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免疫細胞は、幸福感によって変化する

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免疫細胞は脳、あるいは心の影響によって変化するのでしょうか。

社交的な人と孤独な人では、遺伝子の発現量(活発さの度合い)が違うそうです。深い満足感を伴う幸福感を抱いている人は、風邪にも罹りにくいと言われます。

深い幸福感を持つ人は病気になりにくい

環境と遺伝子の間:あなたのエピジェネティクスは常に変化している」にこのように書かれています。

スティーヴ・コール博士は、社会的に孤立し慢性的に強い孤独を抱えた人は、免疫システムに何らかのエピジェネティックな変化があるのではないかとの仮説を立てた。

DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行い、社交的なグループと孤独なグループを比較したところ、約2万2,000というヒト遺伝子のうち、209の遺伝子の発現において大きな相違が見られた。孤独感を感じている被験者は、炎症にかかわる78の遺伝子が過剰発現となっており、逆に抗体の生成や抗ウィルス反応にかかわる131の遺伝子においては、発現量の低下が見られたという。

研究チームは、幸福感が免疫細胞に及ぼす影響についても追求している。2013年7月29日付けで『米国科学アカデミー紀要』に掲載された論文では、驚くべきことに幸福の種類によっても免疫細胞のエピゲノムが変化すると発表されている。

物欲を満たすことや、おいしいものを食べるという行為で得られる短期で浅いHedonicな幸福では、免疫細胞が活性化するどころか、孤独感を感じているのと同じようなエピゲノムのパターンが見られた。逆に社会に貢献することで人生に意味を見出すような、深い満足感を伴うEudaenomicな幸福感では、炎症反応に関連する遺伝子が抑えられ、抗ウイルス反応に関連する遺伝子はより活性化されていた。

遺伝子は自分自身を活性化することはできない

遺伝子の実態はDNA(デオキシリボ核酸)で、ワトソンとクリックが発見したように二重らせんの構造をしています。しかしDNAは二重らせんのままむき出しになっているのではなく、そのまわりに多様な有機分子を結合しています。いわば腕をワイシャツの袖で覆っているようなものです。DNAは衣服をまとい装飾品で飾りたてているのです。

このワイシャツの袖のような有機分子が、遺伝子を活性化(タンパク質を作る指令)させたり不活性化させたりするのです。遺伝子には自分自身を活性化させることはできません。どういうタイミングで、どの遺伝子を活性化させるかは、細胞核の外からの情報として与えられます。しかもこれらの有機分子は長時間同じ遺伝子にくっついている、場合によっては子孫にまでその状態が引き継がれるのです。遺伝するのは遺伝子だけではないのです。

エピジェネティクスとは

「エピジェネティクス」とは、遺伝子の働きを調整するこれらの分子が、どのようにして遺伝子をコントロールしているのかを研究する学問分野で、21世紀のこの十年間で急速に発展している分野です。

特にがんに関するエピジェネティクスはよく研究されています。がん細胞内では多くの遺伝子がメチル基を失って「脱メチル化」していることが知られています(ワイシャツの袖を伸ばしたり捲ったり)。これによって遺伝子活動の異常が生じます。細胞増殖を抑制できなくなるのです。

がんは遺伝子の突然変異によっても生じますが、多くが遺伝子の脱メチル化なのです。突然変異は元には戻せませんが、脱メチル化は、エピジェネティックなものなので元に戻すことができるのです。

心のありようが免疫系に作用する

コール博士らの研究は、心のありようがエピジェネティックに遺伝子に作用して、免疫系に影響を与えることを実証したわけですが、物欲や所有欲による幸福感では逆に免疫細胞は不活性化する、利己的な利益ではなく他者への利益を考え行動している人は、遺伝子が発現して免疫細胞も活発化するということですね。

「利己的遺伝子」という書籍もあったが、利己的な性格では、良い遺伝子は発現しないのです。

私利私欲や損得勘定だけで人生を送っていると「真の幸福」を得ることができず、病気になりやすいし、がんの治りも遅く、再発のリスクも大きくなるだろうと推測することができます。

マインドフルネス瞑想に「他者への幸福」を願う瞑想があります。他者が幸福になることを願うことよって、心の平安を得ることができ、免疫力もアップします。そして自分にも真の幸福が訪れるのです。

たとえ末期がんであっても、家族のことや子どもの将来に備えることを考え、自分よりもより貧しい人々や、戦火の下で暮らす子らを思うような人は、たぶん予後も良いのかも知れません。


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