プラセボ効果を上手に活用して、がん治療の効果を上げ、人生の新しい「冒険の旅の物語」を始めよう

強力なプラセボ効果、ノセボ効果

プラセボ(偽薬)効果って本当に不思議です。効果があるはずのない砂糖玉で病気が治ったりするのですから。薬の効果の3~4割はプラセボ効果だともいわれています。効くはずのないものが、マイナスの効果をもたらした場合がノセボ(反偽薬)効果です。

日経メディカルに、

が紹介されていました。

がん治療におけるノセボ効果に言及しためずらしい研究です。

手術による肉眼的完全切除が行われた患者に対する補助療法として、分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬、BRAF阻害薬、MEK阻害薬)または癌免疫治療関連薬(抗腫瘍免疫活性を直接刺激する薬)をプラセボと比較していた臨床試験を選び出した。対照群はプラセボのみで他の癌治療を併用しないこととした。化学療法、インターフェロン、内分泌療法を用いた研究では、有害事象の種類や発生率が大きく異なるため、今回の分析からは除外した。

その結果は、プラセボ(偽薬)を投与された患者群の18%に、グレード3~4の有害事象が生じたことが分かりました。

プラセボ効果、ノセボ効果がどれほど強力かが分かります。

プラセボ効果を活用するには

がんの治療においても、このプラセボ効果を利用すれば、治療の効果が3割から4割もアップすることが期待できるとすれば、これを利用しないって手はないですよね。

プラセボ効果は、私たちの体内に製薬工場があると考えれば分かりやすいでしょう。

あるメッセージが心を刺激し、刺激を受けた心が新しい化学経路のスイッチを入れたり、すでにある化学経路の働きをより強力にして、体内の製薬工場をフル稼働させ、免疫力を高めるのです。

では、その働きの恩恵を受けるための方法は、

治るという強い欲求を持つ

一つには、治りたいと強く思うことです。私たちの潜在意識に治ることへの欲求がなければ、それが体の回復度に直接の影響を与えるだろうことは容易に想像できます。

治りたいという欲求がほんの少し欠けているだけでも、体内の製薬工場による治癒を促進することはできません。むしろ、それを妨げるのではないかと考えざるを得ません。

がんを治癒させたいという望みを達成するためには、回復したいとできるだけ強く願うことが必要なのです。

物語を通してがんを意味づける

二つ目は、自分の病気についての詳しい物語を組み立て、それをあなたの人生の物語の中に位置づける作業をすることです。

そもそもどのようにして病気があなたの人生に入り込んできたのか。その原因は何か。過去にあなたに起きたことと似ているかどうか。病気に対処することであなたに変化はあったか。

こうしたことを考えて、「冒険の旅の物語」を創作することです。

「冒険の旅の物語」は私たちが子供の頃に聞かされた長いおとぎ話に通じるものがあります。主人公がドラゴンを倒すなり不幸な乙女を救うなりの目的を達成するために旅に出るという、あの物語です。

主人公は目的を達成することもあるし、達成できない場合もある。しかしその過程で色々な冒険をする。そうした冒険は一時的に主人公を任務から引き離すかもしれない。あるいは任務を遂行するための良い訓練になるかもしれない。いずれにしろ、旅は成功か失敗かで終わる。

しかし「冒険の旅の物語」の核心は、最終的に主人公が変容しているという点にあります。

旅を始めたときの生意気な青二才ではなくなっているのです。

彼は様々な体験によって鍛えられ、深みを増しています。任務を達成したとすれば、新しく身につけた知恵と能力を使ったおかげあり、達成しなかったとしたら、それは彼が新しく身につけた視点から見て、当初の若者らしい野望は、本当は馬鹿げた気まぐれだったと気づき、彼の人生を真に満たすのは以前に考えていたものとは全く違うものだと気づいたからです。

『傷ついた物語の語り手』のアーサー・フランクは、「冒険の旅の物語」の解釈として「私の人生は旅だ。ある目的をもってある場所を目指している。成し遂げたいと思っていることがある。その途中で、私はこの慢性病にかかってしまった。そのせいであゆみは鈍くなり、目的への道を妨げられている、しかし今こそ、もう一度進み始める時だ。今なすべきことは、この病気を客観的に眺めてみることだ。これは起きてしまったことであり、これから先は人生の一部になる。でも人生の全てではないし、最終的には私を旅から遠ざけるものであってはならない。」と語っています。

こうした「冒険の旅の物語」を紡いでがんと向き合っている人には、より強力なプラシーボ反応が生じるのです。

これは、ジュレベールが『がんに効く生活』でも述べているように、「免疫細胞は、客観的に見て、より生きる価値があるように見える人生を送っている人間の体内では、それだけ活発に動くかのように見える。」と同じ意味なのです。

あなたの人生に物語を与え、より良く生きていくならば、体内の製薬工場はフル稼働をし、がん細胞に戦いを挑み、白血球は活発になるのです。

「死」に受け入れる

もう一つ大切なことは、これはプラシーボ反応の秘密ですが、それは、自分もいつかは死ぬという事実をうまく受け入れることができたとき、体内の製薬工場を解き放ち、最高の働きをさせることができるということです。

現代の私たちの文化では、「死」は人間に降りかかる最悪の出来事だという考え方が支配的であり、死に対する拭いがたい恐怖というストレスにさらされています。「死」は、意味のある満足すべき人生の自然な一部だと認識することでストレスを減らすことができれば、私たちは生化学的な経路を解放し、体内の製薬工場を自由に働かせることができるのです。

「死」への恐怖というストレスが、プラシーボ効果の邪魔をしているからなのです。

そのためにも、自分なりの死生観を整理して、足りない部分は、人生の先達たちに学ぶことも必要になります。前野隆司氏の『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』は、そのための入門書としてお薦めです。

サポートグループ(患者会)に参加する

プラセボ効果を活用し、体内の製薬工場をフル稼働させるためには、患者会や、社会的なサポートグループを活用することです。

転移性乳がん患者のためのグループセラピーを行ったスピーゲル博士のチームの報告では、グループセラピーを受けた女性の方が平均して15から18ヶ月長く生存していました。さらに10年後、セラピーを受けたグループでは3人の女性が生存していたが、対称群の患者は一人も生存していなかったのです。

グループセラピーや患者会に参加することによって、患者は病気に対して主導権を持つことができ、同じ病気の仲間からの思いやりを感じることができ、病気にポジティブな意味を与えることができるのです。

キー ポイントは、あなたに思いやりといたわりを示してくれる人たちが周囲にいることなのです。同じ病気に罹っている患者を支援するためのグループに参加すれば、あなたの体内の製薬工場が刺激されるはずなのです。

こうしたグループに参加することのもう一つの利点は、あなたの物語を、病気と対処するような形に持っていく力があることです。

人生という大きな枠の中で病気を理解し、人生と折り合いをつける方向を示し、病気による回り道や障害にもめげずに、心に抱いた目標をめざす物語です。

患者会で、自分の未完成のアイデアを人にぶつけてみて、その反応見ることが必要なのです。あるいは他の人が見た物語を語るのを聞いて、自分の物語に組み入れることのできそうな新しいアイデアを得ることも必要です。社会的なサポートグループは、深刻な慢性疾患を何とか理解し、折り合いをつけようとしている人にとって、またとない物語の勉強会となります。

幸いにも、膵臓がんの患者には「膵臓がん患者と家族の集い」というサポートグループがあり、遠方で参加できない患者のためにはコミュニティサイトの「PanCafe」があります。

「膵臓がん患者と家族の集い」の役割は、治療法や副作用への対処、代替療法や先進医療の情報を得る、医師とのコミュニケーションの取り方を学ぶなど、たいせつな役割もありますが、それ以上に、同じ膵臓がんの仲間の暖かい思いやりに触れ、自分とは違う物語を持っている人の話を聞き、自分の人生と病気との折り合いを付けて、新しい「冒険の旅の物語」へと船出をするサポートをすることなのです。


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