスが休眠状態の腫瘍細胞を目覚めさせるだけでなく、腫瘍細胞が増殖するのに適した環境を提供することを意味する可能性がある、とHildesheim氏は説明した。
海外がん医療情報リファレンス「ストレスとがん再発の関連性」より
動物実験レベルだし、ストレスが癌を再発させるかどうかはまだ分からないということですよね
そうなんじゃが、こうした研究は肯定的なもの否定的なものそれぞれあるわけで、しかしがん患者としては、ストレスを少なくすることに何のデメリットもないわけよ。ストレスがあるとコロナ感染症で重症化リスクも高いというし、積極的にストレスの少ない生活をしてみてはどうかな。
ストレスを低減するには、サイモントン療法やマインドフルネス瞑想、ヨガ、座禅、太極拳なども役に立つと思いますよ。
関連記事もどうぞ
老化細胞と呼ばれる一種の休眠細胞の活性を阻害するか死滅させる薬剤の開発が進んでいます従来の治療法と組み合わせればこの薬剤によって癌の再発を防ぐことができる可能性があります。
下の関連記事には、膵臓がんとストレスの関係など有益な情報もありますよ。