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今日の一冊(93)『「がん」はなぜできるのか』

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久しぶりの「今日の一冊」ですが、これじゃ「今月の一冊」になってしまいますね。

「そのメカニズムからゲノム医療まで」と副題にあるように、がんの発生から成長、浸潤・転移にいたる「がん発生の自然史」のメカニズムの理解が必要となります。

最近の研究によれば、がんはその成長過程においてもゲノムの異常が多発する「ゲノム進化」という現象が起きていて、加えて遺伝子の発言量に影響するエピジェネティックな「エピゲノム」の異常も起きていることが分かってきました。

こうした理解をもとに、最新の「がんゲノム医療」を紹介しています。

いまだがんを根治する方法は見つかっていません。しかしながら、近年のゲノム医療の進展で、「がん根治」の手がかりが見えてきています。分子標的薬によるオーダーメイド治療、免疫チェックポイント阻害薬などの画期的新薬も登場しています。

  • 第1章 がんとは何か?
  • 第2章 どうして生じるのか?
  • 第3章 がんがしぶとく生き残る術
  • 第4章 がんと老化の複雑な関係
  • 第5章 再発と転移
  • 第6章 がんを見つける、見極める
  • 第7章 予防できるのか?
  • 第8章 ゲノムが拓く新しいがん治療

で構成されています。

※血液1滴でがんの早期発見できる「エクソソーム解析」
※最適な抗がん剤が見つかる網羅的遺伝子検査
※「魔法の弾丸」分子標的薬でオーダーメイド治療
※公的医療保険が適用できるゲノム医療

も専門的ですが、深く解説されて参考になります。

「第3章 がんがしぶとく生き残る術」には、がんがどのようにして免疫系の攻撃をかわしているのか、免疫細胞を味方に付けて、攻撃にブレーキをかける巧妙な仕組みを説明していますが、これを理解すれば、免疫細胞療法(活性化リンパ球療法)がなぜ効果がないのかが分かります。

当時はまだT細胞ががんを攻撃する分子レベルのメカニズムが解明されていなかったため、活性化リンパ球も特定の分子を標的としたものではなく、非特異的な免疫療法にとどまっていました。がんは免疫抑制環境をつくっていますから、攻撃側をいくら強くしたところでただちに突破することはできないのです。このため、効果もはかばかしいものではありませんでした。

ブルーバックスらしい内容で、専門用語が多く、取っつきにくいかもしれませんが、がんと最近の治療法を理解するための基礎知識を得ることができる良書です。


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