砂糖はがんの栄養

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白壁の伝統的な商家で薬局。(高知県奈半利町)


一時はがんの早期発見の切り札であり、がん検診の革命かといわれたPET(陽電子放射断層撮影、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)ですが、国立がんセンターの内部調査で、がんの85%を見落としていたと報道されて衝撃を与えました。

同センター内に設置された「がん予防・検診研究センター」では、2004年2月から1年間に、約3000人が超音波、CT、血液などの検査に加えPET検査を受け、150人にがんが見つかった。ところが、この150人のうち、PETでがんがあると判定された人は23人(15%)しかいなかった。残りの85%は超音波、CT、内視鏡など他の方法でがんが発見されており、PETでは検出できなかった。(2006年3月3日 読売新聞)

PETががんの早期発見に有効だとされたのは、がん組織がほかの部位よりも多くブドウ糖を消費していると考えられたからです。放射化されたブドウ糖を体内に注入し、放射線の多く出ている部位、つまりブドウ糖がたくさん消費されている部位を見つければ、そこに腫瘍ができている可能性が高いということです。つまりブドウ糖=砂糖はがんを育てる栄養であるということ。

ノーベル生理医学賞を受賞したドイツの生物学者ヴァールブルクは、悪性腫瘍の代謝がブドウ糖の消費量に左右されることを発見しました。

精白糖や精白小麦粉を食べると、血液中のブドウ糖の割合=血糖値が急速に上昇し、ブドウ糖を細胞に吸収させるためにインスリンが分泌されます。そしてインスリン様成長因子(IGF)が分泌され、細胞の成長が促進されます。

さらに、インスリンとIGFはともに炎症性因子を刺激する作用があり、炎症性因子は腫瘍の成長を促進する働きをします。大量のインスリンとIGFが分泌されると、がん細胞の成長が促進されるだけではなく、がん細胞が隣り合う組織を浸食する力を高めることが知られています。
糖尿病患者はがんになる確率が高い(膵臓がんになる確率も高いことが知られている)ことや、東南アジア人が欧米人に比べてホルモン依存性のがん(乳がん・前立腺がん)に罹る確率が5分の1であることなどより、この仮説はほぼ確かなようです。

喫茶店でアイスコーヒーを注文するとシロップが付いてきます。トウモロコシから抽出した果糖のシロップ(果糖とブドウ糖の混合物)です。20世紀後半に登場した新しい食品原料であるシロップは、今や多くの加工食品に使われています。砂糖だけでももてあましている私たちの体は、シロップの登場で完全に限界を超えてしまったのです。

私たちの遺伝子は、糖分を年間で2キログラムしか消費しない栄養条Img002
件のもとで形成されたのですが、20世紀の終わりにはその消費量は一人あたり70キログラムというとんでもない量になっています。これが先進国で第二次世界大戦後に急速にがんの発症率が上昇した一つの原因だと考えられています。

私たちがん患者が食事療法に取り組む場合、まずは精白糖や精白米を摂ることを止め、全粒粉で作ったパン、玄米を主食にし、血糖指数(GI値)の高い食品を遠ざけることから始めるべきでしょう。最近の研究では、肥満とがんには共通の原因があることが分かってきました。「カロリー制限は寿命を延ばす」という研究結果も報告されているのです。

GI値はシドニー大学が研究の中心地となっています。何度か取り上げた『がんに効く生活』にも代表的な食品のGI値が載せられていますが、日本語の主な食品のGI値はこちらにあります。この表のピンクの食品は避ける方が無難です。

穀類では玄米・五穀米、パン類はほとんど駄目で菓子パンはもってのほか。麺類はうどんもだめで蕎麦だけ。野菜・芋類ではジャガイモ・ニンジン・カボチャが高い。ニンジンは食べるなということではないです。野菜にはそのほかの栄養素もあるからGI値だけで判断できません。量が問題だということです。

GI値(グリセミック指数)よりも大事なのは、GL(グリセミックロード)です。炭水化物の量も含めて通常食べる量を比較したときに、どれだけ血糖値を上げやすいかの指標がGLです。バナナ一本とリンゴ一個をGLで比較すると、バナナはリンゴの2倍以上血糖値を上げやすいと言えます。GL値を記載した日本語のサイトはほとんど無いのですが、「米国統合医療ノート」により詳しい話が書かれています。

GL値を計算するのは面倒ですので、おおざっぱに言ってしまえば、がん患者は玄米菜食に変え、ケーキなどの甘いもの(ケーキには不飽和脂肪酸も多く含まれている。これもがんの栄養)を避け、コーヒーには砂糖を入れないでブラックする(緑茶にした方がもっとよい)。要するに、糖尿病食は健康食であり、がんに栄養を与えない食事だということです。


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