米最高裁、DNAの特許を認めず

6月1日のブログ「遺伝子検査の問題点」でも”まもなく判決が出る予定”と触れたが、アメリカ最高裁が「DNAに特許は認められない」と、13日に判決を出した。<マイナビニュース

米国の最高裁判所は6月13日(米国時間)、DNAは特許の対象としては認められないという判決を下したことが、Talk Radio News Serviceの記事「Supreme Court: No Patents For Natural DNA」において伝えられた。DNAは自然の産物であり、それは「発明」するものではなく「発見」するものだとしている。ただし、cDNAは化学的に作成されるものであり、特許の対象足りえると説明している。

Myriad
Geneticsは医療に応用できる遺伝子として「BRCA1」および「BRCA2」などを含むいくつかの遺伝子に関して特許を取得している。今回の判決でこれら特許は認められないことになる。ただし、化学的に作成されるcDNAは特許の対象足り得るとされており、今後はcDNAをベースとしたビジネス活
動が展開されていくものとみられる。

DNAそのものに特許を認めると、その遺伝子の研究開発や、その遺伝子を利用した製品の開発などが1社に制限され、発展という面で好ましくないのではないかという意見があった。

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ミリヤッド・ジェネティックス(Myriad
Genetics)社はアンジェリーナ・ジョリーの予防的乳癌切除で話題になった「BRCA1」および「BRCA2」の特許を元に、この遺伝子検査で大もうけを企んでいたが、軌道修正を余儀なくされた。アンジーを使った宣伝も最高裁には効果がなかったということだ。

アンジーの「勇気ある告発」直後のミリヤッドの株価はこのように急騰していたが、

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この決定を受けて、ミリヤッド・ジェネティックス社の急騰した株価も、1日で約28ドル下がっている。ただ、最高裁が部分的に特許を認めたことで、急落というほどではない。

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Myriad
Geneticsは世界最大の遺伝子検査、分析ツールのメーカーであり、最高裁がDNAの特許を認めれば、今後数年間でこの会社は数兆円規模の利益を得ると見込まれていた。アンジーの報道を受けて、少なからずの女性が乳癌の遺伝子検査を受けるべきだろうかと考えたのではないか。そして1回の遺伝子検査を受ければ、この会社には4000ドルの利益が転がり込むというわけだ。仮に特許が認められたなら、世界中の女性を相手に独占的に検査ができたのだが、Myriad
Geneticsの思惑通りにはいかなかった。

さて、美しい女優アンジーは純粋な気持ちで乳房の切除をしたのだろうか。この会社から大金がわたっていたということは、ないよね。

14日付のAFPは次のように報じている。

【6月14日 AFP】米連邦最高裁判所は13日、自然に発生するヒトの遺伝子配列は、特許の対象にならないが、人工的に転写・複製したDNAは対象になり得るという判決を、判事全員一致で下した。

 判決によると「自然に発生するDNAの断片は、自然の産物であり、単に分離されただけでは特許の対象にはならないが、相補的DNA(cDNA)は、自然に発生したものではないため、特許の対象になる」という。

 最高裁判事9人は今回の判決に先立ち、バイオ企業のミリアド・ジェネティクス(Myriad Genetics)が特許を取得している2つの遺伝子に関する2012年の米控訴審判決を再審理した。控訴審は、乳がんと卵巣がんとの関連性があることをミリアドが発見した遺伝子「BRCA1」と「BRCA2」に対する同社の特許を認める判決を下していた。

 米女優アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さんは最近、このBRCA1遺伝子に変異があるために乳がんを発症するリスクが通常より高いことが分かり、予防措置として両乳房の乳腺切除手術を受けた。

 訴訟は、米国自由人権協会(American Civil Liberties Union、ACLU)や15万人以上の研究者、医師、患者らが、特許対象の遺伝子を使用した今後の研究・調査の妨げになるとして、先の控訴審判決を覆すよう最高裁に申し立てたもの。今回の判決は、科学界側の勝利となった。

 ミリアドは、BRCA1、BRCA2の遺伝子に対する遺伝子検査を提供している。1990年代になされたこれら2遺伝子の発見は、通常は長年の努力と多額の投資が必要な研究活動の産物だ。判決は、ミリアドが「重要で有用な遺伝子を発見したが、画期的、革新的で、卓越した発見でさえも、それだけで(特許法の)条件を満たすわけではない」としている。

 だが今回の判決は、ミリアド側の部分的な勝利ともみられている。判決の知らせの直後、同社の株価は急騰した。相補的DNAと定義される他の遺伝子パターンの特許権を保持できることになったからだ。同社は交流サイト(SNS)・フェイスブック(Facebook)の自社ページで、「最高裁の判決によって、無効になる特許請求もあり、守られるものもある」と述べている。


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