ゴーヤのククルビタシンDが膵癌細胞を抑制

ゴーヤ(ニガウリ、ツルレイシ、Bitter Melon)
ゴーヤの抗がん作用
ゴーヤ(ニガウリ、ツルレイシ、Bitter Melon)の抗がん作用が注目されています。
標準和名は「ツルレイシ」ですが、沖縄料理が評判になってからゴーヤーまたはゴーヤの呼び名が広まっています。沖縄が長寿県なのは、ゴーヤをよく食べるからともいわれています。
独特の苦味があり、好き嫌いが別れますが、ビタミンCなどの水溶性ビタミンが多く、健胃効果のある苦味タンパク質(苦味成分として、モモルディシン(momordicin)、チャランチン(charantin)、コロソリン酸、ククルビタシン(cucurbitacin))が含まれています。
『「健康食品」の安全性・有効性情報』には、
俗に、「糖尿病によい」「胃腸障害によい」「風邪によい」と言われているが、ヒトでの有効性については十分なデータが見当たらない。
と書かれています。ヒトに関してはほとんど有効なデータ外のが実情です。
動物実験、試験管レベルでは、ゴーヤの抽出成分が大腸がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、肝臓がん、前立腺がんがんなどの増殖を抑制したという研究報告があります。
佐藤典宏先生がそれらの研究を簡単に紹介した記事があります。
膵臓がんとゴーヤ
佐藤先生の記事の中に「ゴーヤの絞り汁(ジュース)が膵臓がんの抗がん剤耐性を克服し、治療効果を高める」研究が紹介されています。
研究者らは、膵臓がんが抗がん剤のゲムシタビン(ジェムザール)に効かなくなるメカニズムの1つとして、AktとERK1/2のリン酸化が亢進していることを示しました。
そして、ゴーヤのジュースが、このゲムシタビンが無効の膵臓がん細胞のAktとERK1/2のリン酸化を阻害し、増殖を抑制することを発見しました。
このことより、ゴーヤを併用することによって、膵臓がんに対する抗がん剤治療の効果が高まる可能性があると結論づけています。
ククルビタシンDが膵臓がんの浸潤と移動を抑制
世界的に著名なCells誌に、昨年12月25日「膵臓癌に対するククルビタシンDの抗癌活性に対する新しい機構的洞察(Cuc Dは膵臓癌を減衰させる)」のタイトルの論文が掲載されています。
ゴーヤの苦味成分であるククルビタシンD(Cuc D)がゲムシタビン(ジェムザール)の薬剤耐性を抑制し、コロニー形成が抑制され、細胞周期が停止し、膵臓がん細胞の浸潤と移動が減少しました。更に糖とタンパク質からなる粘液成分ムチン-13の発現量が減少しました。
また、Cuc Dでの処理により、膵臓がん細胞/組織のmiR-145発現が回復することを報告しています。Cuc D処理は、ゲムシタビン耐性膵臓がん細胞の増殖を抑制し、RRM1 / 2発現を阻害します。
ククルビタシンDはゴーヤに多く含まれている成分です。ほかにも、ククルビタシン B、EI及びQでも抗がん作用の研究が実施されています。
ククルビタシンDが多く含まれている食品は、ゴーヤです。
ゴーヤ料理は、やはりこれが”いちばん”ですかね。

ゴーヤチャンプルー
ただし、摂り過ぎは危険です。嘔吐と下痢を伴う重篤な胃及び腸不全を引き起こす可能性があります。
あの苦味には好き嫌いがあります。私も正直あまり好きではありません。そういう方には錠剤や粉末のものが販売されています。