遺伝子改変T細胞で白血病が全快

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期待できるニュースです。

【8月11日 AFP】患者本人のT細胞(免疫細胞)を遺伝的に改変してキラー細胞とする新たな白血病治療法で、末期の白血病患者3人のがん細胞が死滅または激減したとの研究結果が10日、米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・マガジン(Science Translational Medicine)」と同「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に同時発表され、驚きをもって受け止められている。
 まだ開発途上ながら、この遺伝子導入治療は将来、卵巣がん、肺がん、乳がん、皮膚がんの患者にとっても希望の光となるかもしれない。

■2人でがん細胞が死滅
 米ペンシルベニア大(University of Pennsylvania)の研究チームは、患者から採取したT細胞に遺伝子操作を施し、CD19たんぱく質(がん細胞もこれに含まれる)を発現させる全細胞を攻撃するよう改変した。また、副作用を伴わずがん細胞を早期に死滅させるため、他のT細胞とがん細胞が結合した瞬間にT細胞の増殖を促す改変も行った。

 この治療法を適用した3人の慢性リンパ球性白血病(CLL)患者のうち、1人は64歳男性で、血液と骨髄に3キロ分のがん細胞があった。治療後2週間はほぼ何の変化もなかったが、その後吐き気、悪寒、高熱を訴えるようになった。検査の結果、改変T細胞の数が急増しており、吐き気や熱はがん細胞の死滅時に現れる腫瘍(しゅよう)崩壊症候群の症状だと分かった。治療開始から28日目までにがん細胞は死滅し、1年後の検査でもがん細胞は検出されなかった。
2人目の65歳男性でも同様の結果が出た。

 3人目の77歳男性では、腫瘍崩壊症候群の治療のためステロイドを処方された後わずかではあるが、がんが再発した。それでも、がん細胞の量は治療前をはるかに下回る状態が続いた。

 カール・ジューン(Carl June)研究員によると、3人とも改変T細胞の数が少なくとも1000倍に増えた。改変T細胞は平均して1個あたり数千個のがん細胞を死滅させていた。

■急性リンパ性白血病でも有効性を調査へ
 白血病の主な治療法である骨髄移植は、死亡リスクが最低でも20%あり、治癒率も50%程度でしかない。今回の方法ががんの再発をどれほどの期間抑えられるのかは不明だが、改変T細胞ががん細胞死滅後少なくとも1年は残存すること、つまり体が防御態勢を維持することに、研究者らは興奮している。

 次は、この治療法を小児患者2人とCD19陽性の成人患者少なくとも13人に試す予定だ。非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病、中皮腫、卵巣がん、すい臓がんに有効かも調べることにしている。

 実験に参加した患者の1人は、「今は健康そのもの。永遠にこの状態が続くわけではないことも覚悟しているが、勝利を宣言したい」とのコメントを出した。

以前はキラーT細胞と呼ばれた細胞障害性T細胞(CTL)は、がんペプチドワクチンやその他のワクチン療法でも、CTLが発現したから効果があったなどと説明されることがあります。今回の研究は、そのCTLを遺伝子操作で作り上げたということのようです。おとなしいT細胞を殺人鬼に変えるわけです。なるほど、がんワクチンの助けを借りてCTLを増やすより、こちらの方が直接的ですね。

免疫療法も、ますます多様化しそうです。抗がん剤治療は、所詮過渡的な治療法です。将来は患者の免疫力をベースにしたこのような治療法が主流になるのでしょうか。

一方、昨年前立腺がんの画期的な免疫療法としてFDAが承認した「Provenge」ですが、当時は日本でもこれを持ち上げる論調が多数でした。

  4月29日、米国FDAはデンドレオン社が開発した前立腺がん治療ワクチン、プロベンジを承認しました。これは、世界で初めて承認されたがん治療ワクチンです。

 デンドレオン社がFDAに提出した資料によれば、512人の転移性の前立腺癌患者を対象に、プロベンジ群の生存期間中央値は25.8か月、プラセボ群は21.7か月と、プロベンジの投与で生存期間は4.1か月延長しました。進行がんの生存期間を4.1か月延長したことは驚異的です。この研究成果は、NEJM 7月29日号のトップに掲載されました。

 発売当初、プロベンジがどれだけ普及するか、多くの臨床医は疑問を持ちました。それは、プロベンジの費用が9万3000ドルと高額だからです。しかしながら、臨床医の懸念は杞憂だったようです。6月28日のブルームバーグの報道によれば、プロベンジの製造が需要に追いつかず、デンドレオン社は2011年中旬を目指し、製造設備を拡張します。

しかし、8月4日に開発元のデンドレオン社の株価が60%もの大暴落とのことです。

  従来の抗がん剤とは違って、"まったく異なる原理"による"世界で初めて"の、"副作用がない"、"いままでの薬が効かなかった前立腺がんに効く"、"ものすごく高価な"細胞医薬というイメージを、開発者の意図におかまいなく市場に振りまいてしまっていたと考えられます。
 あたかも「魔法の薬」のようなイメージが独り歩きした結果、Provengeで治療すれば"みるみるうちにがんは治る"と医師も患者様も思い込んでいたのではないでしょうか。

まだまだ道は通しという感じです。がん治療に「魔法の弾丸」はないのでしょう。


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