7年目の検査 完全治癒宣言
昨日は1年ぶりのがんの定期検査でした。
腫瘍マーカー、造影CT検査の結果は「異常なし」。いくつか正常範囲から外れた項目もありますが、極わずかであり問題なし。
先生からは「気持ちでは、完治していると考えても良いですよ」
との嬉しいお言葉をいただきました。そうか、あらためて「治ったんだ!」という実感がわいてきました。とはいえ、1年後の検査の予約はしましたが。ま、念のためであり、先生の顔も見たいし。
なぜ再発・転移もせずに治ったんだろう。自分なりに7年をふりかえってまとめてみると、
- 超音波検査で主膵管の拡張が見つかり、腫瘍らしきものがあると分かってから、48時間後にはがん研での手術日を決めた。「足の速い」すい臓がんでは1週間単位で病状が進む。最速で段取りを決められた。
- 幸い手術が適用でき、リンパ節への転移もなかった。ステージⅢ。
- 経験豊富な齋浦医師の執刀で、見えるがん細胞は全て切除できた。
- 残っているかもしれないがん細胞に対しては、6クールのゲムシタビンを半年かけて投与した。
- とはいえ、これでも5年生存率は15%程度である。10年生存率は限りなく小さい。再発転移をさせないためには、自分の免疫力を高める必要があった。
- 心の有り様、平安がもっとも重要な要素であると考え、死を受け入れる準備をした。人間には力の及ばないこともあるさ。死がやってきたならそれを受け入れれば良いだけのこと。悩んでもしかたがない。多くのがん患者がこの点に無頓着である。
- ストレスを溜めない。無理をしない。焦らない。悩みを翌日まで持ち越さない。ま、なるようになるさ。死と闘って勝利した人間は、歴史上一人としていないのだから。
- 睡眠と休養を十分に取る。メラトニンには熟睡効果があった。抗がん効果もあったかもしれない。
- 楽しいことをたくさん見つける。やりたくてやれなかったことを、がんのおかげと考えてやってみる。チェロに写真に旅行。思いっきりやったなぁ。
- 運動。ともかく「歩け、歩け」を絶やさずに実行した。通勤は徒歩で30分、一日1時間の速い速度での歩行を習慣にした。カメラを担いで良く散歩に出かけた。退院後3ヶ月のころ、京都の嵐山、嵯峨野を6時間も歩いたなぁ。紅葉がきれいだった。
- 食事やサプリメントは効果としてはこれらの次だろう。食事療法を無視するわけではないが、抗がん作用に過大な期待はできないと思う。サプリメントも同様。ま、少しの可能性、気休めあるいはプラシーボ効果でもあれば儲けものと考えて、厳選して取り入れた。
何が効いたのかはわからない。強いて言えば総合的効果としか言いようがない。先日のブログでも書いたように、すい臓がんは手術ができたとしても5年、10年と生存することが難しいがんである。サプリメントも、全て効果があったと言えなくもないような気もする。
- 緑茶のカテキン
- メラトニン
- ビタミンD
- マルチビタミン
- オメガ3(EPA、DHA)
- ターメリック(秋ウコン)
- 初期は玄米魚菜食、血糖値が上がってからは玄米など糖質抜きの魚・肉菜食。肉も避けないで積極的に摂ってきた。がんと戦うには体力が必要だ。
- オリーブオイル
もちろん、科学的に効果が実証されたものは一つもない。しかし、それは効果がまったくないということとは違う。ま、このへんの議論はブログの彼方此方に書いてある。科学的に実証された、エビデンスのある代替医療なんぞは皆無であるのだから、手を出すべきではないという「行きすぎた実証主義」の仰せに従えば、がん患者には希望もなくなってしまうだろう。
ごらんのように、がん患者の多くが取り入れているというキノコ類には一切手を出していない。あれは高いだけで無駄。効果がまったくないと思う。「高価な代替療法ほど、効くに違いない」と多くの患者が錯覚している。「原価が1000円の物を、1万円に設定しても売れなかったが、10万円にすれば飛ぶように売れる」と本音を語る代替療法業者に金を貢いでいるだけなのに。そんなものよりも歩くなどの運動の方が、がん細胞には効果がある。
シュレベールの『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』からは多くの知識・勇気と希望を貰った。ここに感謝を記しておく。
シュレベールが遺した言葉から、
- がんを治すことができる自然のアプローチ法というのは存在しない。だが、避けようのない運命というものも存在しない。
- がんが私たちに与える脅威は確かに大きい。だからこそ、そこから人生の豊かさを学べるということに、なかなか気づかない。
- 統計は情報に過ぎず、けっして宣告ではない。
- いったん腫瘍ができてしまったら、どんな防衛力を持ってしても、化学療法や放射線治療に取って代われるだけの効果があるとは断言できないだろう。だが、従来の治療法と平行してこうした自然の防衛力を活用することで、がんに対する潜在的抵抗力を最大限に発揮できるのである。
- 免疫細胞は、客観的に見て、より”生きる価値”があるように見える人生を送っている人間の体内では、それだけ活発に動くかのように見える。
- それは、私たちの貴重な白血球を強化できるものはすべて、腫瘍の成長を阻むこともできる、という結論である。要するに、免疫細胞を刺激し(食事療法、運動、感情のコントロールによって)炎症と闘い、血管新生と闘うことで、がんが増殖できる環境をなくすことができる。
このブログも10年までは続けようかと思っています。
キノシタ さま
今日は5回目で、急速投与分を終了して帰宅したところです。
本当にがんは、少し商売の種にされすぎと感じます。
『摂取する食事とガンの発生リスクにはほとんど関連性がない』という衝撃の研究結果が出るなか(これは幼少時からの調査なども必要なので、まだ結論ではないと思いますが)、サプリに頼りたくなく人は更に増え、ネット広告には心揺れてしまいます。
四国がんセンターで当初作成された補完代替療法の手引きのようなものは、もっと積極的に更新、公表されなければ被害は減らないでしょう。
正直、私自身・・・魚より肉を多く食べる傾向はありましたが、それほど大量ではなく、大腸癌のリスク因子としては、むしろ運動不足と糖質余剰分による脂質の上昇が関連ありそうと食生活を振り返ると思ってしまいます(BMIは標準内なのでそれも怪しいですが)。
これは、がん治療の現場で副作用の予防対策が遅れて居ることも影響していると思います。
現場で患者になると残念な事も色々と経験し、自分の身は自分で守らなければと思いますね。
金魚さん。
肝機能に心配があるのでしたら、無理にサプリメントを摂ることはしない方が良いでしょうね。体と相談しながら徐々に工夫をしてください。
最近ではChromeもFirefoxと同様のプラグインが使えるようになって、広告がカットできますね。これらの不要な広告がカットできれば、いかさま代替療法にかもられる患者がぐっと減るだろうにと思います。本当にみごとに最適な?広告が表示されますからね。ついつい見てしまうのでしょう。
キノシタ さま
ありがとうございます。
メラトニン・・・ちょっと気になっているのですが、普段から全く不眠を経験したことがなく、化学療法中の今は必要以上に眠いので、終了後なら服用出来るかなと思っております。
今は、大腸癌の補助化学療法でFOLFOXの4クール終了したところなのですが、かなり副作用がきつく、肝機能も90代まで上昇しているためサプリの許可も出ないことでしょう。
キノシタさまとお揃いのお茶ミルを病前より持っておりましたので、今はお茶を飲むのと人参ジューズ(400mlしか飲んでおりませんが、色素沈着予防と口腔粘膜などの保護目的なので十分) を継続しております。
玉石混淆の情報の中、キノシタさまのサイトは何度も読み直しております。
元々サンダーバードを使用しておりましたが、情報検索サイトもFireFoxに変更するなど、無益な広告対策にも有用な情報に感謝しておりました。
高蛋白で好中球は維持出来ていますが、肝機能障害とともに血小板が低下してきており、あと三分の二のクールをどう乗り切るか・・・難しいですね。
でも、頑張ります。
kathyさん。
いつもありがとうございます。
遅ればせながら、おめでとうございます。
こうして元気な経緯を公表されているのも、みなの励みになります。
ありがとうございます。
RXGさん。金魚さん。コメントありがとうございます。
金魚さんはまだ化学療法中ですね。腫瘍の縮小効果がある程度認められている代替療法、サプリメントもいくつかはあるのですから、上手に選択して治療に活かしてください。たとえばメラトニンなどは、<「健康食品」の安全性・有効性情報>でも
・固形がんに対して有効性が示唆されている。通常の化学療法あるいはIL-2と併用してメラトニンを摂取すると、乳がん、肺がん、腎臓がん、肝臓がん、すい臓がん、胃がん、大腸がんの縮小を促進するという報告がある 。
等と記載されています。
キノシタさま
完全治癒宣言、誠におめでとうございます。
ブログを拝見し、真摯に病と向き合い、検討を重ねた療法の取捨選択は大変参考になりました。
今、大腸癌の化学療法を三分の一実施したところで、まだまだ食事や運動には迷いがありますが、この7年間のキノシタさまの歩みは目標となるものです。
辛い化学療法を実施するのであれば、大量のジュースで満腹になり食事が取れなくなるよりも、魚や鶏肉、卵で蛋白維持をしながら骨髄機能の回復を図り、出来るだけスケジュールを完遂しようと頑張っております。
キノシタさまの努力や、情報公開される広い心には感謝と尊敬の念を持って拝読しておりますことと、一言祝福の気持をお伝えしたく書込させていただきました。
益々人生を楽しみ、健康を享受されますことを心より祈念しております。
おめでとうございます。
ババリーナふじこさん。バレリーナではなく、ババリーナとはご謙遜でしょう。4aで手術にこぎ着けられたこと、がんばったのですね。
再発・転移もないということで、良かったです。しかし、脅かすようですが、がん細胞は確実に体内に残っていると考えて、がんを育てない体内環境を作っていくこと。これは患者にできること、患者にしかできないことですので気を抜かずに継続してみましょう。
お互いに、膵癌に負けないように伴走しますよ。
おめでとうございます。
はじめまして。実は、この2年間、勝手に師匠と呼ばせていただいています。2012年5月11日、膵頭部がんの疑いあり、と診断されました。帰宅後、真っ先にアクセスしたのがキノシタさんのブログでした(以前、AHO先生のとんでも本についてのご意見に共感したことが、心に残っていたのです)。TS-1による化学療法(隔日服用)後、10月17日に手術。4aでした。術後、TS-1を続けるとともに、半年かけて自力調整を行なって、大好きなバレエに復帰しました。先月の画像検査では再発・転移は見られませんでした。腫瘍マーカーも低い値を保っています。キノシタさんのブログからの情報が大きな力になっています。これからも、すばらしいお手本でいてください。ブログ、楽しみにしております。