今日の一冊(3)『沈みゆく大国アメリカ』

6日間の出張から帰宅。ノートPCは持っていったけどブログを書く暇はなかった。最高気温34度の炎天下での現場作業はきつかったです。しかし、出張の目的は十分すぎるほどの成果を得たので満足している。

口之永良部島で火山が爆発。大きな被害がなくて良かったが、桜島、阿蘇山、御嶽山と、3.11後の日本が確実に火山の活動期に入っている。地震保険料も値上げすると報道されているから、保険会社・政府ともに近いうちには必ず大きな地震が来ると考えているのだが、それでも川内原発を始めとして止まっている原発を動かそうなんて、どうかしている。生活や命よりも「金」ということか。快適な生活ができるためなら命も要らない、のだろう。

「患者申出療養」制度を含む「医療保険制度改革関連法案」が26日、参院本会議で与党賛成多数で可決・成立したが、いよいよこれから日本でも「混合診療」が次第に拡大していく。なまじ長生きしないで、がんで早々に死んだ方がましかもしれない。

東京や大阪では、医療の自由化、混合診療解禁などの総合的な規制撤廃地区とすることができる「国家戦略特区法」が2013年に成立したとき、アメリカの金融アナリストが次のように述べていた。

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「これは海外投資家にとって重要な政策ですね。特に、40兆円という世界第二位の規模を持つ日本の生命保険市場は、グローバル企業と海外投資家にとっては非常に魅力的です。」

実際に「国家戦略特区ワーキンググループ」の作成した官報資料をみると、「保険外併用療法の拡充」が最重要視されている。特区内での医療費は高騰してゆき、周辺の住民が同じ医療を受けようとすれば、公費だけでは支えられないので、結局規制緩和して公費部分を縮小せざるを得なくなる。それがいままさに進行している事態だと、どれほどの患者が認識しているのだろうか。

世界に冠たる「国民皆保険制度」が形だけ残ったとしても、使える薬がどんどん少なくなっていく。特に高額な分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などの抗がん剤は、真っ先に標的となる。

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先の金融アナリストは続けて、

「そこで、民間医療保険のビジネスチャンスが生まれるのです。
国民健康保険の公費負担分が小さくなればなるほど、それ以外の医療や薬をカバーするために、日本人は民間保険を買うようになるでしょう。やがて貧困層と低所得者層、障害者だけが公的保険に入り、それ以外の国民が国民健康保険と民間保険の両方に加入するという、アメリカと同じ図になりますね」

と目を輝かして語っている。

アフラックなどが宣伝している、陽子線治療、重粒子線治療がカバーされるという「先進医療特約」はこの先取りである。「末期がんが消えた!画期的な免疫チェックポイント阻害剤が使える、当社の特約付がん保険があなたの命を救います」とテレビコマーシャルが流れる時代がもう目の前に来ている。

「金」儲けのためなら(他人の)生活や命はどうでもよいのが、新自由主義でありグローバル経済の特徴だ。その究極の姿が「金持ちが戦争を起こし、貧乏人が戦死する」という戦争だろう。

堤未果氏の『沈みゆく大国 アメリカ』の2部作は、オバマケアの驚くべき欠陥と、アメリカの産薬共同体が、次のターゲットを日本に据えて着々と戦略を進めている実態を、豊富や資料と取材によって明らかにした良書である。


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