今日の一冊(128)『ビタミンDとケトン食 最強のがん治療』

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【日 時】2020年1月18日(土) 13:30~17:00(開場・受付:13:20ごろ)
【場 所】京急本線 京急蒲田駅東口から徒歩3分、JR蒲田東口から徒歩13分 大田区産業プラザ3階 特別会議室
【対 象】膵臓がん患者とその家族、遺族
【参加費】1,000円(会場使用料及び資料代)
【定 員】 80名
【内 容】
●講演:押川勝太郎先生「がん治療の心得は登山と同じと知ってましたか?~トラブルを織り込んだ先読み能力が寿命を伸ばす~」
●患者さんどうしの情報交換会~フリートーキング

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ステージⅣの膵臓がんも完全寛解

日本人の多くはビタミンD不足か欠乏

2020年度、厚生労働省が5年ぶりに「日本人の食事摂取基準」を改定し、ビタミンDの摂取基準が5.5μg/日から8.5μg/日に増やすとされています。

それは、日本人の多くがビタミンD不足になっているからです。「日本人の食事摂取基準」策定検討会の報告案では、

血清25-ヒドロキシビタミンD濃度で、30ng/mL以上をビタミンD充足、20ng/mL以上30ng/mL未満をビタミンD不足、20ng/mL未満をビタミンD欠乏とすると、最近の疫学調査結果によると、欠乏/不足者の割合は、男性:72.5%、女性:88.0%にも達する。

とされています。

実際には、アメリカ・カナダの食事摂取基準で示されている推奨量(15µg/日)から、日光による産生量(5µg/日)を引いた残り(10µg/日)が1日における必要量と考えられたが、日光による曝露量は変動が大きいことから(8.5μg/日)とされています。

成人の耐容上限量は100µg/日です。

「活用に当たっての留意事項」:ビタミンDの大きな特徴は、紫外線の作用により、皮膚でかなりの量のビタミンDが産生されることであり、その量は、緯度・季節・屋外活動量・サンスクリーン使用の有無などの要因によって大きく左右されることから、各個人におけるビタミンD摂取の必要量は異なる。例えば、日照の機会が極めて乏しい場合であれば、目安量以上の摂取が必要となる可能性があり、活用に当たっては、各個人の環境・生活習慣を考慮することが望ましい。

がん患者はビタミンD欠乏症

ビタミンDとケトン食 最強のがん治療 (光文社新書)

ビタミンDとケトン食 最強のがん治療 (光文社新書)

古川 健司
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多摩南部地域病院外科医長の古川健司先生の本では、著者の勤務する病院の146人のがん患者さんの血中ビタミンD濃度を測定しました。その結果が次の図です。

全体の90%以上に当たる132人もの患者さんにビタミンDの欠乏症が見られたのです。血中ビタミンD濃度の平均値も、わずか14.1ng/mLでした。

特に胃がん、膵臓がんの消化器系のがんでは顕著でした。

再発した患者と無再発の患者を比較しても、有意な差はありませんでした。つまり、再発していなくてもがん体質は変わっていないと推察できます。

ビタミンDとがん

国立がんセンターの「多目的コホート研究」によって、日本人のがんとビタミンDの関係が明らかになっています。

ビタミンD濃度が最も低いグループのハザード比を1とすると、2番目に低いグループではハザード比が0.75と、がん発症のリスクが25%低下しています。

これによって、ビタミンDがある程度確保されていれば、がん発症を抑制すると考えられます。

海外でもビタミンDとがんとの関係が明らかになっています。

  • ハーバード大学の研究では、血中ビタミンD濃度が30ng/mL以下の人は、それ以上の濃度の人に比べて、大腸がんの発症リスクが2倍になる。
  • カリフォルニア大学の研究では、血中ビタミンD濃度が33ng/mL以上の場合、12ng/mL以下の人に比べて、大腸がんの発症リスクが50%低くなる。
  • 普段から血中ビタミンD濃度が高い人は、たとえ大腸がんを発症しても、死亡するリスクが低い
  • 先の「多目的コホート研究」によって、ビタミンDは直腸がんの発症リスクを顕著に下げる
  • 血中ビタミンD濃度が33ng/mL以上の女性は、13ng/mL以下の場合に比べて乳がんの発症率が半分になる
  • トロント大学の研究では、乳がんと診断された512人のうち、78%が正常値を下回り、40%がビタミンD欠乏症であった
  • フィンランドの研究では、血中ビタミンD濃度が12ng/mL以下の人は、22ng/mL以上の人に比べて、前立腺がんの発症リスクが70%高くなる
  • 米国サンディエゴのモール博士らの研究では、血中ビタミンD濃度が30ng/mL以上であれば、膵臓がんの発症リスクが低下する
  • シカゴのスキンナー博士らの研究では、1日あたり、10μgのビタミンD摂取が、膵臓がんの発症リスクを43%低下させた

免疫細胞の機能強化

ビタミンDの受容体は、免疫担当細胞にも存在することが明らかになりました。その結果、ビタミンDがいかに免疫機能を左右するのかの研究も各国で進められるようになっています。

さらに、免疫系の異常な反応を抑える「免疫抑制」も、ビタミンDの力で正常に機能することがわかり始めています。

T細胞上のビタミンD受容体が活性化されると、様々なT細胞に分化する前のT細胞(ナイーブT細胞)に働きかけ、その免疫のバランスを抑制的にコントロールします。つまり、抑制系のサプレッサーT細胞を刺激することで、免疫系が自己を攻撃できないように免疫反応を制御する一方、キラーT細胞上にある受容体を発現・活性化させ、炎症反応を抑制するサイトカインの産生を増強することもわかっています。

サプリメントからビタミンDを摂る

米国老年医学会でも、健康維持のために血中ビタミンD濃度は30ng/mL以上を必要とし、1日100μgのビタミンD摂取を推奨しています。

この量を食事からだけ摂るのは困難です。スウェーデンなどの日照時間の短い高緯度地域では、住民にビタミンDのサプリメントを配る自治体が多くなっています。

これらを考慮して、古川健司先生は、

私はがん治療において、1日に最低でも50μg、症状によっては100~150μgのビタミンDを摂取する必要があると結論付けています。がん患者さんは総じてビタミンD欠乏症であることに加え、腸管でのビタミンDの吸収能力が低下していると考えられるからです。

と結論づけています。成人の耐容上限量は100µg/日ですが、1500µg/日までは顕著な副作用はでないとの研究があります。

これは、大塚製薬の「ネイチャーメイド スーパービタミンD(25μg=1000I.U.)」なら一日に2~6錠ほど摂れば良いことになります。

免疫栄養ケトン食とビタミンD:膵臓がんの症例

本の冒頭にも述べられていますが、古川先生の先の著作『ケトン食ががんを消す』で紹介されていたケトン食では、がんの寛解などの充分な目的は達成できませんでした。

しかし、免疫栄養ケトン食にビタミンDを加えることで顕著な成績が出たといいます。その内容は本を読んでもらうとして、ここでは膵臓がんの二つの症例を紹介しておきます。

症例4 男性、 40 歳。ステージ Ⅳ すい臓がん術後、リンパ節転移  2013年 11 月、他院にて、すい頭部がんに対しすい頭十二指腸切除と門脈合併切除を施行。ステージ Ⅱ で、術後、経口抗がん剤を服用。

術後3年 10 か月までは無再発。しかし、2017年 10 月のCT検査で、リンパ節転移及び腹膜 播種 と思われる軽度の腹水が認められます。さらに、肝臓に入り込む血管の一つである門脈内の圧力が異常に高まり、静脈瘤が破裂。大量出血し、輸血を行いました。

同年 11 月、抗がん剤治療を導入。4クール終了後、当院を受診し、ケトン食を実施するようになりました。受診時の血中ビタミンD濃度は 10 ng/mLと超欠乏。ビタミンDサプリを1日 75μg 摂取するようになりましたが、半年後も濃度が36.2ng/mLと治療値まで上がらなかったため、1日100μgに増量し、正常範囲を維持。

その結果、腫瘍マーカーは改善されてきたものの、抗がん剤の血液毒性が強く、2018年5月に、別の2種の抗がん剤に切り替えました。 2019年1月、採血の結果、腫瘍マーカーの正常化を確認。同年3月のPET‐CT検査において、リンパ節転移の集積がすべて消失しているのを認め、完全寛解(CR)に至りました。

 

症例5 男性、 49 歳。ステージ Ⅳ すい臓がん術後、局所再発  2015年1月、他院を受診。腹部大動脈への浸潤のあるすい頭部がんだったため、術前に抗がん剤を6クール投与。がんの縮小効果が得られたことで、同年8月、胃及び胃の出口部分を温存して行う手術を施行。

その後は再発予防のために経口抗がん剤を服用しました。  しかし、2017年2月の腹部CT検査で、腹部にある動脈の周囲に再発が認められ、切除不能と判断されます。同年3月より抗がん剤治療を再開し、4回終了時点で当院を受診。

ケトン食を取り入れるも、受診時の血中ビタミンD濃度は 19 ng/mLと欠乏症。1日100μgのビタミンDサプリを摂取するようにしたところ、3か月後にようやく 30 ng/mLの正常範囲に収まりました。 同年 11 月のPET‐CT検査において、転移がんのすべてが消失していることが判明。抗がん剤も副作用の少ない経口抗がん剤に変更。2019年8月現在、消失から1年9か月が経ちますが、再発は認められていません。

自己流のケトン食療法は危険

古川先生もたびたび注意を喚起していますが、ビタミンDのサプリメントを摂る程度なら問題はないですが、合わせて自己流でケトン食に挑戦するのは非常に危険です。

前記した免疫栄養ケトン食において、 50%糖質制限食やセミケトジェニックこそ現代病の予防やハイブリッドな健康体の形成に貢献するものの、 80%糖質制限食の「ケトジェニック」と 95%糖質制限食の「スーパーケトジェニック」に関しては、あくまでもがん治療に特化した食事療法という但し書きがつくことです。

そのため、この極端な糖質制限食を実施するためには、ケトン食に詳しい管理栄養士の栄養指導を受けるだけでなく、血液や尿が酸性に傾く「ケトアシドーシス」になっていないか否かの検査を定期的に受けることが必要になってきます。

非常に興味深い臨床研究です。『膵臓がん患者と家族の集い』に講師としてお招きしたいものです。

ケトン食セミナー

古川健司先生の主催する「東京ケトオンコロジー研究会」のサイトにはケトン食療法のセミナーの案内が載っています。

参加資格は、以下の1と2の両者を満たす方

  1. 患者、患者家族等または医療従事者
  2. 本研究会の立場(「がんの標準治療を否定するのではなく、標準治療を支援する栄養療法を研究し、患者の安全とQOLの向上を重要な目標課題とする」)に賛同することを宣言できる方

となっていますから、患者も参加可能です。

管理栄養士 麻生れいみさんのブログにも「免疫栄養ケトン食」の話題が載っています。


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